ニューヨーク仏教会書道クラス
心静かに穏やかに 書に親しむひととき
毎週火曜日の午後、アッパーウエストサイドのニューヨーク本願寺仏教会に墨の香りが漂う。「教室を持つことで自分自身も書き続けていられるので、人に教えるというより、自分のためにもなっています」と話す住職の中垣顕實が、ここで書道のクラスを始めて12年。クラスでは中垣が毎月、仏典の中から言葉を選んでその意味を解説し、楷書、行書、草書の3書体で生徒に手本を示す。生徒たちは中垣に朱墨で添削してもらいながら、自分のペースで練習する。また、多くの人に書に親しんでもらうため、印章作りや墨絵なども毎年企画している。
取材した日、同クラス初参加のルシアン・デウルフは、筆の持ち方や墨のすり方などを一から教わり、「運筆」の練習に励んでいた。直線を引いたり、円を描いたりするのを見ると簡単そうだが、実際にやってみると、筆はなかなか思うように動かない。「筆の動きと精神はつながっています。一本の線を引くにも、正しい呼吸法と姿勢、そして筆の持ち方といった基本がなっていないと、書けないものです」と中垣は説明する。半紙代わりに使用している古新聞紙は、練習の跡で真っ黒。「右腕がすごく疲れたわ。でも楽しいので、これからも参加したい」と、書道初体験のデウルフは満足げだ。
「私たちはプロの書道家を目指しているわけではないので、純粋に書くことを楽しんでいます。それに、皆さんとおしゃべりするのも楽しくて、通い続けています」と話すヘレン矢形は、クラス発足時からずっと通っているという。また、アーティスティックなことがやりたくて書道を始めたという、元フィジカル・セラピストのルース府内は、「長く通い続けている人が多いので、お互い気が置けなくて、居心地が良いのよね。先生も厳しくないから快適です」と笑う。
真剣な表情で「光」の文字を繰り返し練習していたメリー・ウォルシュは、指圧を勉強中だという。「指圧は体と精神の統一が大切。書道も同じだと思うので、大変興味がありました。クラスの皆さんも、とても良い方たちばかりなので、私も一緒に続けていきたいです」。
「書道はメディテーションのようなものです。書き続けていくことで、心を落ち着かせてくれます」と、始終穏やかな表情で語る中垣に、参加者たちはうなずきながら耳を傾けていた。
(文中敬称略)
毎週火曜日の午後12時30分〜2時に、アッパーウエストサイドのニューヨーク本願寺仏教会(331 Riverside Dr. at 105th St)でクラスを開催。月謝は一般30ドル、仏教会会員20ドル。
www.newyorkbuddhistchurch.org
■お問い合わせ
TEL: 212- 678-0305(中垣まで)