紐育太鼓愛好会
怒濤の集団ビート 信玄の陣太鼓復活
〝Here we go!〟リーダーの掛け声で11台の和太鼓が一斉に火を吹く。みんながまるで、一つのリズムマシーンになったかのような一体感。紐育太鼓愛好会は、難曲「飛竜三段返し」の仕上げに余念がない。スタイルは、武田信玄の陣太鼓に由来する、長野県の御諏訪太鼓。様々な和太鼓のアンサンブルを楽しむ「組太鼓」で、腕を高々と上げる勇壮な仕草が特徴だ。大人も子供も、無心になってバチを振る。
グループの発足は今から5年前。アッパーウエストサイドの公立小学校に子供を通わせる父兄の有志が、呼び掛け始まった。「子供たちに、日本の伝統文化を習わせるのが目的でした」とは設立メンバーの一人、遠山バルア京子。「そのうちに、親の方が夢中になったの」と笑うのは、同じく初期から親子3人で参加している谷口利恵だ。
会員数が30人近くまで成長した現在は、プロの先生が指導するのは月1回のみ。他の日は、上級者がリーダーとなってアンサンブルをまとめる。「お互いに教え合うことで、支え合いの大切さを子供たちが学んでいます。今では愛好会が一つの大きな家族のようです」と語るのは古川リバーソン明代。
太鼓に取りつかれたのは日本人だけではない。弁護士のマーク・ディラーもその一人。息子と一緒に小学校での演奏を聴いたのが発端だ。「日本の宗家にも教えを受け、岡谷市で開かれる太鼓祭りにも参加したよ」と声を弾ませる。「息子と一緒にできる素晴らしい趣味。そう、趣味!私たちはあくまでもアマチュアなんだ」
とはいえ、5年間の血と汗のにじむ週1回の練習で、着実に力を伸ばしている。最近ではブルックリン植物園の桜祭りを始め、数多くの地域イベントに参加。子供も交えた、ひたむきなパフォーマンスが高く評価されている。1年前に入会した山本正之は、ニュージャージーから50分かけてやって来る。「引退後の生きがいですね。和太鼓が、アメリカで人種や文化を超えて受け入れられているのが何より嬉しい」と目を細める。
2月16日には「新年オープンハウス」と銘打って練習を一般公開。この機会に、広く新会員を募るという意向だ。それだけに、大人も子供もこの日の練習には一層力が入る。ドンドンドンドン、ドドドドドドド…波のように寄せては返すリズムのうねりは、聴く者を熱く奮い立たせてやまない。
(文中敬称略)
「新年オープンハウス」を、2月16日(土)午後1時からコロンビア大学構内TeachersCollege Horace Mann Hall Room 435で開催。この日は参加無料。練習は、毎週日曜日午後1〜3時。
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(明代まで)