花みずき
心のメロディーを届ける 歌うボランティア活動
今年で創立25年を迎える女性合唱団「花みずき」。スカースデールの教会に集まったメンバーたちは、来週の修道院でのボランティアコンサートに向けて、練習に熱が入る。
月に一回、地元ウエストチェスターを中心に老人ホームや修道院、小学校などをボランティアで回り、美しいコーラスを届けている。英語の曲だけでなく、日本の童謡なども取り入れ、日本の文化を伝えることにも力を入れている。
明るい光が差し込む教会内に「オー・ソレ・ミオ」の、のびやかなコーラスが響く。「これはイタリアのカンツォーネなのに、この個所のトーンなんて沖縄民謡ですね」。合唱指導にあたるボイストレーナー、嶋田あやのユーモアたっぷりの説明に、一斉に笑いが起こる。嶋田が「仲良しコーラス団」というように、分からなくなると隣同士の生徒が楽譜をのぞき込んで教え合うような、和気あいあいとした雰囲気。「でも、練習のほのぼのムードに似合わず、ステージではみんな堂々と歌いきり、本番に強いんです」とピアニストの林田佳子は笑う。週に一度の練習では飽きたらず、ピアノのある人の自宅に集まり、自発的に練習を行うほどみんな真剣なのだ。
日本ではなかなか体験できない、老人ホームで歌うボランティアを、ここで初めて経験して感銘を受けたメンバーも多い。「私達の歌に感動して泣いているお年寄りの姿に、逆に私達が感激して泣いてしまうこともよくあります」とリーダーの鈴木めぐみ。自己満足のためではなく、人のために歌っている手応えを感じている。
別の合唱団にも所属する篠原美保子は、「この合唱団は、難しい曲を歌いこなして披露することよりも、人に聞いてもらい、一緒に楽しめるような楽しい選曲になっています」。「歌うことには興味がなかったのですが、ある教会でコンサートを見て感動し、すぐに参加しました」と言う中畑美紀は、歌う側になった今では、「人に喜んでもらえることの喜び」を毎回体験している。
メンバーは駐在員の妻が多いが、永住組のソーヤ百合子が代表として総勢24名をまとめている。また元メンバーが帰国後「東京花みずき」を創立。コンサートの際に募金運動を行うなどボランティア精神を引き継いで活動を続けている。
5月にホワイトプレーンズで開催される、毎年恒例の「桜祭り」に向けての練習もそろそろ始まる。当日は美しい声が青い空に響き渡ることだろう。 (文中敬称略)