アン・タイ・チー・スタジオ
体は精神(マインド)に従う 太極拳でしなやかに生きる
平日の夕刻、仕事を終えた会社員たちが集まる、静寂に包まれた太極拳スタジオ、「アン・タイ・チー・スタジオ」。今回お邪魔したのは上級クラスで、生徒7人が精神を集中させて太極拳に取り組んでいた。
「太極拳はTaoism(道教)のTao(道)を体現するもの。瞑想して自分の体の中のことに意識を集中させることが大切」と語る先生、マスター・アン。1970年にオープンしたこのスタジオには、数々の著名人も訪れ、マスター・アンに教えを請うた。
中国武道の一つである太極拳は、「Yielding」(ゆずる・よける)の技が基本。攻撃的な他の格闘技との決定的な違いだ。「一見ゆっくり動いているように見えるが、戦いの場面では空手よりも早い動きを見せることもある」とマスター・アンは語る。また。「体は精神(マインド)に従うもの」とし、精神鍛錬の重要性を説く。
太極拳を始めて2年になるロクサーヌ・ベネデットは、「このクラスを取り始めてから、体調が悪くなった時でも、体内の気の流れに集中して、自分でそれをクリアーにすることができるようになりました」とその効果を語る。
音楽家のタナカ・ミチヨは太極拳歴5年。「朝、太極拳をすると、一日中頭の中がクリアになり、余分な力が入らずに、ピアノも調子よく弾けます」。やればやるほど太極拳の奥深さのとりこになってくるという。
コンピューター・コンサルタントのテリー・コリンズは、太極拳を始めて5年半。同スタジオで推手(プッシュハンド)のアシスタントも務める。「Yielding」のテクニックは、戦わずしてより強い力を発揮する技で、これはビジネスの現場でも生かされているそうだ。「太極拳を学んだことで、人間相手でもコンピューター相手でも、うまくやっていけるようになった」と明るく冗談まじりに語ってくれた。
推手を中心に練習していたボリス・スヴェチンスキーは、「体が硬かったので、もっと柔軟になりたかった」のがきっかけだったという。「太極拳をやり始めてから、体だけではなく、他人に対しても自分に対しても柔軟に向かえるようになりました。無理やり押し通すのではなく、よく耳を傾けるようになったんです」と真剣なまなざしで話し、週2回欠かさずこのスタジオに通う。
体を鍛えるだけではなく、ストレスの多い現代社会をしなやかに生きていくために必要な精神をも習得できる太極拳に、この夏挑戦してみてはどうだろう。
(文中敬称略)
伝説の太極拳家Cheng, Man Chingのもとで1964年から70年まで修行を積んだマスター・アン。マスター・アンのスタジオは、コースも豊富。 授業は英語のみ。初心者向け初回トライアル15ドル、通常1回20ドル/上級(推手・プッシュハンド)1回20ドル
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