さくらコーラス
居心地と和やかさ満開 四半世紀の草の根交流
ペンステーション駅からロングアイランド鉄道に乗り込み、一路グレートネックへ。30分の小旅行だ。そこには、木漏れ日の揺れる並木道に豪奢な邸宅が立ち並ぶ、およそ別世界が広がっていた。この美しい町に「さくらコーラス」が日本の息吹を伝え始めて24年が経つ。
練習は毎週木曜の朝。この日の参加者は21人で、先生が二人。そこに小さい子供8人が加わる。放っておくと、主役はいつでも子供たちだ。「さあ、始めましょう!」。歌唱指導兼指揮を担当する先生の佐藤早穂子が、持ち前の通る声で空気を変える。佐藤は第一線で活躍するプロのソプラノ声楽家だ。軽い準備体操から始まり、発声練習、合唱へとクレッシェンドする。
ピアノ担当の先生はジュリアード音楽院卒で日米で活躍するピアニストの濱田あや。マンハッタンから「通勤」して8年になる。「気分がリフレッシュします」と微笑む。
1983年設立のさくらコーラスは演奏会やボランティア活動を通じ、継続した草の根の文化交流を図ってきた。創設メンバーでもある代表の岡本董乃は、「演奏会で振る舞う日本料理を楽しみにしている地元の人も多いですよ」と朗らかだ。この活動をグレートネック図書館も支援し、無償で練習場所を提供している。
メンバーの出席率が高いことも特徴だ。「生活の一部です」と口を揃えるのは、スミザム淳子と竹下嘉子。スミザムは、「地元に貢献している感があるし、思う存分日本語を話せるのも楽しい。帰国した人たちとも交流が続いてます」と語る。一方、ストーニーブルック在住の竹下は片道1時間をかけての参加。「遠いのは覚悟の上。みなさんに会えるのが楽しいから」と、もう5年目だ。年齢や肩書きは関係ない、良い意味でアメリカ的な面も魅力なのだろう。
子供連れを歓迎しているのもユニーク。初参加の平野恵子は、「子供連れでも、ちゃんと練習できた」と良い出会いになった様子。2年目の奥山奈美恵も「子供はお友達と遊んで、私は大きな声で歌ってリフレッシュ。貴重な場ですね」と語る。
そんなさくらコーラスも、近年の駐在員減少に伴ってメンバーの数が減り、一時は解散を検討したという。岡本が笑顔で振り返った。「他にない存在だからぜひ続けていきましょうよ、という声が内外から多く出ました。ありがたいと思いました」。グレートネックに根づいた桜は四半世紀を経て、花を咲かせ続ける。
(文中敬称略)
グレートネックの日本人女声合唱団。初めての方、小さい子供連れや他地域からの参加も歓迎。練習はグレートネック図書館にて毎週木曜朝10時から正午まで。演奏会は年に1〜2回。次回は12月9日にポートワシントンの教会で行われる予定。
【問い合せ先】
TEL: 516-829-6270(担当: 岡本)
E-mail:
sakura.chorus@hotmail.com