ニューヨーク五行歌の会
自由な歌で自分探し和歌の新風、世界へ
汗ばむ陽気が続くマンハッタンの昼下がり。涼感漂う日本食レストランに、「五行歌」の歌人たちが集っていた。爽やかな夏物の着物姿こそあれど、短冊も墨もない現代的で自由な歌会が催されるところだ。この日の参加者は13人。約半数が、五行歌の発案者で詩人の草壁焔太をはじめとする日本からの一行だ。
歌会はまず、各参加者の作品のお披露目から始まった。埼玉県から参加の福家喜美はニューヨーク行きを目前に控え、高ぶる気持ちをこう詠んだ。
〜自由の女神を見よう
食べ歩きを楽しもう
ジェット機より
先に
期待が飛び出す〜
五行歌のルールは「5行に書く」「1行は一息で読める長さ」の2点だけ。94年の「五行歌の会」立ち上げ以来、自由な形式で率直な自己表現ができると人気を呼び、現在では全国150の支部に約5千人の愛好者が集う。また、授業に取り入れる学校や公募コンテストを行う自治体や企業も増え、参加者はこれ
までに約50万人というから、その勢いは本物だ。ニューヨーク会は昨年12月の草壁の初渡米に合わせ発足。今年2月から毎月歌会を開き、会報を発行するなど活動が本格化してきた。
「日本在住の方たちとの歌会で、在米組の作品は良くも悪くも人目を気にしてないことに気が付きました」と微笑むのは、1月から五行歌を始めた新名八千代。一方、同じ五行歌歴を持つ安福瑞子は「自由に書けるからこそ難しい面も」と深さを実感した様子。ニューヨーク会の代表を務める森光健朗は「溜め込んだ思 いを吐き出すことも大切でしょう」と朗らかに語る。
この日、第一席に選ばれたのは「自分自身を書き直している気持ちになった」というジーン目良の作品。
〜とことんまで
裁くのを止めよう
そしたら「正義」とか
「愛」がかすかに光り出す
底の底から〜
歌会では感想を述べ合うが、作者の意図と同じである必要はない。「皆さんの感想を聞いて、自分の作品を深めてもらいました」と目良。
「五行歌は様々な言語でできるはず」と念願の世界普及に乗り出した草壁。「日本には水準の高い文化も多いが、言葉の壁などで世界をリードするものはなかなかない。五行歌で世界に挑戦したいという気持ちもあるんです」。
(文中敬称略)
自由な詩型の五行歌を楽しむ「五行歌の会」ニューヨーク支部。今年2月から活動を開始し、毎月第4土曜日にニューヨーク市内のレストランなどで歌会を催すほか、会報を発行する。年齢性別を問わず、随時参加者を募集。
■問い合わせ
TEL&FAX: 718-268-4956(森光まで)