日系人会コーラス部
心と心が通うとき最高のハーモニーが生まれる
ミッドタウン、日系人会オフィスの1室から響く、懐かしい日本の叙情歌。その弾んだ歌声に耳を傾けるだけで、歌い手の楽しさが伝わってくる。グランドピアノをぐるりと囲むのは、30名にも及ぶ日系人会コーラス部のメンバー。今月のさくら祭りを控えて、いよいよ課題曲の追い込み練習が始まった。
この日配られた楽譜は、「ローレライ」と「花」。楽譜を受け取るやいなや、メロディーを口ずさみ始める一同だったが、指揮者の伊藤玲阿奈はピアノには触れず、朗々と歌詞を音読してみせた。「歌は、演劇と同じです。台詞の意味を理解しなければ、良い演技ができないのと同じで、歌詞を理解しなければ、気持ちのこもった歌は歌えないんです」と伊藤。課題曲「花」は、当初は勢いが先立った合唱だったが、全員で歌詞の意味を確認するにつれて、柔らかく流れるような合唱に変わった。
「合唱は、石垣みたいなものです。出っ張っているもの、形が悪いもの、様々な石が一つになって初めて美しい石垣ができる。私たちもそれと同じです」と語ったのは、創立メンバーの一人である市田幸治。重みのある声質で4人しかいない男性メンバーを盛り上げている。「やっぱり混声合唱は楽しい」と言うのは、三つの合唱グループに参加している筋金入りの歌好き、太田房子。中でも日系人会コーラス部は、歌好きな人が気負いなく楽しめるところが好きだと言う。
そんなオープンさに惹かれて部に参加したのが、コーラス歴1年の桜子・メルローズ。「ニュージャージーに住んでいるので、週に1回マンハッタンに来る口実ってところかしら?でもコーラスは脳の活性化になるんですよ」と楽しげに語る。
メンバーの中でもひと際気持ち良さそうに歌っていたのは、「歌に出会えて、生きていて良かったと思いました」と熱を込めて語る日出子・パラゴン。3年前にコーラス部に参加してからというもの、歌うことが楽しくて仕方ない。最近はゴスペルクワイアにも参加し、ますますその歌声に磨きをかけている。
気がつけば1時間のレッスンが、2時間に延長。しかし誰ひとりとして教室を出る生徒はいない。「お互いの歌声に耳を澄ませて下さい。それが美しいハーモニーを生みます」と伊藤がアドバイス。「春のうららの隅田川〜」美しく折り重なるハーモニーに耳を傾けると、心の中にきらきらと眩しい春の情景が浮かび上がった。
(文中敬称略)
コーラス部は、ニューヨーク日系人会にて毎週金曜日の午後1時から開講。受講料は会員7ドル/1回。非会員10ドル/1回。申し込みは電話、メールにて受付。混声合唱なので、男性、女性ともに参加可能。
ニューヨーク日系人会
TEL: 212-840-6942/6899
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