友藤会
新春公演は予想以上の大入り満員
夕暮れのローワーイースト、とあるギャラリーのショーウィンドーを覗き込む人だかり。彼らの視線を釘付けにしているのは、鳴物、唄、踊りなど日本伝統芸能を多角的に嗜む友藤会の稽古風景だ。友藤会はこの日、1週間後に控えた同ギャラリー「ワントェンティエイト」の20周年記念イベントでのパフォーマンスに向け、最終調整を行っていた。
ニュージャージー州公認の非営利団体の友藤会が、2カ月前に開講したのがこのニューヨーク教室。メンバーにとってはこのイベントが初めてのお披露目となるとあり、一同真剣な稽古が続いた。「西洋のダンスや楽器は経験がありますが、日本のものはまた違うもの」と語る山本美子は、もともと三味線と長唄に興味があり、友藤会のワークショップに参加したのがきっかけで、入会。かつては京都の太秦スタジオに勤務していたとあって、着物での立ち居振る舞いにはなかなかの風格がある。
一方、このギャラリーのオーナーでもある宮本和子も型が決まっている。子供の頃に日舞の経験があるという宮本は「40年ブランクがありますが…。体が覚えているものですね」とのこと。また宮本は現在、多国籍な創作ダンスグループにも所属しており「アメリカ人のダンサーは、ベースとしてみんなバレエをやっていますけど、私は日舞も取り入れて他の人と違った表現をするのに役立てています」と、日本伝統舞踊の汎用性を強調する。
もう一人、日舞の経験がある原万知予は渡米以来、ニューヨークでも舞踊が続けられるところを探していたところ、渡部と出会い入会した。「日本らしい首の角度や足の運びかたなどがなかなか難しいですね」と語りながらも稽古に没頭していた。
このギャラリーに作品を展示している関係で、この日初参加となった画家の前田早苗は「何十年かぶりに着物を着て、くつろいだ気分になった」と笑顔。さらに「これからも続けてやっていきたい」と本格活動開始を表明した。
そして今月3日に迎えた本番。予想以上の盛況ぶりで、会場は押し合いへし合いの大わらわとなったものの、三味線と唄の演奏2曲に踊り3曲の正月らしい演目を練習通りに無事披露。日本人だけでなく、通りかかったアメリカ人の観客にも大好評で「ぜひ参加したい」と、入会希望の声もあがるなど、新春早々幸先のいいスタートとなった。
(文中敬称略)
ニュージャージーに拠点を置く非営利団体。これまで学校や図書館、教会などで日本文化を紹介してきた。昨年11月からはニューヨーク教室を開講。Gallery Onetwentyeight(128 Rivingston St.)で毎週水曜日の7時半から坂東流日本舞踊、三味線、唄、堅田流鳴物などの稽古を行っている。
連絡先: mariko_watabe@excite.co.jp
(渡部まり子)