真武道会
争わず、和を重んじよ 心をほぐす合気道
ピンと張りつめた空気の中、畳と素足が擦れる音だけが聞こえる。騒々しい街から隔てられた静寂の空間で、真武道会の稽古は始まる。「合気道は、相手の力を利用して技をかける武道。体格や性別に関わらず、どんな人でも楽しめるのが魅力」と語る指導員の秋山直人。その言葉どおり、道場には老若男女が集い、時には70歳のおばあちゃんが大男を投げてしまうことも。
真武道会は、師範の今泉鎮雄が1988年に設立した道場。その歴史ゆえ、かなりのツワモノ揃いかと思いきや、意外にも「うちは町道場みたいなもので」と秋山は笑う。生徒数は約40名で、会社員をはじめ警察官、ミュージシャン、作家など様々な人々が、「仕事帰りにちょっと」という感じで汗を流す。
今日の稽古はペアになって「四方投げ」と呼ばれる基本的な技を練習。向かってくる相手を、ふわりとかわし、投げる。武道というよりはダンスに近い軽やかな動きだ。「衝突するのではなく、相手の気持ちを読んで投げるべし」と指導する今泉師範。生徒には常々、技の上達だけでなく、精神の鍛錬を説いている。
「合気道を始めてから、会社での交渉ごとが上手くなったんです。相手の気持ちを汲み取る癖がついたからですかね?」と語る秋山は今の道場に通って8年。合気道で身につけた人との距離の測り方を実生活にも生かしている。「袴姿の生徒を見て、自分も穿きたい!と思ったのがきっかけ」と懐かしそうに語るボブ・トールマンは、今や合気道歴25年、道場の師範代だ。道場で一番の練習家、野口庄次は、本業がミュージシャンというだけあって、身のこなしがどこか優雅。「ごろごろ転がると、童心に戻れてとにかく楽しい」と言う。道場に咲く花、女性参加者のアヤ・カーピンスカは、「体だけでなく心まで強くなれると知って、始めました」と語るも、実はネットで見た今泉師範の写真に一目惚れし、道場の門を叩いたという秘密の動機を告白。「リラックスできました。武道で心が癒されるなんて驚き」と感激していたのは、体験入門者ショー・アルバート。合気道の癒し効果の虜になったようだ。
約2時間の稽古が終わると、生徒たちは疲れを見せるどころか、一様にすっきり、晴れ晴れした表情で、束の間の雑談を楽しむ。そこへ師範から「恒例・畳の雑巾がけ」の指令が!親しき仲にも礼儀あり。武道の心を忘れない、優しき町道場の姿を垣間見た。
(文中敬称略)
平日の稽古は夕方6〜7時、7時10分〜8時10分の2回。基礎からしっかり教えてくれるので初心者でも安心。道場使用料として1回25ドル。1カ月間のフリーパスは140ドル、学生は70ドル。体験入門も随時受け付けているので、興味のある人はメールで連絡するか、直接道場へ。
【連絡先】
anaoto@gmail.com
www.shinbudokai.com