東海岸弓道部
心を射抜く弓の魅力
「サークル名? 何にしようかな。じゃあ…」と、部長の高田史子の思いつきでこの日名称が決定したのは、発足したばかりの新サークル、東海岸弓道部だ。
高田とともに、サークル立ち上げに尽力したクリス・キーナンは、英語教師として訪れた日本の高校に弓道部があったことがきっかけで弓道を始めた。当時、異国の地での激務に神経をすり減らしていたクリスに、弓道はやすらぎを与えてくれたという。任期を終えアメリカに帰国した今でも「的に集中しているときは、それ以外のすべてを忘れることができる」と、練習を続けている。
一方、「ちょっとずつ感覚を取り戻してきています」と語るのは、大学時代に弓道部に所属し、2段の実力を持つ山田英子。大学卒業後はこれまで全く弓に触れることはなかったが、とある日系スーパーマーケットの掲示板で偶然このサークルのことを知って参加するようになった。大学生になる長女も、弓道に興味を持ちはじめ、一緒に練習に参加したこともあるのだそうだ。
山田によると、「また(弓道を)始めたいという思いはずっとあったが、なかなかサークルを見つけられないでいた」とのこと。確かに剣道や空手の競技人口はかなり多いニューヨークでも、弓道というのはあまり聞かない。全長28メートルという的場の確保が難しいことがその理由だ。東海岸弓道部では、アーチェリー場を使用して射的練習を行っているのだが、アメリカでは見慣れない和弓を引いて的を狙っていると、彼ら自身が「注目の的」と化すそうだ。
「集中力やバランス、呼吸の仕方などはアーチェリーと共通しているけど、的の狙う時の目の位置が違うので難しい。それに弓もかなり大きい」と、和弓と洋弓を比較するのは、ジェネミー・ギュンター。ニュージャージーの北部に生まれ、「父がよく鹿を仕留めて持って帰ってきた」というワイルドな環境で育った彼にとって、アーチェリーは子供のときから身近な存在であったが、サムライ・ムービー好きだったことが影響して、弓道の世界にも足を踏み入れた。
今回から練習に参加した木村沙織は、「見かけよりも弦がかたくて筋力がいる。今日は全然できなかった」と初体験の感想を語ると、さらに続けて「次回はもうちょっとましにできるようになりたい」と、早速弓道の魅力に射抜かれたようであった。
=文中敬称略
毎週日曜日にフォートリーの育英学園、およびカーニーのアーチェリー場で活動している小笠原流の弓道部。礼儀や精神面も大事にしながら、競技としての弓道を楽しむことをモットーとしている。
現在メンバーを大募集中。老若男女、性別問わず。未経験者もサムライ・ムービー好きの外国人も大歓迎。
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