ニューヨーク花笠会
さくら祭りに向け最終調整に
チェルシーにある格闘技ジム。屈強な男たちがサンドバッグを黙々と叩く傍ら、たおやかに舞う女性たちがいる。今月ブルックリン植物園さくら祭りで披露する花笠パレードに向け、目下稽古中のニューヨーク花笠会だ。
この会を率いるのは座長の鈴木百さん。初心者からベテランまでが入り交じる踊り子たちを手取り足取り指導しながらも、「楽しんでやるのが一番」と笑顔を絶やさない。
山形生まれの鈴木さんは「自分自身が踊りたかったから」という理由で、1999年ニューヨーク花笠会を設立。その後花笠会は、恒例のさくら祭りのパレードで花笠を披露し、毎年好評を得てきた。今年で3回目の出場となる踊り子、中野敬子さんは、花笠の魅力を「失敗しながらもみんなで上達していくこと」と話す。
花笠と言えば山形の郷土芸能だが、現在の花笠会に山形県出身者の踊り子は、鈴木座長を除いては一人もいない。そのほとんどは、この会を通してニューヨークで花笠を始めた人たちばかりだ。6年前に入会した大田房子さんもその一人。しかし「もう気持ちはすっかり山形人よ」と語るだけあり、大田さんの舞は、すでにその一挙手一投足に貫禄が感じられる。
他方、会のレベル向上のために「子供の頃から踊っている山形の人にも参加して欲しい」と話すのは、加藤静子さん。やるからには、楽しいだけでなく質の高いものを見てもらいたいという思いが伝わってくる。 そんなおり、待望の山形県出身者が花笠会を訪れた。この日初めて見学に訪れた本城智子さんは、はじめは遠巻きから眺めているだけだったが、山形県民としての血が騒いだのだろうか、いつの間にか踊りの輪の中に。「久しぶりだったけど、小学校の体育の授業でやったのを思い出した」と本城さん。やはり山形人の体には、花笠のリズムが染み込んでいるようだった。一緒に来ていた息子の優希君も、はにかみながらも花笠を手に輪に加わるという、微笑ましい一幕もあった。
終始和やかなムードで稽古が進んだ花笠会。しかし、一年のメインイベントであるさくら祭りを今月末に控え、最後の詰めに入った彼女たちの舞には、すぐ隣でシャドーを続けるキックボクサーに負けないくらいの凛とした迫力が感じられた。
毎週日曜日の午後2時から4時まで、ファイトハウス(122 W. 27th St., 11th Fl)にて活動。 東北四大祭として知られる花笠祭りで踊られる花笠踊りは、赤い花飾りをつけた笠を手に舞う山形の伝統舞踊。ニューヨーク花笠会では、ブルックリン植物園のさくら祭りのほか、数々のイベント出場に向け、世代や国籍を越えた踊り子たちが楽しみながら稽古に励んでいる。もちろん男性の入会も大歓迎。
【お問い合わせ】
TEL: 212- 982-6952(鈴木百)
MomoSuzuki@nyc.rr.com
www.japanesefolkdance.org