2018/10/05発行 ジャピオン987号掲載記事

003 インダストリアルな雰囲気 世界46ヵ国の豆を楽しむ

ブルックリンのガイドブックの著者が、ガイドブックで書ききれなかったことやまだまだあるブルックリンのお気に入りスポットをナビゲートします。今週の私のとっておきスポットは、ダンボにある「Brooklyn Roasting Company」です。

Brooklyn Roasting Company(ブルックリン・ロースティング・カンパニー)

私がニューヨークに移住したのは2002年のことですが、そのころコーヒーといえば、薄くて味もフレーバーもほとんどないものが主流で、おおよそ今市場で出回っているおいしいコーヒーとはまったく別物でした。スターバックスでさえ、数は今ほど多くなかったと記憶しています。

どんなコーヒー好きも唸らせる

そして時代はサード・ウェーブ・コーヒー・ブームとなり、コクや深みのあるコーヒーが浸透し、本格的なカフェも増えました。

ダンボにある「Brooklyn Roasting Company」(以下BRC)は、ニューヨークに数あるサードウェーブ系カフェの中でも、私にとって5本の指に入る店です。日本からのゲストや友人を何人も連れて行ったことがありますが、どんなコーヒー好きを連れて行っても「これはおいしい!」と言ってもらえる、お墨付きです。

オーナー、マイケル・ポラック(Michael Pollack)は「普通の人はコーヒーを飲みながら他の話をするけど、僕はコーヒーを飲みながらコーヒーの話しかしないんだ」と言うほど、根っからのコーヒーラバーです。

そんなマイケルは世界46カ国のコーヒー農園と提携し、自らが足を運んで豆を厳選。ネイビーヤードにある約1672平方メートルの広い工場で焙煎&独自にブレンドしています。「自分の店以外のコーヒーを飲まない」。そんな彼のプラインドあふれるBRCのコーヒー、おいしくないわけがありません。

マイケルは21歳のころからコーヒーを飲み続けているそうですが、ここに到達するまで数々のストーリーがありました。以前はレンタルビデオ店の経営、映画撮影、子供用ラジオ番組の制作、主夫と子育てなど、さまざまな仕事を経験したのち、現在のビジネスパートナーと出会って、2010年に焙煎工場をオープンしたという、ユニークな経歴の持ち主です。翌11年、隣の家具屋が退去したのを機に壁を取り壊して店舗スペースを拡大し、現在のカフェスペースをオープン。お店で飲めるようになって、ますます人気が加速しました。

焙煎コーナーに飾られた1枚の絵

日本のメディアの取材ということで、あいさつ早々に「見せたいものがある」と連れて行かれたのは、焙煎コーナーの隅にある1枚の絵。「昔、フランスの芸術家が外壁に残して行ったゲイシャの絵なんだ」とのこと。パナマなどから輸入される「Geisha」コーヒー豆(エチオピア種)とかけたもので、マイケルはとても気に入っているそうです。「店のロゴとして使いたくて許可を取ろうと思い、芸術家を探したけど、連絡先が分からずにロゴにするのは諦めた」と言います。

そんな興味深いエピソードを思い出しながらBRCのコーヒーを飲むと、さらに一層味わい深く感じるので不思議です。
 

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Cappuccinoとニンジン味のCarrot Donut (共に4ドル)
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2017年「Men’s Journal」誌で「全米ベストロースター25」の一つとして選ばれた。女優のグウィネス・パルトローもここのファンだと、WSJ紙で語っている

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