2017/11/10発行 ジャピオン941号掲載記事
江田あつしさん
パフォーマーになろうと思ったきっかけは?
子供のころは家族の前でよく踊っていましたが、プロになろうとは思っていなくて。ただ、体を動かすのが好きだったので、ミュージカルの勉強ができる関東国際高校に進学しました。
卒業時に、同級生に誘われて東京ディズニーランドのオーディションを受けてみたら合格し、5年間、ミッキーのバックダンサーやホテルのショー、ツアーにも参加して踊っていました。その後、劇団四季のミュージカルに出演しました。そしてテレビの音楽番組でMC兼ダンサー兼シンガーを務めましたが、やはり「舞台がやりたい」と思い、1年で仕事を辞め、当地に来ました。
当地に来た理由は?
それまでも、日本でショーの仕事が終わると、翌日からニューヨークに来て昼はダンスレッスンを受け、夜は舞台を観るということをしていましたが、一度長期で住んでみようと考えて、学生ビザで来米しました。ただ学生生活には2カ月で飽きてしまい、学生ビザでも出演できるミュージカルに出演し始めました。そのころ、先生に勧められて受けたオーディションで最終審査まで呼ばれたのですが、働けるビザがなくて仕事を受けられなかった。「働けるビザがあったら、この仕事が取れたかもしれない」と思ったら悔しくて。そこからビザを取ろうと決めて、1年後に無事取得し、以来ミュージカルやコンサートを中心にパフォーマンス活動を続けています。
何が一番大変ですか?
やはり英語には苦労します。リハーサルで共演者に僕のセリフをしゃべってもらって録音して、それを何回も聞いて発音を直しています。協力してくれて、励ましてくれる共演者にはいつも感謝しています。
来た当初は、オーディションに行くとアメリカ人しかいなくて、体型も見劣りするし、自分がアジア人であることに負い目がありました。でも共演者に、「あつしにはあつしの個性があるから、このショーにいるんだよ」と言われて、自分らしくいればいいんだと楽になり、アジア人であることを逆に武器にしようと思うようになりました。
仕事でうれしい瞬間はどんな時ですか?
自分のセリフやしぐさで、お客さんが反応してくれる時が一番うれしいです。特にセリフで笑ってもらった時は、僕の英語が通じたんだという喜びがあって格段にうれしいです。「プロデューサーズ」の初日、ソロのダンスが終わった時に拍手が起きて。そこで拍手が来ると思ってなかったので、すごくうれしかったです。
今後の目標は?
10年間はアメリカで仕事をしたいです。振付家のロブ・ アシュフォードが好きで、彼のショーで踊りたいという目標があるので、一緒に仕事ができるチャンスに近づけるように頑張りたいです。僕の踊りは「楽しそう」とよく言われるので、お客さんがハッピーになってくれる舞台にたくさん出ていきたいですね。
『若者の日常チェック!』
彼らは日常をどうやって過ごしているのか。
仕事場、オフの姿を追う。




江田あつしさん
関東国際高校演劇科卒。2015年来米し、バレエアーツで学んだ後、ミュージカルを中心に活動。今年は「エニシング・ゴース」「プロデューサーズ」「ハロー・ドーリー!」などに出演。
推薦者のことば

フランク・カイアティさん
ジェフサマハシアター「メアリーポピンズ」ディレクター
あつしは、マグネットのように人を引きつけるパワーを持っています。彼のポジティブなエネルギーと才能、そしてパーソナリティーに、観客はもちろん、カンパニーのみんなも魅了されています。今後の活躍が楽しみです。