2019/03/08発行 ジャピオン1009号掲載記事

心と体のメンテナンス

親子で取り組む子供の睡眠改善(後編)

子育てに「正解」なし 親子の心のケア大切

子供の睡眠についてよくある誤解とは?

母親や父親など、保育者が子供のためによかれと思ってしていることが、実は子供の寝かしつけを長引かせ、安眠を妨げていることは珍しくありません(表参照)。

夜中の頻繁なおむつ替えは、その一つ。「おむつが濡れていると、子供は寝てくれない」と心配する保育者は多いのですが、そんなことはありません。おむつが尿でパンパンになっているとか、便で汚れている、おむつかぶれがあるなどの場合は例外ですが、そうでなければ夜中の頻繁なおむつ替えは不要です。

おむつを替えないといけないときは、無言で淡々とやるのが睡眠トラブルを避けるコツ。部屋の照明を明るくし、「○○ちゃん、おむつ替えしましょうね」と話し掛けたり、冷たいお尻ふきでお尻をきれいにしたりすると、寝ている子供を起こすことになります。

また、子供が夜中に「あー」「うー」と声をあげたり、目を一瞬開けたりしても、抱いてあやす必要はありません。こういう状態のときも、脳波を観察すると、実は寝ているという研究結果もあり、少し様子を見ていると、またすぐ静かに寝ることが多いのです。


昼寝はさせない方がいいのでしょうか?

昼寝はさせてください。子供の成長や夜の安眠にとって、月齢に応じた昼寝はとても大事です。昼寝をしなかった子供は、疲れ過ぎて逆に興奮する、癇癪(かんしゃく)を起こす、寝かしつけに時間がかかり泣いたりぐずったりする、夜泣きする、などの睡眠トラブルにつながる可能性が高くなります。対照的に、昼寝して脳を休ませた子供は、夜もよく寝る傾向があります。

ただし、2歳以上の子供は、昼寝が長過ぎると夜の睡眠が妨げられる可能性があります。1日の合計睡眠時間の目安(前編参照)を参考に、各自で調整してください。


添い寝による精神的成長への影響は?

「添い寝をすると親子の絆が強くなるが、親離れ・子離れが遅れる」「一人寝の方が、自立心旺盛な子供に育つ」など、添い寝をめぐっては、昔からさまざまな議論があります。専門家による研究も行われていますが、今のところ、添い寝か一人寝かによる子供の精神的成長への影響は報告されていません。

「子供が何歳になったら添い寝を止めるべきですか?」という相談も多いのですが、それに答えはありません。親も子も、添い寝をすることで困っていることがなく、また互いに幸せであれば、急いで止める必要はありません。

ただし、添い寝には、「授乳が簡単にできる」「親子が安心して眠れる」「親が子供の異常に素早く対応できる」などの長所がありますが、「寝ながら体を動かしたり蹴ったりする子供の場合、親が眠れない」「子供が夜中、頻繁に目を覚ましやすい」という短所もあります。さらには、子供が親の毛布をかぶって窒息するなど、思わぬ事故につながる危険も指摘されます。

そのため、米国小児科学会は子供の安全と乳幼児突然死症候群のリスクを考慮に入れ、1歳までは親子が同じ部屋で寝ることと、その際に子供はベビーベッドで寝かせるなど、親子が別々に寝ることを推奨しています。

親と同室か別室か、添い寝をするかしないかは、住宅環境や寝床の安全性、家庭環境、家庭の考え方などによって異なり、どの方法がいいかは一概に言えません。子供の安全を最優先した上で、保育者が十分に話し合って決めることが大事です。


子供の睡眠で悩んでいる保育者にアドバイスを。

困ったときは一人で悩まず、周囲の人や、私のような乳幼児睡眠コンサルタントに相談してください。どんなに大変に思えることも、改善策は必ず見つかります。

たまには好きなことをして気分転換し、家族やベビーシッターに頼って休むことも大事です。保育者が幸せだと子供も幸せになり、逆に保育者の心が満たされていないと、子供はそれを察知して不安になり、睡眠にも影響が出てきてしまいます。

保育者(親)は、すでに十分頑張っています。これからは専門家の知識も使って悩みを解消し、子育てをもっと楽しんでいただきたいと思います。

※次回から、小林利子さんに折り紙療法と認知症予防について伺います。

出典: 「ママと赤ちゃんのぐっすり本」を基に編集部作成
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愛波文さん
Aya Aiba

IMPI(International Maternity and Parenting Institute)公認乳幼児の睡眠コンサルタント(国際資格)。IMPI日本代表。子供の睡眠について科学的根拠に基づく改善方法を提案、個別相談や教育プログラムを提供するSleeping Smart®代表。IMPI提携の乳幼児睡眠コンサルタント資格取得講座(日本語)講師。著書に「ママと赤ちゃんのぐっすり本 『夜泣き・寝かしつけ・早朝起き』解決ガイド」(講談社、2018年刊)がある。

愛波文 Sleeping Smart®

https://sleepingsmartconsulting.com
https://twitter.com/sleepingsmartJP
https://www.instagram.com/aya_aiba

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