2019/02/08発行 ジャピオン1005号掲載記事

心と体のメンテナンス

子供を感染症から守る予防接種(後編)

主治医と接種歴を確認 麻疹予防にワクチンを

予防接種歴を記録する仕組みとは?

日本では母子健康手帳に予防接種歴を記録しますが、それに似た仕組みはアメリカにもあります。各州または市が運用するワクチン接種電子登録システム(オンライン・レジストリー)はその一つで、ワクチン接種日や接種を受けた医療機関を記録することができます。ワクチン接種を行った医師がレジストリーにアクセスし、その患者の記録を更新します。

アメリカでは州政府が子供について、何歳で、どの種類のワクチンを打つかを決めています。州によって多少の違いはありますが、子供が乳幼児ケア施設、小学校、中学校、高校に入園・入学・転校するときなどに、予防接種記録を提出する必要があり、州が義務付けるワクチン接種が終わっていないと、完了まで入園学・通園学が認められないこともあります(前編参照)。

普段からレジストリーを利用していると、必要なときに予防接種歴をすぐに確認できるので便利です。子供の健康診断などの際に、主治医と予防接種歴を確認し、今後の接種計画を立てることもできます。接種漏れがないように、登録者に接種通知を送る州もあります。

レジストリーへの登録や、予防接種記録の更新を希望する場合は、主治医に相談してください。


日本で受けた予防接種歴は、アメリカで認められますか?

はい、認められます。例えば当院は、母子健康手帳などで日本での接種記録を確認できた場合、それをアメリカのシステムに反映しています。

ただし、アメリカの全てのクリニックに日本語を理解する医師やスタッフがいるわけではなく、むしろそういうクリニックは少数です。そのため、できれば来米前に予防接種記録を英語に翻訳し、さらにその内容が正しいことを証明する医師の署名をもらっておくと安心です。自治体の保健当局や、その他専門機関の英訳サービスを利用するといいでしょう。

私の経験では、日本で生まれ育った子供の場合、来米時に州が義務付けたワクチン接種を完了しておらず、追加接種が必要になるケースが多いようです。B型肝炎ワクチンはその一例で、アメリカでは全ての州で、生後すぐから数回の接種を義務付けていると思われますが、日本では2016年に定期接種が始まったばかりです。来米後はできるだけ早く医療機関を受診し、受けるべき予防接種を確認することをお勧めします。


予防接種は安全ですか?

ワクチン接種後の副反応が心配だという人もいるかもしれませんが、副反応はあったとしても、少し熱が出る、接種部位が赤く腫れる・痛むなど、軽度の場合がほとんどです。 

一時は、MMR3種混合ワクチン(麻疹=はしか、流行性耳下腺炎=おたふくかぜ、風疹)が自閉症の原因になるという説が報道されましたが、その後のさまざまな研究で、ワクチン接種と自閉症発症の関連性はないことが示されました。

ワクチンを何種類も同時接種することによる体への影響を心配する人もいますが、医師の指示に従って接種を受けている限り、問題はありません。むしろ、同時接種によって必要な免疫をできるだけ早くつけることができ、接種のために何度も通院する負担を減らすこともできます。


一部で麻疹患者が増えています。予防接種を受けたか不明なときは、どうすればいいですか?

MMR3種混合ワクチンの接種をお勧めします。血液検査で麻疹の抗体の有無を調べることもできますが、予防接種を受ける方が早く確実に感染を予防できますし、費用もかかりません。同じワクチンの接種をすでに受けていた場合、二重に受けることになりますが、体に害はありません。

0歳児や妊婦、病気で免疫が低下した人たちは接種を受けることができません。こういう人たちと接する機会がある人は、特に接種を検討してください。

今回は子供の予防接種についてお話ししましたが、肺炎や帯状疱疹を予防するワクチンなど、特定の年齢以上の成人に推奨されるワクチンもあります。子供だけでなく成人も、ワクチン接種についてぜひ主治医に相談してください。

※次週からは、エリック・K・チャ先生に美容整形術についてお聞きします。

米疾病対策センター(CDC)が作成した子供の予防接種に関するウェブサイト(www.cdc.gov/vaccines/parents/index.html)。年齢ごとに接種が推奨されるワクチン一覧やその他情報を閲覧できる。州が接種を義務付けるワクチンは各州保健局のウェブサイトで確認を(出典:CDC, For Parents: Vaccines for Your Children)
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加納麻紀先生
Maki Kano, MD

内科・小児科専門医師(Board Certified)。マウントサイナイ医科大学卒業後、同大学とニューヨーク大学医療センター共同の内科・小児科専門医師養成・研修プログラム修了。米国日本人医師会(JMSA)副会長、日本人家族と子供に医療関連教育や健康支援プログラムを提供する非営利団体(NPO)「ニューヨークすくすく会」代表。

東京海上記念診療所 / Mount Sinai Beth Israel

Japanese Medical Practice
Westchester Office
141 S. Central Ave., #102, Hartsdale, NY 10530
TEL: 914-997-1200

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