2018/12/07発行 ジャピオン996号掲載記事

心と体のメンテナンス

年末年始のホリデーブルー対策(中編)

多忙な時期こそセルフケア 新年の目標を考える好機に

ホリデーブルーの予防と日光浴にはどんな関係がありますか?

ホリデーブルーとは、文字通りホリデーシーズンに起こる心身の不調です。原因は人によっていろいろですが、日照時間が減る冬場に増える「季節性感情障害(SAD=Seasonal Affective Disorder)」との関係が大きいと言われています。日光浴にはSADを予防する効果があり、ホリデーブルー対策としても有効です。

SADは、1日周期で活動と休息のリズムを刻む「体内時計」が乱れ、ホルモンバランスが崩れることによって発症します。乱れた体内時計は光によってリセットされるので、SAD予防のためには日中、特に午前中にしっかり日光を浴びることが大事です。

ホリデーブルーは、SADなどによって心身が弱った年末年始に、ホリデー独特のストレスが重なることで起こります。ホリデーブルーもSADも、うつ病の一歩手前の状態です。


「光療法」とは何ですか?

日光浴が難しい/日光浴だけでは体内時計の調整が追いつかない場合に、まぶしいくらいの強い人工の光を浴びる治療法です。医療機関で睡眠障害やうつ症状の治療に使われますが、家庭用に卓上タイプの照明装置(light therapy lamp)が市販されており、自宅で簡単に試すことができます。

朝食や朝化粧をする間など、午前中に20~30分この照明装置の光を浴びることで、日光浴と同じような効果を期待できます。アメリカの住宅は間接照明が多いですが、冬場は蛍光灯で部屋を明るく照らすこともお勧めします。

体内時計が乱れると、睡眠を誘導するホルモンであるメラトニンの分泌が減り、分泌のタイミングも遅れます。眠れない場合は、市販のメラトニン・サプリメントも活用してください。


ストレス軽減のためにできる工夫とは?

家族や職場関係のイベントが重なる年末年始は、楽しみが増える反面、生活リズムが乱れ、心身ともに疲れをためやすくなります。予定を詰め込み過ぎないように注意し、物事に優先順位をつけて取り組みましょう。自分にとって大切なことは何かを考え、それ以外のことは後回しにするか、思い切ってやらない決断も時には必要です。

やることが多すぎてストレスに感じたら、自分一人で抱えず、助けてくれる人と分担を。自宅でパーティーをホストするのであれば、準備の一部を友達に頼むか、ケータリングを利用するのは良いアイデアです。アメリカで習慣のプレゼント交換も、経済的に負担が大きければ、なしにしてもいいのです。プレゼントを買う場合は、直前まで待つと余計なストレスになるので、時間に余裕をもって計画しましょう。

暴飲暴食にも注意してください。体に悪いし、翌日自己嫌悪に陥ります。特にアルコールは、うつ症状を促進することが知られます。飲むと開放的で陽気になるイメージがありますが、長期的には負の影響の方が大なのです。

屋内にこもりがちな冬場こそ、20分程度の有酸素運動も日課にしたいもの。体に良いのはもちろん、“幸せホルモン”のエンドルフィンが分泌され、気分が上向きます。午前中に早足で散歩すると、日光浴もできて一石二鳥です。

ホリデーを一緒に過ごす家族や友達がいなくて孤独という人は、他人と接する機会を意識して作ってみてください。旧友に電話してもいいし、ボランティア活動に参加するのもいいでしょう。カウンセリングやサイコセラピーも気軽に利用してください。他人に話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になり、救われることもあるからです。


年末年始を元気に過ごすための助言を。

ホリデーには、家族や知人と久しぶりに会う機会が増えます。仕事や私生活が充実して幸せそうな知人、完璧な家族像、こうありたいと思う自分・昔の自分――そうしたものと自分の現実とを比べ、落ち込むこともあるかもしれません。

しかし、そんな“非現実的な期待”との乖離(かいり)をなげくのではなく、今この瞬間を生きる/楽しむ/愛でることを大切にしてほしいと思います。また、忙しいときほどセルフケアを心掛け、新年の目標を前向きに考える時間をぜひ作ってください。

※次回は、医療機関の利用についてです。

ホリデーブルー予防のため、午前中にしっかり日光浴を。サングラスはかけず、目から光を取り込むとよい
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表西恵先生
Megumi Omonishi, PhD

サイコロジスト。セントラルアーカンソー州立大学大学院カウンセリング心理学科卒業、ジョージア州立大学で同科博士号取得。テネシー大学ヘルスサイエンスセンターで研修。現在はクリニックでの診療のほか、企業向けメンタルヘルス出張セミナーを手掛ける。著書「アメリカ人は気軽に精神科医に行く」(ワニブックスPLUS新書)。

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