2018/11/30発行 ジャピオン995号掲載記事

心と体のメンテナンス

年末年始のホリデーブルー対策(前編)

年末年始はストレスの集中期 一時的にうつ病手前の状態に

「ホリデーブルー」とは?

アメリカでは11月の感謝祭から12月のクリスマス、ニューイヤーズイブ(大晦日)にかけて、1年で最大のホリデーシーズンを迎えます。普段は元気なのに、この時期になると気分が落ち込み、疲れやすくなるという人は、ホリデーブルーかもしれません。

ホリデーブルーとは、文字通りホリデーシーズンに起きる心身の不調です。主な症状は、「元気がなくなる」「常に悲しい」「趣味など、好きだったことに興味がなくなる/楽しめなくなる」「眠れない/いくら寝ても眠い」「疲れやすい/疲れがとれない」「食べ過ぎる/食欲が低下する」「希望が持てない」「集中力/決断力が低下する」などです。頭痛など、体の症状を訴える人もいます。重症になると、「自殺願望」「社会的離脱(引きこもり)」「性欲減退」などが現れることもあります。

これらはうつ病の症状で、ホリデーブルーはうつ病の一歩手前の状態といえます。大抵は医療機関にかかるまでもなく、ホリデーシーズンが終わると症状も自然になくなります。


原因にはどんなものがありますか?

いろいろありますが、可能性として大きいのが「季節性感情障害(SAD=Seasonal Affective Disorder)」との関係です。

SADは、冬場に日照時間が減り、日光を浴びる時間が減ることによって起こる病気です。人間には、1日周期で活動と休息のリズムを刻む「体内時計」が備わっており、多少の乱れも朝陽を浴びることでリセットされます。ところが、日光浴の時間が減ると、リセットが追いつかなくなり、体内時計が乱れます。睡眠が十分取れなくなり、疲労がたまり、気分が滅入り始めます。

この状態が続くと、集中力が低下し、次第にうつ状態に陥ります。つまり、日照時間の短縮によって体に変化が生じ、それを契機に精神的不調を来した状態がSADです。このように、ただでさえ心身ともに元気がなくなる冬場に、ホリデー独特のストレスが重なることでホリデーブルーは起こります。

参考までに、SADは10月から翌年2月にかけて増えることから、「冬季うつ病」と呼ばれることもあります。ニューヨークを含め、冬場に悪天候の日が多い米北部の州に暮らす人ほどかかりやすく、体質やうつ病の既往歴/家族歴が発症に関連することも分かっています。


ホリデーシーズン独特のストレスとは?

この時期は、家族、知人、職場関係のイベントが重なることから、滅多に会わない人に会ったり、普段とは違うことをしたりする機会が増えます。こういった変化は、楽しい/うれしいことばかりではありません。

例えば、自宅でパーティーをホストする場合。誰を招待し、料理はどうするかなど、普段の生活をしながらの準備は大変で、その忙しさや責任から来るプレッシャーはかなりのものです。イベントの企画が好きで、準備も苦にならない人もいるかもしれませんが、大抵の人は何らかのストレスを感じるはずです。

アメリカにはプレゼント交換の習慣があるので、買い物にも行かなければいけません。忙しさに加え、金銭的負担が大きいことは言うまでもありません。

パーティーでは、気心の知れた人ばかりではなく、普段会わない遠方の親族、苦手な人、初めて会う人も、同じようにもてなすことになります。これらはすべて、ホリデーシーズンならではのストレス因子です。


日本人が気を付けることは?

私たちは、「ホリデーは家族や友達と楽しむもの」というイメージが、メディアによって良くも悪くも刷り込まれています。しかし、日本人に限らず、家族や恋人、友人がすぐ会える距離にいない人、親しい人たちに先立たれた高齢者などは、誰かと一緒に過ごすことが難しいかもしれません。人によっては、「ホリデーはこうあるべき」というイメージと自分の現実を比べて孤独に感じ、ホリデーブルーに陥りやすくなります。

ホリデーシーズンは、身体的、精神的、経済的にさまざまなストレスが高くなり、誰でも心身の調子を崩しやすくなります。それを理解した上で、ストレスをためず、元気に乗り切る工夫をしてみましょう。

※来週は、ホリデーブルーの対策と予防についてです。

イベントやプレゼント交換の機会が増える年末年始は、出費がかさむ時期でもある
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表西恵先生
Megumi Omonishi, PhD

サイコロジスト。セントラルアーカンソー州立大学大学院カウンセリング心理学科卒業、ジョージア州立大学で同科博士号取得。テネシー大学ヘルスサイエンスセンターで研修。現在はクリニックでの診療のほか、企業向けメンタルヘルス出張セミナーを手掛ける。著書「アメリカ人は気軽に精神科医に行く」(ワニブックスPLUS新書)。

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