2018/10/05発行 ジャピオン987号掲載記事
抗がん剤治療に伴う脱毛対策(前編)
正常細胞の損傷が原因か 脱毛を防ぐ研究に期待も
抗がん剤治療について教えてください。
抗がん剤治療の副作用として髪の毛が抜けるのはなぜですか?
髪の毛を作る毛母(もうぼ)細胞は、分裂が非常に速い細胞の一つです。化学療法によって毛母細胞が損傷すると、毛根が壊死し、髪の毛が抜け落ちると考えられています。
脱毛は、毛髪以外に体毛、眉毛、陰毛でも起こります。しかし、それは一時的なものであり、化学療法が終われば毛母細胞も再生し、大抵の場合、半年~1年後には再び生えてきます。
爪、消化管の粘膜、血液細胞なども化学療法の影響を受けやすく、爪の変化(ボロボロになる)、吐き気、白血球減少(感染症にかかりやすくなる)、貧血、下痢などの症状が副作用として現れます。
脱毛は全ての人で起こりますか?
参考までに、薬によって例外はありますが、副作用の現れ方と、治療効果との間に相関関係はありません。例えば、「脱毛が激しいので、それだけ薬の効果も期待できる」とか、逆に「まったく脱毛しないので、薬が全然効いていない」ということはありません。
脱毛を予防する方法はありますか?
これから治療を始める人にアドバイスを。
脱毛は深刻な問題ですが、周囲の助けやカウンセリングを利用して上手に対処し、治療に前向きに取り組んでいただきたいと思います。※来週は、脱毛後のカツラの利用など、治療中にできるおしゃれについてです。


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アメリカの乳がん・卵巣がん患者支援団体(1978年設立)。2013年日本語プログラム(ブロディー愛子代表)発足。(左から日本語プログラム・ボランティアの)ファッション工科大学経済学准教授・経済学博士・帽子デザイナーのキャッツ洋子さん、美容室「サロン・ウエイブ」美容師のハーティーしのさん、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター博士研究員の田中広祐(こうすけ)医師(日本がん薬物療法専門医)。
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