2018/09/21発行 ジャピオン985号掲載記事

心と体のメンテナンス

インフルエンザの予防と治療(前編)

10月中にワクチン接種を 発病と重症化予防に効果

インフルエンザについて教えてください。

インフルエンザという特殊なウイルスに感染することで起こる病気です。インフルエンザにかかっている人の咳やくしゃみによって飛び散った水滴(飛沫=ひまつ)を吸い込んだり、感染者が触った直後の、ウイルスが付着したドアノブなどに触った手で、目や鼻、口に触れたりすることで感染します。

インフルエンザの流行は例年12月ごろに始まり、翌年2~3月くらいまで続きます。

風邪との違いは何ですか?

インフルエンザの主な症状は、発熱と、頭痛・筋肉痛・関節痛・全身のだるさ(倦怠感)などの強い全身症状です。合併症として、乾いた咳、のどの痛み、鼻水などの上気道炎症状が見られます。風邪に似ていますが、大きな違いは、インフルエンザの場合は摂氏37・8~40度(華氏100~104度)以上の高熱と全身症状が、比較的急速に、また同時に現れることです。

小さな子供や高齢者、病気のために免疫力が低下している人では、気管支炎や肺炎、臓器不全を併発し、重症化しやすいこともインフルエンザの特徴です。入院治療が必要になり、最悪の場合、死に至ることもあります。

インフルエンザ予防接種はいつごろ、誰が受けるべきですか?

予防の基本は、感染が広がる前にワクチンを接種することです。接種後、体をウイルスから守る抗体ができるまで約2週間かかることから、米疾病対策センター(CDC)は、インフルエンザが流行する12月に間に合うように、10月末までのワクチン接種を推奨しています。

ワクチン接種は、9月から受けることができます。インフルエンザシーズンは2~3月まで続くので、10月末までに接種が難しい人も、11月に受けると12月以降のシーズン中旬から後半に間に合います。

CDCの予防接種諮問委員会(ACIP)は、生後6カ月以上の全ての子供と成人に、インフルエンザ予防接種を勧めています。発病すると重症化するリスクが高い人、これら高リスク個人の家族や介護者、そして感染リスクが高い医療従事者は、特に早めの接種が必要です。高リスクに該当するのは、5歳未満、中でも2歳未満の小児、50歳以上の中年と高齢者、呼吸器疾患(ぜん息など)・代謝性疾患(糖尿病など)・心疾患などの慢性疾患患者、病気治療のため免疫力を抑える薬を服用中の人などです。

妊婦も高リスクに分類されています。妊婦が発病すると胎児への影響が心配されるほか、妊娠中は治療法も限られるため、重症化する恐れがあるからです。

予防接種を受けたのに、インフルエンザにかかることがあるのはなぜですか?

一言でインフルエンザウイルスといっても、さまざまな種類があります。そのため、その年に流行しそうな種類を予測してワクチンを作るのですが、実際に流行する種類が予測と一致するとは限らないからです。 

人間に感染するインフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3種類に大きく分けられます。ウイルスの性質は毎年少しずつ変化しており、例えばA型には198通りの亜型(サブタイプ)があります。世界保健機関(WHO)とCDCは毎年2~3月に、その年の10月から始まるシーズンに流行りそうなウイルスを3、4種類予測して発表しており、製薬会社はそれに合わせてワクチンを製造します。ところが、予測が外れてほかの種類のウイルスが流行すると、それに対する予防効果は低いので、感染し、発病する可能性があるのです。 

だからといって、予防接種を受ける意味がないわけではありません。予防接種を受けていれば、インフルエンザを発病しても入院や重症化のリスクが低くなることが、さまざまな研究により報告されています。

予防接種は、毎年1回受けましょう。昨年受けたから今年は要らない、というものではありません。例外として、2回以上の接種歴がない生後6カ月から8歳までの子供は、初年度だけ2回の接種が必要となります。1回目の接種後、次の接種まで最低4週間空けないといけないので、1回目をシーズン早めに受けましょう。

※来週は、インフルエンザの治療や疑問についてです。

鼻から吸い込んだインフルエンザウイルス(球体)が上気道の粘膜に付着し、細胞に感染する様子を示すイメージ図。インフルエンザは、感染者の咳やくしゃみによって飛び散ったウイルスを吸い込むことなどで感染する (画像提供:Centers for Disease Control and Prevention, National Center for Immunization and Respiratory Diseases)
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宮野イブラヒム先生
Ibrahim Mian, MD

家庭医学科認定医師。プライマリー・ケア・フィジシャン(PCP)として、新生児から高齢者の内科・小児科・産婦人科などの診療と人間ドックを担当。ウェイクフォレスト医科大学卒業後、フィラデルフィアのアビントン記念病院で家庭医学科研修を修了。日系クリニックの日本クリニック・アトランタ院の元院長。18歳まで日本で過ごし日本語堪能。

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