2018/08/24発行 ジャピオン981号掲載記事

心と体のメンテナンス

人間ドックと定期健診を上手に利用 (後編)

結果を基に医師と話し合い 自分の健康を考える機会に

子供の定期健診について教えてください。

 アメリカでは大抵のケースで、幼稚園や小中学校・高校などへの入園・入学時、編入時、新学年が始まる際などに、学校指定の健康診断用紙(スクールフォーム)の提出を求められます。これは健康診断を受けたという証明書のようなもので、保護者は子供の主治医やクリニックに予約を入れ、学校が指定した検査や予防接種を子供に受けさせる必要があります(宗教的理由などから、予防接種は免除される場合もある)。これはある意味とても良い制度で、大人の責任で子供に定期健診と予防接種を受けさせる仕組みが整っていると言えます。

 子供の定期健診はもちろん、赤ちゃんの成長と発達や健康状態を調べる乳幼児健診も、アメリカでは予防医療の一部として位置づけられており、大抵の検査は保険を使って無料または低料金で受けられます。保険でカバーされる検査項目と費用などの詳細は、保険会社に問い合わせてください。

メンタルヘルス関係はどうですか?

2010年に成立した医療保険制度改革法「アフォーダブル・ケア・アクト(通称オバマケア)」により、12歳以上の子供と成人のうつ病スクリーニング検査に対し、保険が適用されることになりました。加入するプランによっては、検査を無料で受けることができます。

 当院は人間ドックの一部として、うつ病スクリーニング検査を提供しています。検査といっても、「物事に興味がない、気力がないなどと感じることがどれくらいありますか」といった質問に答えてもらうだけの簡単なものです。

 その結果、うつ傾向が認められる、あるいはうつ病が疑われる場合に、専門家の受診を勧めます。「精神科受診は敷居が高い」という人も、人間ドックの検査の一つとしてなら、あまり抵抗がないようです。

検査結果はどう見ればいいですか?

人間ドックもアメリカの定期健診も、詳しい結果は後日、患者に郵送されるのが一般的です。すべての検査結果を詳細に見るのは大変ですし、数値に一喜一憂しても意味はありません。それよりも、医師が検査結果を総合的に判断して書いたコメントや指示をしっかり読んでください。

医師と話すときのアドバイスは?

人間ドックの場合は特に、医師が患者に対面で結果を説明することに力を入れています。当院でも後日カウンセリングに来てもらい、必要な精密検査や治療、要経過観察項目などを詳しくお話しします。疑問はそのままにせず、積極的に質問してください。

 カウンセリングでは、年齢、性別、家族歴、生活習慣、場合によって人種なども考慮し、受けた方がいい検査や、生活習慣改善などもアドバイスします。がんについて心配している人は多く、いつから、何の検査を受けるかを説明します。

 当院は、年齢や健康状態によって予防接種も勧めています。例えば特定の年齢以上の中高年には、肺炎球菌や帯状疱疹のワクチンなどが有益です。

 また、日本で生まれ育った人は、米国政府が推奨する予防接種(★)を受けていないことが少なくありません。例えば近年、日本で麻しん(はしか)が流行し、アメリカでも感染者が出ましたが、日本で1990年以前に生まれた人は予防接種の効果が十分でない可能性があります。未接種・接種の有無が分からないワクチンについては医師と相談し、必要に応じて接種を受けましょう。

 破傷風や、近年アメリカで流行が報告されたA型肝炎のワクチンも、日本人は接種を受けている人が少ないようです。

健診はどれくらいの頻度で受けるべき?

アメリカでは年一度の定期健診(英語で言うannual checkup)に保険が適用されるので、少なくとも毎年受診し、結果を保存しておきましょう。元気なときの基準値や傾向の把握は、病気の予防に有効です。異常が見つかったときも、記録があれば診断に役立つかもしれません。

 自分の健康について考え、また医師と話す機会として、人間ドックまたは定期健診を活用していただきたいと思います。

※来週からは、ニッキー香月さんに母乳育児についてお聞きします。

人間ドック結果報告書の見本。検査項目ごとに目的と結果が詳しく記載され、最後に中釜先生の総合所見とアドバイスが書かれている ★予防接種諮問委員会(The Advisory Committee on Immunization Practices=ACIP)が推奨する予防接種検索ページ(www.cdc.gov/vaccines/schedul es/)
DrNakagama

中釜知則先生
Tomonori Nakagama, MD, MPH

産業・予防医学科認定医師(Board Certified)。プライマリー・ケア・フィジシャン(PCP)として、新生児から高齢者の家庭医学科・内科・小児科・産婦人科などの診療と人間ドックを担当。セーバー医科大学とイリノイ大学シカゴ校医学部産業・予防医学科を卒業後、イリノイ大学公衆衛生大学院で公衆衛生学修士号(MPH=Master of Public Health)取得。

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