2018/08/10発行 ジャピオン979号掲載記事

心と体のメンテナンス

すぐに使える子育てスキル(後編)

「アテンション」を活用 褒めて伸ばす努力が大事

「具体的に褒める」とは?

 「褒める」ことは、親から子供に愛情を示す行動、言い換えれば「ポジティブ(肯定的)なアテンション」の一つです(前編参照)。親から見て「これから増えてほしい」行動を子供が取ったときは、「えらいね」などと漠然とした言葉で済まさず、子供の行動の何が良かったのか、それを具体的に伝えて褒めましょう(表参照)。褒められることで子供は自分に自信を持ち、褒められた行動をこれからも頑張ろうという気持ちになるからです。

 「褒めてばかりだと、子供が親を甘くみて荒れてしまう」と心配する人もいますが、問題は褒めることではなく、その褒め方です。

 例えば、「えらいね」とだけ言われても、子供は何が「えらい」のか分かりません。「えらいね」「すごいね」など、漠然とした褒められ方をして育った子供は、周囲の期待を感じながらも、自分に自信を持つことができません。そして、そのギャップに悩んだり、親子関係や、将来の人間関係にマイナスの影響を受けたりすることがあります。

 さらに最近の研究で、褒めた後に「恒久的な褒め言葉」を添えると、子供により良い影響を与えることが明らかになっています。例えば、子供が飲み物を持ってきたら、「飲み物を持ってきてくれてありがとう」と、その行動を褒めた上で、「あなたはいつも優しいわね」と、日頃の行いや性格を褒める言葉を付け加えてみましょう。

ポジティブなアテンションの与え方は?

「褒める」「ハグする」などは分かりやすい例ですが、ほかにも次のような方法があります。

 ▽再生=子供の言葉を繰り返したり、言い換えたりする。「いま校長先生がいたよ」(子供)、「へー、校長先生がいたんだ」(親)など。親が子供と同じ気持ちであること・理解していることが子供に伝わるほか、親子間のコミュニケーションに役立ちます▽真似=子供と同じことをする。例えば、子供を真似て「お絵かき」を始めると、子供は親から認められたと感じ、自信につながります▽実況=子供の行動を声に出して言う。「○○ちゃんがママのそばに歩いてきました」など。親が子供を見ているというメッセージが伝わります。

 子供を叱る代わりに、「子供にやってほしいこと」を伝えるのも一つの方法です。子供が走り回っていれば、「走らないで」ではなく、「歩こうね」と話しかけましょう。

無視できない子供の行動とは?

子育ての手法の一つとして、子供の行動をあえて相手にしないという方法があります(前編参照)。無関心を装いながら状況を見守り、一瞬でも良い行動が見られたらそれを褒めるというもので、子供の問題行動の抑制に効果があると言われます。しかし、次の場合は放置せず、専門家に相談してください。心身に重大な問題が隠れている可能性があるからです。

 ▽叩く・蹴るなどの危険行為や自傷行為が見られる▽他人に迷惑をかけているのに、子供がその行為をやめない▽子供が明らかに困っている(どもる、瞬きを繰り返すなど、身体的症状を伴うこともある)。

子育て中の親へのアドバイスは?

できる範囲でいいので、子供と一対一で過ごす時間を作りましょう。そしてその時間は、▽子供のしたいことをする▽質問攻めにしない・指示を出さない▽具体的に褒める、などを心掛けてください。こうした時間は、健全な親子関係の構築に役立つでしょう。

 親が子供を褒めるためには、子供のポジティブな行動に「気付く力」を磨くことも大切です。特に日本人の場合、褒めること・褒められることに慣れていない親が少なくありません。そういうときは、大人同士、互いの良いところを見つけ、具体的に褒める「練習」をしてもいいでしょう。

 そして、そもそも親に精神的な余裕がなければ、子供にポジティブなアテンションを与えることはできません。1日の終わりには鏡の中の自分に向き合い、頑張った自分を褒めましょう。まずは自分の心身をケアし、辛いときは専門家に相談してください。これまで頑張ってきたからこそ、たまにはスローダウンして考える機会も必要です。

※来週は、中釜知則先生に人間ドックについてお聞きします。

Mizuho-Kanazawa

金澤瑞穂さん
Mizuho Kanazawa, LCAT, RDT, CCLS

ニューヨーク州認定サイコセラピスト/クリエイティブアート・セラピスト(LCAT)、北米ドラマセラピー協会認定ドラマセラピスト(RDT)、チャイルドライフ・カウンシル認定チャイルドライフ・スペシャリスト(CCLS)など。ニュースクール大学心理学科・ニューヨーク大学大学院ドラマセラピー科卒業。カウンセラー、セラピストとして病院勤務などを経て独立。成人向けカウンセリングと子育てに関する出張セミナーを実施。

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