2018/08/03発行 ジャピオン978号掲載記事

心と体のメンテナンス

すぐに使える子育てスキル(前編)

「アテンション」を活用 褒めて伸ばす努力が大事

親子関係のパターンとは何ですか?

 「子供が親の言うことを全く聞かない」「気に入らないことがあると泣きだし、なかなか泣きやまない」「子育ての自信がない」など、子育て中の人は程度の差こそあれ、さまざまな悩みや心配事を抱えています。親子関係のパターンとは、そういった子育ての悩みの背景にある、無意識に繰り返される一連の行動です。

 子供が10代前半までの場合、親子げんかに至るパターンは、▽親が何らかの指示を出し、子供がそれを拒否する▽親が怒鳴る・脅す・罰を与えるなどの行動に出る▽子供が癇癪(かんしゃく)を起こす▽混乱状態に陥り、根負けした親が指示や罰を撤回する、などというものです。

 例えば、食事の時間になり、親が子供に「テレビを消しなさい」と指示したとします。子供は「(テレビを)まだ見たい」と答えます。親子は「消しなさい」「いやだ」の応酬を続け、そのうち親が「今すぐ消さなければ、おやつはありません」と、脅しにかかります。子供はそこで親に従うかもしれないし、泣き叫んで反発するかもしれません。結局何となくうやむやになり、親子は無事に食事を済ませるのですが、数日後にまた同じことを繰り返します。私は妊婦や親を対象に子育てセミナーを開催していますが、こういった例は、思い当たることがあるという参加者がほとんどです。

 子育ての悩みを解消し、また「調和のとれた親子関係」の基礎を作るための最初のステップは、子供との日々のやり取りを客観的に捉え、親子関係のパターンに「気付く」こと。パターンが分かれば、問題解消の具体的な方法を学び、日常生活で練習します。

「アテンション」と子育ての関係は?

一言でアテンション(Attention)と言ってもいろんな意味がありますが、子育て心理学では一般的に、親から子供に「愛情を示す・関心を向ける行動」を意味します。そして、子供の行動はその良し悪しに関係なく、親からアテンションを与えられることにより、「強化」されます。 特に、「怒鳴る・叩く」などの「ネガティブ(否定的)なアテンション」が子供に与える影響は大きく、「褒める」という「ポジティブ(肯定的)なアテンション」の3倍だと言われます。

 例えば、休んでいる母親にお茶を持ってきた子供を、母親が「よく気が利くわね、ありがとう」と褒めたとします。ポジティブなアテンションを与えられた子供は、褒められた行動をこれからも続けようとします。これが「行動が強化される」ということです。

 逆に、落ち着きがなく叱られた子供は、さらに暴れて親を困らせることが多々あります。これなどは、ネガティブ・アテンションによって「問題行動が強化された例」です。

 さらに言えば、人間は誰でもポジティブなアテンションを求めますが、それが得られないときは、ネガティブでもいいので、とにかくアテンションを得ようとします。そのため、例えば兄弟げんかを始めた子供に親が「叱る」というネガティブなアテンションを与えると、叱り方にもよりますが、結果的にけんかが増えることになります。

 子育てにおいては、「これから増えるといいな・こうなると嬉しいな」と親が思う行動を子供がしたときこそ、それを認める言葉をかけ、子供にポジティブなアテンションを与えることを心掛けてください。後編でお話ししますが、褒めるときは、子供の行動を具体的に挙げましょう。先ほどの例で言えば、「お茶を持ってきてくれたの!」ですし、兄弟仲良くしていれば、「一緒に遊ぶ姿が見られて嬉しいわ」などです。

「自発的無視(active ignoring)」とは何ですか?

「大声で叫ぶ」「自分の要求を繰り返す」など、不快、あるいはしつこいと感じる子供の行動や言葉を相手にしないという、子育ての手法の一つです。子供と目を合わせず、沈黙を保ち、無関心を装いながら状況を見守ります。そして一瞬でも良い行動が見られたら、その行動を具体的に褒めましょう。自発的無視は、子供の問題行動が強化・増強されることを防ぐと言われています。

 健全な親子関係を築くためには、アテンションと自発的無視を上手に使い分けることが大事です(図参照)。

※来週は、アテンションの例や子育てのアドバイスについてです。

Mizuho-Kanazawa

金澤瑞穂さん
Mizuho Kanazawa, LCAT, RDT, CCLS

ニューヨーク州認定サイコセラピスト/クリエイティブアート・セラピスト(LCAT)、北米ドラマセラピー協会認定ドラマセラピスト(RDT)、チャイルドライフ・カウンシル認定チャイルドライフ・スペシャリスト(CCLS)など。ニュースクール大学心理学科・ニューヨーク大学大学院ドラマセラピー科卒業。カウンセラー、セラピストとして病院勤務などを経て独立。成人向けカウンセリングと子育てに関する出張セミナーを実施。

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