2018/04/13発行 ジャピオン962号掲載記事

心と体のメンテナンス

患者にやさしい歯科技術(後編)

目立たない歯列矯正治療法 スキャン技術で早めに開始

クリア・アライナーを使う歯列矯正について教えてください。

 クリア・アライナーとは、取り外し可能なマウスピース型矯正装置です。患者の歯型に合わせてアライナーを作成し、1~2週間ごとに新しいものに交換しながら歯を動かします。飲食時以外の1日22~23時間はアライナーを装着したままにしますが、透明なので、見た目にはほとんど分かりません。
 歯列矯正といえば、従来はブラケットと呼ばれる金属製の装置を歯の表面に装着し、それにワイヤーを通す方法が一般的でした。難しい症例にも使える効果的な方法ですが、口を開けたときにブラケットとワイヤーが見えるので、特に成人になると、周囲の視線を気にして治療を躊躇(ちゅうちょ)する人が少なくありませんでした。その点、目立たない矯正装置のクリア・アライナーは、患者にやさしい歯科技術の一つといえます。
 クリア・アライナーにもいろいろ種類がありますが、アメリカでは「インビザライン(Invisalign)」が最もよく知られています。
 参考までに、ブラケットとワイヤーによる治療法も、金属製ブラケットの代わりにセラミック製を使う方法や、歯の裏側にブラケットを装着する方法など、見た目に配慮した選択肢もあります。

クリア・アライナーの治療の流れとは?

 どのクリア・アライナーの場合も、基本的な流れは同じです。ここではインビザラインを例にご説明します。
 まず、歯科医師が患者の歯列の模型を作成し、インビザライン開発会社アライン・テクノロジーに郵送します。次に、アライン社が模型をスキャンし、そのデータを専用のコンピューター・プログラムで処理します。そして、治療計画案を作成し、患者の歯科医師による調整を反映して最終化するわけですが、それには何個のアライナーを使い、歯をどのように、どれくらい時間をかけて動かすかなどが盛り込まれます。
 詳細な治療計画が出来上がったら、患者にそれを説明します。その際、患者は治療中の歯の動きや歯列の変化を、コンピューターの3次元(3D)映像で確かめることができます。患者の了解を得たら、アライン社にアライナーの作成を伝えます。
 治療開始後は、月1回のペースで通院してもらい、治療計画通りに歯が動いているかをチェックします。
 また、大事なことですが、クリア・アライナー、ブラケット/ワイヤーなど、どの治療法の場合も、治療開始前に、歯と歯茎の問題を全て治療しておきます。

インビザライン治療でデジタル・インプレッション技術を使う利点とは?

 まず、デジタル・インプレッション技術とは、従来の「印象剤」という粘土状の材料を使う歯型作成に代わる技術です。専用スキャナーとコンピューター・プログラムを使用し、歯と歯茎の3Dモデルを作成します(前編参照)。当院は、「アイテロ・エレメント・スキャナー(iTero Element Scanner)」というシステムを最近導入しました。
 利点の一つは、治療開始までの時間の短縮です。お話ししたように、インビザラインを含むクリア・アライナーを使う治療では、歯科医師が患者の歯型をとり、それを基に歯列の模型を作成してアライン社に郵送します。デジタル・インプレッション技術により、この一連の処理がデジタル化されます。
 歯科医師は、患者の歯列を専用スキャナーでスキャン(所要時間は約5分)し、そのデータをコンピューターのクリック一つでアライン社に送信できるようになります。歯型と模型作成、郵送にかかる時間が省略され、治療開始を約10日間早めることが可能です。  利点の二つ目は、歯列モデルの精度向上です。歯型から模型を作る場合、印象剤に気泡が入るなどして誤差が生じることがありますが、スキャナーではその心配がありません。印象剤が苦手という人も、スキャナーだと問題なく歯型を作成できます。
 デジタル・インプレッション技術は、クリア・アライナー治療の他にも、インプラント、クラウン、各種リテイナー治療にも使えます。ケースによっては、従来の印象剤による歯型作成を併用する方が良い結果を得られることもあります。

※来週からは、ブロディー愛子さんにライフコーチングについてお聞きします。

HEALTH

トリスタン・ルー先生
Tristan Lue. DDS

歯科医師(DDS=Doctor of Dental Sur- gery)。ニューヨーク大学歯科大学卒業。虫歯治療、根管治療(ルートキャナル)、クラウン、ブリッジ、親知らず抜歯などの一般歯科、インプラント、歯列矯正(インビザライン、ブレース)、ホワイトニングなど。インプラント、インビザライン、心肺機能蘇生(CPR)の特別訓練を修了。10年以上の臨床経験がある。子供から高齢者の治療を手掛ける。

Tristan Lue, DDS

70 W. 36th St., Suite 10A
(bet. 5th & 6th Aves.)

TEL
646-866-7773
WEB
https://drtristanlue.com/
MAP
70 W. 36th St., Suite 10A

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント