2018/03/02発行 ジャピオン956号掲載記事

心と体のメンテナンス

花粉症対策の基礎知識(前編)

免疫の誤解が生む花粉症 4月からシーズン本格化

花粉症とはどういうものですか?

 スギやヒノキなどの樹木や雑草の花粉、枯れ草が原因で、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目の充血・目の痒(かゆ)みなどが起こります。花粉症はアレルギー性鼻炎の一つで、花粉が大量に飛散する時期だけに症状が出ることから「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。

 現在、世界人口の10~30%が花粉症だと言われています。近年はアメリカと日本を含む先進国で患者数が増えており、理由にはさまざまな説がありますが、まだはっきりとは解明されていません。

アレルギー反応はなぜ起きるのですか?

 私たちの体には、病気や病原体と戦う「免疫」という仕組みが備わっています。アレルギーとは、本来は体にとって有害なものに攻撃を仕掛ける「抗体」と呼ばれる物質が、花粉や食べ物など、体に無害なものにまで過剰に反応した状態です。そのため、アレルギーは「免疫の誤解による病気」とも言われます。

 例えば、子供のころに一度水疱瘡(みずぼうそう)にかかった人は、水疱瘡患者の近くにいても再発することはありません。最初に水疱瘡になったときに、その原因ウイルスに対する抗体ができるので、ウイルスが再び体の中に入ってきても、今度は自分の力で撃退できるからです。

 花粉症の場合、免疫が花粉を病原体と「誤解」し、体の中に抗体を作ってしまうことで起こります。花粉を吸うと、そのたびに抗体が反応して鼻や目の粘膜に炎症が起きる結果、鼻水が出たり、目が痒くなったりするのです。

年齢によってアレルギー症状は違いますか?

 個人差はありますが、基本的に2歳以下の子供は花粉症になりません。というのも、初めて花粉に触れてから体内で抗体ができるまで、ある程度の時間が必要だからです。花粉症を含むアレルギー性鼻炎は4~7歳頃に症状が出始めることが多く、10代後半から20歳頃に再び増えると言われます。

 参考までに、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎は2歳以下で、気管支ぜん息は2~3歳で、またアレルギー性結膜炎は20歳前後で発症することが多いとされています。

 もともとアレルギーになりやすい体質の子供は、アレルギー性鼻炎だけでなく、アトピー性皮膚炎やぜんそくも起こしやすい傾向があります。症状は自然になくなることもあれば、成人以降も続くこともあります。

ニューヨーク一帯の花粉症の季節はいつですか?

 花粉が飛散する時期は、植物の種類や気候によって異なります。人によって何の花粉に反応するかも違いますが、例えば日本で問題になるのは、スギ、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギ、ソバなどの花粉です。アメリカの場合、飛散量が多いのは、カエデ(Maple)、カシワ(Oak)、ニレ(Elm)、クワ(Mulberry)、ブタクサ(Ragweed)の花粉です。ニューヨーク州を含むアメリカ北東部では、これら樹木の花粉が飛散する4~5月、草が生い茂る5月中旬~7月、雑草が生えてくる8月末~10月初旬に花粉症のピークを迎えます。

 アメリカの花粉の飛散状況は、ウエザー・チャンネルのウェブサイトで確認することができます(図参照)。長年花粉症で苦しんでいる人も、自分が何の植物の花粉に反応しているか、実は知らない人がたくさんいます。ウェブサイトの情報から、症状がひどかった日にどの植物の花粉が多かったかが分かるので、飛散量が多い日は、外出前に普段よりしっかり予防策を講じることもできるかもしれません。

花粉症になりやすい人とは?

 次の項目に該当する人は、花粉症になりやすいという研究結果が発表されています。

▽家族にアトピー性皮膚炎の患者がいる(アレルギー体質を受け継いだ可能性がある)
▽花粉の飛散量の多い時期に生まれた
▽病気治療などのため、幼児期に抗生物質を大量に服用した
▽幼児期に周囲に喫煙者がいた(喫煙者が吐き出した煙を吸って粘膜に炎症が起きるため、鼻炎になりやすい)。

 理由は不明ですが、花粉症患者は女性よりも男性、また長男・長女に多いというデータもあります。

※次回は、花粉症の診断と治療についてです。


 

NY0996:1:US)。地域ごとに毎日、樹木・草・ブタクサの花粉飛散量を公開。画像はニューヨーク地域の2月のもの。冬は飛散量が少なく、どれも「None(飛散なし)」となっている
HEALTH

金原聡子先生
Satoko Kanahara, MD, FAAP, AAHIVS

内科・小児科専門医師。クリーブランド・クリニック付属ケース・ウエスタン・リザーブ大学医学部卒業後、ベイラー医科大学で内科・小児科研修を修了。現在、地域医療に従事するコミュニティー・ヘルスケア・ネットワークのブロンクス診療所メディカル・ディレクター。専門は、小児科・内科・婦人科・HIV/エイズ・薬物依存症など。米国日本人医師会主催の一般向けシンポジウム「ニューヨーク・ライフサイエンス・フォーラム」(4月7日開催予定)運営委員。

Community Healthcare Network

975 Westchester Ave.
Bronx, NY 10459

TEL
212-717-2222

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント