2014/11/14発行 ジャピオン788号掲載記事

心と体のメンテナンス

インフルエンザ予防接種(後)

ウイルスは毎年変化 手洗い励行で予防も

ワクチンによるインフルエンザ予防の仕組みは?

人間の体には、細菌やウイルスなどの異物が体に入ると、それらを排除するタンパク質(抗体)を作る働きがあります。再度同じ外敵が入ってくると、抗体がそれを認識し、攻撃を仕掛けることにより、感染や発病を防ぎます。この働きを「免疫」といいます。病原性をなくした、あるいは弱めるなどしたウイルスや細菌を体に注入し、体本来の免疫の働きと同じような効果を狙うのが、予防ワクチンです。 インフルエンザワクチンは、化学処理によって殺したインフルエンザウイルスを基に作られる「不活化ワクチン」と、毒性や発病力を弱めた生きたウイルスによって作られる「生ワクチン」の、主に2種類があります。病原体を体に注入することで、不安を感じる人もいるかもしれませんが、不活化ワクチン、生ワクチンいずれも、それ自体にインフルエンザを発病させる力はありません。

ワクチン接種を受けたのにインフルエンザを発病しました。なぜですか?

インフルエンザウイルスは、A、B、Cの三つの型に大きく分類されます。そのうち大きな流行の原因となるのがA型とB型です。ウイルスの構造は毎年少しずつ変化しており、例えばA型ウイルスには、亜型と呼ばれる種類がいくつかあります。 流行するウイルス型や亜型は、その年によって異なります。そのため、ワクチンの基となるウイルスは、基本的に前年度に流行したウイルスが今年度もはやると想定し、それを含む3種類、場合によって4種類の流行を予測し、決定されます。

ワクチン接種を受けたにもかかわらず発病した場合は、予防対象に入っていないウイルスに感染した可能性があります。また、ワクチンの予防効果は5~6カ月後に半減するため、抵抗力が低下したタイミングで感染したとも考えられます。しかし、予防対象以外の、形が少し違うウイルスに感染したとしても、予防接種を受けていれば、受けていなかった場合に比べ、重症化を防ぐことができます。

ウイルスの形は、このように毎年変化するため、予防のためには、ワクチン接種を毎年受けることが大切です。

最近では2009年に、「インフルエンザ(H1N1)2009」として知られるインフルエンザが世界的に大流行しました。このような大流行は、長年潜んでいたウイルスや、従来とは構造が大きく異なるウイルスが突然出現することによって起こります。これらのウイルスには、多くの人が免疫を持たないため、いったん流行が始まると、急速に広がります。このように、構造が大きく異なるウイルスが原因のインフルエンザを「新型インフルエンザ」、毎年少しずつ変わるウイルスが原因の場合を「季節性インフルエンザ」と呼びます。

インフルエンザはどのように治療しますか?

治療の基本は、抗インフルエンザウイルス薬による治療と、症状を緩和するための対症療法です。風邪とインフルエンザは区別が難しいので、まずは風邪の症状に気付いたら、速やかに受診することを心掛けてください。インフルエンザかどうかは、鼻の中の粘液を綿棒で採取し、20分程度で調べることができます。 抗インフルエンザウイルス薬は、感染したウイルスの体内増殖を防ぐことで、症状を軽く抑える効果が期待されます。ウイルスを殺すわけではないので、ウイルスが体内で暴れ始める前の、感染後2日以内に服用する必要があります。

水分と栄養の補給、休養を心掛け、体力回復にも努めましょう。熱がある場合は解熱剤、のどの痛みには消炎鎮痛剤など、症状に応じて薬も使います。それでも高熱が下がらない、脱水状態にある、意識が混濁している、などの場合は、必ず医師の診察を受けてください。

他人に感染させないように、会社や学校を休む、マスクを使用するなどの周囲への配慮も大切です。

風邪の場合にも言えますが、インフルエンザ感染予防のため、手洗いやうがいを励行してください。

※ 来週からの2回は、鍼灸師のマイケル・チョイ先生とエステティシャンの諸橋こずえさんに、鍼治療と漢方による美肌と痩身についてお聞きします。

インフルエンザウイルスの簡易検査キット(写真上)と、抗インフルエンザウイルス薬の「タミフル」。タミフルはウイルス感染後2日以内に服用すると効果が高い。
2

中釜知則先生 Tomonori Nakagama, MD, MPH

産業・予防医学科専門医(BoardCerti- fied)。セーバー医科大学およびイリノイ大学シカゴ校医学部産業・予防医学科を卒業後、イリノイ大学公衆衛生大学院で公衆衛生学修士号(MPH=Masterof PublicHealth)取得。家庭医学科、内科、婦人科、小児科を含むプライマリーケア、一般診療、人間ドッグなどを手掛ける。

マンハッタン・ウエルネス・メディカル Manhattan Wellness Medical Care (旧・日本クリニック)

TEL
212-575-8910
WEB
http://www.mwmcny.com
MAP
15 W. 44th St., 10th Fl. (bet. 5th & 6th Aves.)

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント