2018/03/16発行 ジャピオン958号掲載記事
カイロプラクティックで健康な体作り(前編)
問題解決と健康増進を支援 包括ケアコーディネーター
カイロプラクターによる治療の特徴は?
カイロプラクターは、神経・筋骨格系の障害と、それが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職です。骨格のゆがみ、特に背骨の機能異常を手技で調整することにより、神経や関節の働きを高め、体の中から健康になることを目指します。
痛みや体の不具合の原因を医学的に突き止め、手術や投薬をできるだけ行わず、体に負担の小さい自然な治療アプローチを重視する点も、カイロプラクティックの特徴です。必要があれば他の専門家とも連携し、患者にとって最善の治療計画を検討します。
私が最終的に目指しているのは、患者が体の仕組みを理解し、自分で自分をケアできるように支援することです。
痛みや不具合の原因となった生活習慣や、悪い姿勢の改善はその一つ。体のメンテナンスのため、定期的にカイロプラクティック治療を続けている人もたくさんいます。
どのように治療計画を立てますか?
診断では、患者の年齢も大きな要素となります。例えば同じ痛みでも、子供の場合は体の成長に伴う痛みかもしれないし、大人の場合は、関節の摩耗が原因かもしれません。またどの年齢でもそうですが、特に50歳以上になると、内臓系の病気の可能性も考えなくてはいけません。
例えば、50代で突然腰痛が出て、痛みをどうにかしたいと来院した男性がいました。問診すると、もう何十年も健康診断を受けていないということ。家族にがんで亡くなった人がいることが分かったので、主治医(PCP=プライマリー・ケア・フィジシャン)の診察を勧めたところ、前立腺がんが見つかり、がんが骨に転移して腰痛が起きていました。
同じような痛みでも、原因は人によってさまざまです。体のしびれや麻痺も、腫瘍が原因で起きている可能性もあるのです。症状や年齢、各種検査や問診結果を包括的に考慮し、気になる点があれば、さらに検査を行い、神経や筋骨格系以外の問題や病気が隠れていないかを調べます。
トータルケアについて教えてください。
私は、いってみれば体の痛みに関する主治医のようなもの。患者の状態を常に把握した上で、各種ケアを調整するコーディネーターです。
トータルケアの例を教えてください。
まず、膝の状態を診断し、医学的にどういう問題があり、悪化予防のため、どういう動きを避けるべきかなどを説明しました。治療方針は、患者の過去と現在の状態や生活、将来のことをすべて考慮して決めます。現在はカイロプラクティック治療と同時に、当院が提携するトレーナーと協力し、膝に負担をかけず、減量にも効果のあるトレーニング計画を検討中です。食事指導も並行して行っています。
治療の目的は人それぞれで、痛みが緩和すれば十分という人もいます。トータルケアをお勧めしますが、最終的には患者の自主性に任せています。
※次回は、姿勢矯正や子供の治療などについてです。


ジョン・J・ベルモンテ先生John J. Belmonte, DC
Doctor of Chiropractic(カイロプラクター)。ニューヨーク・カイロプラクティック大学卒業。専門は、椎間板ヘルニア、腰痛、肩凝り、首の痛み、頭痛、手足のしびれ・関節の痛みなど。全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。日本カイロプラクティック協会会員として日本での治療の質向上と普及にも携わる。East53rd Street Chiropractic and Wellness院長。
East 53rd Street Chiropractic and Wellness
211 E. 53rd St.
(bet. 2nd & 3rd Aves.)