2018/03/09発行 ジャピオン957号掲載記事

心と体のメンテナンス

花粉症対策の基礎知識(後編)

花粉症は悪化予防が肝心 アレルゲン回避の工夫も

花粉症は、我慢できる程度なら放っておいても大丈夫ですか?

 命にかかわる深刻な病気ではありませんが、放置するのはよくありません。最初は軽くても、鼻や目の粘膜の炎症が悪化して次第に症状が重くなり、そのうち少量の刺激にも反応するようになるからです。重症になると、匂いが分からない、夜眠れない、集中力が低下する、外出を控えがちでうつ気味になる、などの問題が出て、生活の質にも影響します。

 くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目の充血・目の痒(かゆ)みなど、花粉症のような症状のある人は、まず主治医(プライマリーケア・フィジシャン=PCP)に相談することをお勧めします。花粉症のようでも、それ以外の原因が隠れているかもしれないからです。

花粉症と間違われやすい病気とは?

 最も多いのは風邪やウイルス系の感染症です。ほかに、体温の急上昇や気温の変化によって鼻水が出る血管運動性鼻炎、薬の副作用で起きる薬剤性鼻炎、鼻周囲の骨の空洞部分に細菌やウイルスが感染して起きる副鼻腔炎も、花粉症と症状が似ています。

 風邪やウイルス系の感染症は、高熱が出る傾向があります。最初に喉が痛くなり、次に咳(せき)、そして鼻水など、短期間に症状がどんどん変わるのも特徴です。花粉の飛散量が少ない冬場に症状がある人や、2歳以下の子供の場合は、大抵は風邪か感染症です。

 逆に花粉症が疑われるのは、春から秋の花粉が飛ぶ季節に長期的に症状が出る人、食物アレルギーやぜん息、アトピー性皮膚炎などの持病を抱えている、あるいは家族にそうした病気の患者がいる人です。

 紛らわしいのは「通年性アレルギー性鼻炎」。ダニ、かび、犬や猫の毛・フケなど、室内の物質に反応し、花粉症に似た症状が出ます。症状は年中続きますが、部屋を閉め切る冬場に強くなる傾向があります。

花粉症はどのように診断しますか?

 症状や、本人または家族がアレルギー体質かどうかなど、問診結果を総合して診断します。アレルギー科または耳鼻咽喉科でアレルギー検査を受けることもできます。

 検査方法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)ごとに抗体の有無を調べる血液検査と、皮膚検査の主に2種類です。皮膚検査では、アレルゲンのエキスを腕や背中につけて、皮膚の反応を観察します。

花粉症はどのように治療しますか?

 アレルゲンを避けるのが一番ですが、花粉を完全に遮断するのは困難です。主治医に症状やニーズに応じた薬を処方してもらうか、処方せんなしで購入できる治療薬(OTC薬=over-the-counter medicine)の使用について指導を受けることをお勧めします。

 昨年、「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」の治療ガイドラインが約10年ぶりに改訂されました。それによると、目や鼻の粘膜の炎症と痒みを抑える抗ヒスタミン系の飲み薬と、炎症を抑えるステロイド系の点鼻薬(点鼻スプレー)の有効性を調べた複数の臨床試験の結果、点鼻薬の方が優れていたそうです。そのため現在は、処方薬で治療する場合、最初にステロイド系点鼻薬を使用し、必要があれば抗ヒスタミン系点鼻薬を併用する治療が推奨されています。

 患者がOTC薬のみで治療を希望する場合は、まずステロイド系点鼻薬を試し、効果がなければ抗ヒスタミン系の飲み薬を併用するのが一般的です。

 OTC薬の種類は左上の表をご参照ください。OTC薬は基本的に安全ですが、副作用もあります。説明書をよく読んで正しく使用し、効果がないときは早めに医師に相談してください。

 重症の場合は、アレルギー科で免疫療法を受けることもできます。アレルゲンのエキスを少しずつ投与し、体を徐々にならす治療です。定期的に注射投与を受ける必要がありますが、近年、イエダニと雑草のアレルギーに限り、自宅で服用する錠剤の使用が認められました。免疫療法は治療期間が最低数年と長いのですが、症状が格段に改善し、ほぼ出なくなる人もいます。

 アレルギー治療効果を謳ったツボ療法、鍼治療、お茶などもあります。薬物治療と並行して試してもいいかもしれません。

※来週はジョン・ベルモンテ先生に、カイロプラクティック治療について伺います。


 

*有効成分とブランド名のカタカナ表記は省略。ブランド薬と同じ成分のジェネリック薬も数多く販売されている。
HEALTH

金原聡子先生
Satoko Kanahara, MD, FAAP, AAHIVS

内科・小児科専門医師。クリーブランド・クリニック付属ケース・ウエスタン・リザーブ大学医学部卒業後、ベイラー医科大学で内科・小児科研修を修了。現在、地域医療に従事するコミュニティー・ヘルスケア・ネットワークのブロンクス診療所メディカル・ディレクター。専門は、小児科・内科・婦人科・HIV/エイズ・薬物依存症など。米国日本人医師会主催の一般向けシンポジウム「ニューヨーク・ライフサイエンス・フォーラム」(4月7日開催予定)運営委員。

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