2018/02/23発行 ジャピオン955号掲載記事

心と体のメンテナンス

傷痕が目立たない形成外科的治療(後編)

大切な手術後のケア 古い傷痕も縮小可能

手術後はどんなケアが必要ですか?

 形成外科医は、傷痕ができるだけ目立たない治療法の訓練を受けています。例えば傷口の縫合一つとってもさまざまな方法があり、傷の大きさや種類、場所、年齢、体質によって最適な方法を選びます(前編参照)。しかし、どれだけ治療に気を配っても、人によっては抜糸後に傷の幅が広がったり、傷痕が盛り上がったりすることがあります。そうならないためには、手術後の十分なケアが必要です。

 その一つが、抜糸後に傷痕を特別なテープで固定する方法です。このテープは糸が織り込んであり、絆創膏(ばんそうこう)のように伸びたり縮んだりしません。そのため、傷口をしっかり固定し、体を動かしたときに、傷が引っ張られて傷痕の幅が広がることを防ぎます。

 ほかにもこのテープには、傷痕を保護して治癒を促したり、傷痕を適度に圧迫し、傷口の皮膚が盛り上がるのを防いだりする効果もあります。

処方せんなしで購入できる創傷ケア製品はありますか?

 よく知られた製品の一つに、シリコン系のシートやパッチがあります。傷口が塞がってから、傷口の皮膚が伸びないように固定するためのものです。医療現場でも使われており、市販製品もそれと同じ素材であれば試してみる価値はあると思います。

 ビタミンEオイルもよく知られていますが、その効能は皮膚の赤みを抑えることです。治りかけの傷に塗布すると、治癒を遅らせるので要注意。手術後の傷やけがが治ってから使いましょう。

 こうした市販製品は、手軽に使える便利さがある一方で、使い方を誤れば傷痕を大きくするだけでなく、傷を悪化させる危険もあります。けがをしたら、まずは傷口を水道水できれいに洗うこと。傷が深いときや、なかなか治らないときは、すぐに医師に相談してください。

古い傷痕も目立たなくすることができますか?

 どこまで改善できるかはケースバイケースですが、すでにある傷痕を目立たなくする治療も形成外科医の専門の一つです。例えば、あえて断定的な言い方はしませんが、大きく古い傷痕を完全に消すのは難しくても、気にならない程度まで小さく、目立たなくすることはできるかもしれません。

 傷痕にもいろいろ種類がありますが、その代表例が肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とケロイドです。肥厚性瘢痕とは、傷痕が赤く盛り上がり、いわゆる「ミミズ腫れ」のようになった状態です。特に治療しなくても、数カ月、長くても数年で自然に目立たなくなる傾向があります。

 やっかいなのはケロイドの方です。火傷(やけど)の後遺症をケロイドと呼びますが、ほかにも皮膚が異常に盛り上がったり、赤くなったりした良性のできものもケロイドと言います。肥厚性瘢痕は傷口にできますが、ケロイドは傷口からどんどん周囲に広がり、痒み(かゆみ)や痛みが強く、なかなか治りません。

 ケロイドは、病変を切除する手術療法、病変の増殖を止める放射線療法、ステロイド注射、内服薬、シリコンパッチによる圧迫療法を組み合わせて治療します。

 ケロイドが起きる原因は、実はまだよく分かっていません。耳にあけたピアスの穴など、ごく小さな傷からケロイドができることもあります。人種による傾向もあり、ケロイドは白人では少ないのですが、アジア人では珍しくありません。けがをしてすぐにケロイドが広がることもあれば、最初は小さかった病変が、何年もかけて徐々に大きくなることもあります。

 肥厚性瘢痕やケロイドを予防するためにも、手術後やけがの治療後は、医師の指示に従って十分なケアを行うことが大切です。

痕が残らない、美容整形の新オプションとは?

 皮膚にメスを入れると、目立たなくても痕は残ります。そのため最近は、手術をしない美容整形技術の開発が進んでいます。当院は、高周波(RF)電流によってたるんだ皮膚を引き締める、インモード(InMode)社の技術を導入しています。首や上腕、胸、腹部、太ももの治療に有効で、切らないので傷痕が残らず、回復も早い点が患者さんに喜ばれています。

※来週からは、金原聡子先生にアレルギー性鼻炎について伺います。 


 

InMode社の切らない美容整形技術を使った顎の治療例。写真上下とも左がbefore、右がafter。高周波(RF)エネルギーを肌に浸透させ、たるんだ皮膚を引き締める。切らないので痕も残らない(写真提供:InMode Aesthetic Solutions)
HEALTH

エリック・K・チャ先生
Eric K. Cha, MD, MPH, FACS

形成外科医師(Board certified by the American Board of Plastic Surgery)、米国外科学会フェロー(FACS=Fellow of the American College of Surgeons)。二重まぶた形成、脂肪吸引、豊胸、顎ラインの矯正、傷痕を目立たなくする治療など。患者にはアジア人が多い。マウント・サイナイ・アイカーン医科大学臨床教授、米国形成外科学会・米国美容形成外科学会会員など。公衆衛生学修士(MPH)。

Eric K. Cha, MD, MPH, FACS

1049 5th Ave., Suite 2C
(at 86th St., bet. Madison & 5th Aves.)

TEL
212-717-2222

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
人気が過熱するブルックリン区ウィリアムズバーグ...

   
Back Issue ~9/7/2018
Back Issue 9/14/2018~
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント