2018/02/02発行 ジャピオン952号掲載記事

心と体のメンテナンス

理学療法士に聞くけが予防(前編)

しつこい四十肩と五十肩 座り方改善で痛みを予防

理学療法士が扱う症状とは?

 患者の多くは、主治医から理学療法を勧められた人たちです。筋肉・靭帯などの組織の損傷が原因の痛みやしびれ、関節が動きにくい・動かないなど、症状や悩みはさまざまで、けがの場所も首から足先までと、全身にわたります。ほかにも、手術後のリハビリや、スポーツのパフォーマンス向上を目的に治療を受ける人もいます。

 日々患者に接して感じることは、これらのけがの多くは、日頃のちょっとした心掛けで避けられる種類のものだということです。

 例えばよく聞くのは、ウエイトトレーニングをしたら肩が痛くなったとか、週末に長めのジョギングをしたらふくらはぎを傷めて歩けなくなった、などの訴えです。こういったけがの多くは、体が硬かったり、姿勢が悪かったりすることに、そもそもの原因があります。普段から姿勢に気を付け、運動や体操をまめにすることで、けがを防ぐことができるのです。

四十肩・五十肩とは何ですか?

 肩関節の動きを司る筋肉と腕の骨をつなぐ腱(けん)と呼ばれる部分に炎症が生じ、肩に痛みが出る病気です。正式な病名を「肩関節周囲炎」と言います。

 肩の腱の炎症、つまり腱鞘炎(tendinitis)は、肩が無理な使われ方をしたり、転んで肩を強打する・重い物を持ち上げるなど、強い負担が急にかかったりすることで起こります。

 体は、自分の力でけがや炎症をある程度まで治すことができます。しかし、加齢とともに治癒に時間がかかるようになり、その間にも患部に負担がかかると、やがて治癒が間に合わなくなり、炎症が慢性化してしまいます。肩の腱鞘炎が四十肩・五十肩と呼ばれるのは、この病気が40代以降に発症することが多いからです。

 典型的な症状は、肩や腕を動かしたときの、肩の鋭い痛みです。大抵の場合、痛みは徐々に治まりますが、そのうち肩を動かせる範囲が狭くなることがあります。一般的に、肩や腕を、不自由はあってもまだ動かせる状態を四十肩と言い、少ししか動かせない・全く動かせなくなった状態を五十肩(英語で言う「frozen shoulder」)と呼びます。

 四十肩が悪化して五十肩になることもあれば、痛みや不自由はなかったのに、ある日突然、肩が動かなくなることもあります。

オフィスワーカーの四十肩・五十肩を予防する方法は?

 悪い姿勢もですが、姿勢は良くても同じ体勢で長時間過ごすと体が硬くなり、筋肉や腱を傷める原因になります。そのため、椅子に正しい姿勢で座ること、そして定期的に体を動かすことが大事になります。

 まず運動ですが、30分に1回立ち上がり、胸を反らす体操を5回やることをお勧めします。左右の肩甲骨を寄せ合うイメージです。特にコンピューターを使う人は、肩をすくめて前屈みになりがちなので、この体操で胸を開き、背骨を伸ばしましょう。肩を前後に回す・両腕を上げる体操も効果的です。元気があれば、30分座ったら、次の10分は立って仕事をするのもいいでしょう。

 着席時のポイントは、次の4点です。適切な姿勢で作業できるように、椅子や机の高さを調整します。

▽コンピューターモニターは、水平視線か、それよりやや下に設置します。

▽上腕を体の横に垂直に置き、肘を90度に曲げた状態でキーボードに自然に手が届く姿勢を保ちます。

▽骨盤を真っ直ぐ上向きに立たせることを意識し、椅子に深く腰掛けます。骨盤が後ろに傾くと、背骨が曲がり、肩も落ちやすくなります。背骨のアーチをサポートするクッションを使うときは、それに頼り過ぎないように注意を。

▽腰と膝を90度に曲げた状態で、足裏全体を床につけましょう。足裏が床につかない場合、足台(本や箱で代替可能=写真参照)を利用します。

四十肩と五十肩はどのように治療しますか?

 理学療法による治療の基本は、エクササイズによって硬くなった筋肉を伸ばすことと、患部周辺の筋肉を鍛え、良い姿勢を保てるようにすることです。自己流の運動や体操は、けがを悪化させる危険があります。痛みは体が発する警告です。早めの受診をお勧めします。

※次回は下半身の痛みについてお聞きします。


 

コンピューター使用時の理想的な姿勢。視線を水平に、肘・腰・膝は90度に保ち背骨を伸ばす。足台(写真はコピー用紙)も利用。30分ごとに立ち、数秒でいいので体を動かすとよい
HEALTH

八浪 ジョアン 朋子先生
Tomoko JoAnn Yanami, PT

理学療法士(PT=PhysicalTherapist)。アンドリュー大学で理学療法修士号取得。つぼ療法、キネシオテーピングを含むさまざまな療法・技術の訓練を修了。癒着した筋膜を解放する「グラストンテクニック」認定療法師。首・肩・背骨・腰・足と足首・膝・肘・手首と手の整形外科的疾患やけがの治療、リハビリなど。マラソンやトライアスロンの競技経験を生かしたスポーツ選手の治療に定評がある。

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