2018/01/19発行 ジャピオン950号掲載記事

心と体のメンテナンス

アトピー性皮膚炎の鍼・漢方治療(前編)

慢性化しやすいアトピー 体質改善で再発の予防を

アトピー性皮膚炎とはどういう病気ですか?

 かゆみを伴う湿疹が特徴の、皮膚の病気です。慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返し、重症化することもあります。

 主な症状は、皮膚の乾燥、赤みのある腫れ、ぶつぶつなど。重症になると、腫れの悪化、水ぶくれ、皮膚のただれ(びらん)などのほか、皮膚がささくれ立ってフケのように落ちたり、ごわごわと厚く硬くなったりします。このような症状が、顔、首、胴体、肘・膝などの関節の内側に現れます。

アトピー性皮膚炎の原因は?

 はっきりとは分かっていませんが、遺伝的要因に加えて、環境や食べ物、ストレスなどが関係して発症すると考えられています。

 皮膚がかゆくて夜寝られない人も多く、寝不足とイライラのせいでストレスがたまると、症状がさらに悪化するという悪循環に陥りやすくなります。

アトピー性皮膚炎はどのように治療しますか?

 西洋医学と東洋医学では、治療のアプローチが違います。

 まず、慢性患者の多くはアレルギー体質です。アトピー性皮膚炎は、異物の侵入から体を守る免疫が過剰に反応することで起きる炎症性疾患であり、現代の西洋医学では、ステロイドの塗り薬と内服薬によって炎症を抑える対症療法が中心です。

 ストロイド剤は、適切に使えば症状の改善に有効です。しかし、薬によって皮膚の状態が良くなっても、薬を止めてしばらくすると再び悪化するケースが多々あります。悪化のたびに薬による治療を再開し、場合によっては徐々に強い薬に替えながら、何カ月、何年と治療を続けている人もいます。

 対照的に、鍼や漢方薬による東洋医学の治療では、アトピー性皮膚炎の原因を解消し、根本治療を目指します。そのために鍵となるのが患者の「体質」です。体質改善に根気よく取り組むことにより、症状を改善し、その状態を維持することができます。

 私は皮膚のトラブルを数多く扱っていますが、アトピー性皮膚炎で悩んでいる人は多く、患者の年齢も新生児から高齢者までと幅があります。新生児や子供は症状の悪化も早いのですが、いったん治療を始めると症状の改善も早い傾向があります。一方、40代、50代になると、何十年も再発を繰り返し、そのたびにステロイド剤による治療を続けてきた人が増えてきます。その場合も、症状は数週間程度で改善しますが、体質改善には、月単位で長期的に取り組むことが大事になってきます。

「体質改善」とはどういうことですか?

 漢方医学では、体の状態つまり体質を独自の基準で判定します。体質とは、「ドライ・ヒート(皮膚が乾燥し、体内に熱がこもっている)」「ウエット・ヒート(体内に余分な湿気や熱がある)」など。体質によって、起こりやすい症状や対処法が決まります。

 初回診察時に、問診、脈診、舌診を行い、それらの結果と皮膚の状態を総合的に考慮して体質を判定します。例えば、健康な舌は、本来はピンク色で、舌表面に付着した苔状の舌苔(ぜったい)は明るい白色をしています。しかし、舌全体が赤かったり、舌苔が濃い黄色だったりすると、体内に余分な熱がこもっていると考えられます。

 同時に、舌診と脈診によって体の陰陽のバランスを判定します。東洋医学では、万物は全て陰陽に分類され、陰陽のバランスが整っている状態を健康ととらえます。陰陽バランスが乱れると、内臓の機能が低下し、代謝やホルモンバランスの乱れが引き起こされる結果、体にさまざまな症状が現れます。例えば体質が「ヒート(体内に熱がこもっている)」の場合、主に胃と肺の機能低下が関係している可能性があります。

 同じアトピー性皮膚炎でも、患者の体質や陰陽バランスによって治療法は異なります。個々の患者に適した方法で乱れたバランスを整えることにより、そもそもの原因である体質を改善するわけです。

 鍼治療と漢方薬の組み合わせが最も効果的ですが、新生児や小さな子供、あるいは大人でも鍼が怖い、遠方に住んでいて通院が難しいなどの場合は、漢方薬だけで治療します。

※次回は、治療例や治療中の留意点についてお聞きします。


 

皮膚の状態と、問診、脈診、舌診の結果を総合的に考慮して患者の「体質」と陰陽バランスを判定する
HEALTH

リン・ゼン先生
Ling Zheng, LAc

ニューヨーク州免許取得鍼灸師(LAc=Licensed Acupuncturist)。中国福建医科大学卒業後、病院勤務や世界保健機関(WHO)医師団での活動を経て来米。全米鍼・東洋医学認定委員会(NCCAOM)認定鍼灸師(Diplomate of Acupuncture)。アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患、痛み、更年期障害、うつ、不眠症の治療など。マンハッタンで1994年開業。日本人患者の治療経験が豊富。

LZ & Manhattan Acupuncture, P.C.

TEL
212-689-1773
WEB
http://www.lzacupuncture.com
MAP
14 E. 34th St., 5th Fl. (bet. Madison & 5th Aves.)

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