2017/12/22発行 ジャピオン947号掲載記事

心と体のメンテナンス

よくある目の病気(後編)

加齢とともに起きる白内障 早期発見が最重要の緑内障

白内障とはどういう病気ですか?

 カメラのレンズに相当する「水晶体」という目の中の透明な組織が白濁し、視力が低下する病気です。白濁が徐々に進行し、汚れたガラス越しに外を見るかのように、視界が全体的にぼやけた感じになります。夜間の運転中に対向車のヘッドライトが気になるなど、光をまぶしく感じることもあります。

 白内障にもいろいろ種類がありますが、ほとんどは加齢性です。60歳代で70%、80歳以上になるとほぼ100%の人が、ある程度は白内障が原因の視力低下を経験すると言われます。ほかにも、糖尿病、ステロイド剤の長期使用、放射線や紫外線の照射、目のけが、喫煙、強度の近視などが発症リスクとして知られます。

 治療法は今のところ手術しかありません。ただし、すぐ治療しなければ失明するような緊急性の高い病気ではないので、普段の生活で特に困っていなければ、急いで手術を受ける必要はありません。視力低下の日常生活への影響、健康状態、年齢などを考慮し、手術するかどうかを決めます。

白内障の手術について教えてください。

 濁った水晶体を取り出し、代わりに透明の人工の眼内レンズを入れます。

 水晶体は、カプセルのような入れ物に入っています。まず、角膜とカプセルに小さな切開口を作ります。そこから超音波をあてて水晶体を破砕し、吸引して取り出します。最後に、空になったカプセルに眼内レンズを挿入します。

 手術とはいえ、合併症のリスクは極めて低く、米国では60歳代以上の人で一般的に行われています。手術は局所麻酔で行い、所要時間は片目10~20分。両目を手術する場合、2~3週間あけて片方ずつ行います。

人工眼内レンズにはどんな種類が?

 単焦点レンズと多焦点レンズの主に2種類です。一般的に使われるのは単焦点レンズで、遠方、中間部、手元のいずれか一つに焦点を合わせます。近視と遠視もある程度矯正できますが、乱視と老眼の場合、メガネまたはコンタクトレンズが必要です。

 多焦点レンズは、遠方も手元も見える遠近両用レンズです。乱視と老眼をある程度矯正できるので、メガネをかける頻度を減らすことができます。しかし、暗い場所で文字が読みにくい、光をまぶしく感じる・光の周囲に輪がかかって見えるなど、副作用が出ることがあります。

 単焦点レンズには保険が適用されますが、多焦点レンズは適用外です。生活習慣なども考慮し、どのレンズにするか、医師とよく相談して決めましょう。

緑内障とはどういう病気ですか?

 徐々に視野が狭くなり、放置すると失明する危険があります。緑内障は日本人の失明原因の第1位で、程度の違いこそあれ40歳以上の20人に1人が緑内障を発症していると言われます。初期は自覚症状がほとんどなく、緑内障に気付かず過ごしている人が大勢います。

 緑内障は主に、目の中の圧力(眼圧)が上昇し、圧迫された視神経が損傷することで起こります。しかし日本人の場合、眼圧は正常でも視神経が損傷している「正常眼圧緑内障」が過半数を占めます。そのため緑内障の検査では、眼圧だけでなく、視神経の形と視野の変化を調べる必要があります。眼圧が正常でも安心できないのです。

 同じ緑内障でも、眼圧が急上昇し、急速に視野が狭くなるタイプもあります。自覚症状として、目の激痛、頭痛、充血、かすみ目、それに吐き気や腹痛などが起きることがあり、すぐに治療が必要です。

緑内障はどのように治療しますか?

 点眼薬による薬物療法が主流ですが、効果が不十分な場合、レーザー治療を行います。目の組織の一部にレーザーを照射し、目の中を循環する「房水」の眼外排出を助ける治療で、外来で受けることができます。それでも眼圧が下がらなければ手術をします。目の組織の一部切開や、治療器具の眼内挿入などにより、房水の排出を促します。

 今のところ、失った視野や視力を取り戻す治療法はありません。眼科の定期検査を徹底し、早期発見と治療によって進行を抑えることが何より大事です。

※来週は、小柳乃里子先生に婦人科疾患についてお聞きします。


 

(上)正常な水晶体は透明だが、加齢とともに白内障が進行すると白や黄色に濁ってくる(写真は水晶体モデル)(下)白内障治療用の人工眼内レンズのモデル。レンズはプラスチック製で、さまざまな形や機能のものがある
HEALTH

遊馬吉右衛門先生
Kichiemon Asoma, MD

眼科専門医師(BoardCertified)。ニューヨーク州立大学臨床助教授。専門は、白内障、緑内障、糖尿病網膜症、網膜剥離、加齢黄斑変性症、ドライアイ、アレルギーなどの目の病気と症状の治療、メガネ、コンタクトレンズの処方など。角膜移植の特別訓練を修了。米国日本人医師会(JMSA)主催のシンポジウム「JMSAニューヨーク・ライフサイエンスフォーラム」(2018年4月7日開催予定)の運営委員。

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