2017/11/24発行 ジャピオン943号掲載記事

心と体のメンテナンス

ニューヨーク州健康保険制度(後編)

多種多様な保険プラン 政府補助を上手に利用

ニューヨーク州は、医療保険制度改革法(通称オバマケア)の下でどのようなプランを提供していますか?

 「クオリファイド・ヘルス・プラン(以下QHP)」、「エッセンシャル・プラン(以下EP)」、「チャイルドヘルス・プラス(以下CHIP)」 、妊婦のための保険、「メディケイド」の5種類です。外来診療、小児科・妊娠・精神疾患・薬物依存に関するケア、処方せん薬、予防医療など、基本的な医療行為10項目(前編参照)をカバーしています。

 どの保険も医療管理型プラン(HMO)です。加入者は、プランのネットワークに参加する医師や病院を利用しなければなりません。主治医(PCP=プライマリー・ケア・フィジシャン)の指定が義務付けられており、専門医にかかる場合は、主治医からの紹介状(リファラル)が必要です。

QHPとは、どういう保険ですか?

 保障条件・内容が良い順に、「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の4層のメタル・レベルがあり、それぞれに複数のプランが用意されています。

 当然ですが、保障内容が充実しているプランほど、保険料も高くなります。その分、ディダクタブル(自己負担額)やコーペイメント(受診時に毎回支払う一定の自己負担額)は低く、利用できる医師や病院の選択肢も豊富です。

 逆に、保険料が安いプランは、ディダクタブルやコーペイメントが高く、利用できる医師や病院の数も限られる傾向があります。例えばブロンズの場合、保険料は他のメタル・レベルよりも安いですが、ディダクタブルが年間5000ドルなどと高額なプランもあり、それに達するまでは保険が適用されません。ただし、ディダクタブルを満たしたかどうかに関係なく、保険加入者は医療費の大幅割引を受けられます。

 ディダクタブルを満たした後の保険適用率は、プラチナで8~9割、ブロンズで約5割が目安(残りが自己負担)。年間の自己負担最高額(マキシマム・アウト・オブ・ポケット)に達した後は、医療費が全額保障されます。

 このように、メタル・レベルによって患者の負担額や、利用できる医師・病院の選択肢は異なりますが、治療法や使う薬が変わるわけではありません。

プラン選択に際し考慮することはありますか?

 治療中の疾患や持病があるなど、医療機関を頻繁に利用することがあらかじめ分かっていれば、保険料は高くてもプラチナやゴールドのプランに加入する方が、結果的に医療費を抑えられるかもしれません。逆に若くて健康な人は、保険料の安いブロンズ・プランで十分かもしれません。

 所得が低い場合は、タックス・クレジットという制度を利用し、保険料の支払い金額を減額することができます。選択肢はいろいろあるので、健康状態や所得を考慮し、自分に合ったプランを選びましょう。かかりつけの医師が、ネットワークに参加しているかどうかも大事な要素です。

EPとCHIPについて教えて下さい。

 いずれも、低所得者を支援するニューヨーク州独自のプランです。QHPと同じ医療行為をカバーし、所得に応じて格安の保険料が決まります。年間を通し随時加入できますが、所得や年齢、EPの場合は移民ステータスの条件があります。

 EPは、メディケイド(低所得者向け保険)には該当しないまでも、調整総所得(adjusted gross income)が低い19~64歳が対象です。4種類のプランがあり、所得によってどれに入るかが決まります。毎月の保険料は最大20ドルです。

 CHIPは、19歳未満の子供用保険です。保険料は1人あたり月最大60ドル。低所得に該当しない世帯の子供も、月230~260ドルで加入できます。コーペイメントはなく、基本的な医療行為は全額カバーされます。

 どの保険も基本的に、市民権やビザを持つ合法の居住者が対象ですが、ニューヨーク州の子供用と妊婦用の保険は、移民ステータスに関係なく加入できます。参考までに、永住権所持者は取得後5年たったらメディケイドの受給資格を得られます。

 保険申請に不安がある人は、お気軽にお問い合わせ下さい。

※来週は、高井裕之先生にテロメアについて聞きます。


 

ニューヨーク州ではこれまで、オバマケアによって400万人以上が保険を取得。ウエブサイト(www.nystateofhealth.ny.gov)から2018年1月31日までに加入すること。加入受付期間とウエブサイトは州によって異なる
HEALTH_942_1

関久美子さん(左)、原貴子さん
Kumiko Seki, Takako Hara

ニューヨーク州認定アフォーダブル・ケア・アクト(通称オバマケア)ナビゲーター。保険加入手続きの支援や、米国医療制度に関する質問、加入後のプラン変更やトラブルの相談などに日本語で応じる。アジア系の家族向け福祉団体「CACF(Coalition for Asian American Children & Families)」に所属し、ニューヨーク日系人会に派遣される形で活動する。相談・支援はすべて無料。要予約。

CACF/NY日系人会
・日本語ナビゲーターによる相談予約受付

TEL
646-892-7792
MAP
49 W. 45th St., 11th Fl. (bet. 5th & 6th Aves.)

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