2017/11/03発行 ジャピオン940号掲載記事

心と体のメンテナンス

カイロプラクティックの減圧療法(前編)

椎間板ヘルニアや狭窄症 減圧療法で根本的な治療

カイロプラクティックの減圧療法とはどんな治療法ですか?

 圧迫(compress)された椎間板の周りに「スペース」を作り(decompress)、傷ついた椎間板の治癒を促し、椎間板があるべき位置に戻る手助けをするのが、減圧療法(decompression therapy)です。椎間板にかかる圧力が軽減され、患部に酸素や血液、栄養分を含む体液が行き渡る環境を整えるのです。

 従来からある「牽引(traction)」療法とは異なるものです。牽引が〝とりあえず背骨を引っ張る〟のに対し、減圧療法は、問題がある椎間板をピンポイントでフォーカスし、どの程度の力で、どんな角度で、どのくらいの時間をかけて背骨を引っ張るのか、数秒単位で精密にコントロールされた状態で行います。

 これまで約20年の臨床実績から、通常手術になるような症状を減圧療法で改善できることが分かっています。手術を避けられないケースはもちろんあります。減圧療法で改善できるかどうかは、問診、各種検査の結果を踏まえ、カイロプラクターが判断します。

減圧療法はどんな症状に有効ですか?

 主に、椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症(脊椎内の神経を囲む管が圧迫される整形外科疾患)など、椎間板の損傷やずれが関連した背骨・首のさまざまな症状に有効です。ヘルニアとは、椎間板が骨と骨の間からはみ出してしまい、神経を圧迫している状態ですが、そこに至るまでの段階的な症状にも有効です。

 他にも、骨粗しょう症など、老化により骨が潰れることで起こる関節炎や、骨と骨が擦れて起こる痛み、根性痛(脊椎を通る神経に伝達するような痛みが走る症状)にも効果的です。手首(手根管症候群など)、膝関節の炎症、出産後の骨盤矯正にも適しています。

椎間板の損傷とはどういう状態ですか?

 椎間板とは、一つ一つの背骨の間にあるクッションのような働きをする軟部組織です。健康な状態なら水分も豊富で、ふわふわしているもので、骨を守り、スムーズな体の動きをサポートします。ところが、重力という地球上では避けがたい環境条件に加え、けがや、慢性的な姿勢の悪さ、加齢などで椎間板が損傷したり、はみ出したりして神経を圧迫すると、痛みが起こります。

 もう少し詳しく説明すると、椎間板の中にはボールのような「核」があり、それを環状繊維という組織が動かないように支えています。健康な状態なら、多少のことでは「核」が動くことはないのですが、強い衝撃(けが)や、慢性的な悪い姿勢でこの環状繊維が破れると、「核」が動いてしまい、それが骨と骨の間からはみ出て、神経を圧迫します。神経に当たるので痛いし、さらにはその状態が継続すると神経繊維も過敏になっていきます。

手術と比較しての、カイロプラクティック/減圧療法の利点とは?

 まず、カイロプラクティック一般について説明すると、問診、触診、背骨の検査、神経学的検査、レントゲン、必要に応じてMRI(核磁気共鳴画像法)などによって、症状の原因を探ります。その上で、投薬や手術をせずに、症状の慢性化と再発を防ぐための治療を行います。減圧療法もその延長線上にあり、安全で効果的、しかも経済的な治療(来週の後編で詳述)と言えます。

 一方の手術については、椎間板損傷の状態によっては避けられない場合はもちろんあります。しかし、患者の体に大きな負担をかけ、治療費も高額になるのは言うまでもありません。外科的に問題箇所を取り除くわけですから、当面は症状も改善するでしょうが、なぜ問題が起こったかという根本的な部分を放置していては、手術で一時的に回復しても、再発する可能性があるのです。

椎間板の損傷や痛みは、完全に治るのでしょうか?

 残念ながら、椎間板の損傷は完全には治りません。加齢とともに〝ガタがくる〟のは、人間の体の部位も、機械も同じです。しかしその中で、自分で管理できる状態を保つことはできます。ヘルニアが4、5箇所あっても、適度な運動を楽しんでいる人はたくさんいます。手術をして当面症状が改善しても、管理が悪ければ再発しますし、手術をしなくてもきちんと管理をすれば生活の質は保てるのです。

※来週は、減圧療法の施術方法について伺います。


 

最新型の減圧療法専用寝台で、背骨を引っ張る治療風景。一般的には患者はうつ伏せに寝てもらうが、高齢者など、うつ伏せが負担になる場合は仰向けに寝てもらう
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石谷三佳先生
Mika Ishitani, DC

カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。パーマー・カイロプラクティック大学院卒業。ハーバード大学医学部専門課程修了。子供から大人の痛みやけが、事故の後遺症の治療、健康増進、妊婦の産前・産後ケア、乳幼児ケアなど。ニュージャージー州バーゲン群の地元誌「(201)マガジン」から2015・2017年の「トップ・カイロプラクター」に選出された。認定MFDT(MyoFascial Disruption Technique)カイロプラクター。

石谷ヘルスセンター

TEL
201-302-9993
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