2017/10/27発行 ジャピオン939号掲載記事

心と体のメンテナンス

姿勢・食生活の乱れと心の病(後編)

うつ病は栄養失調の一つ 心身のスタミナ回復を

うつ病からの回復に効果的な食事とは?

 うつ病を含む心の病は、人によって原因やきっかけはさまざまですが、突き詰めれば免疫機能が異常に低下した状態です。機能を正常に戻すことで、大抵のケースで症状の改善と解消を期待できます。その第一歩が食生活の見直しであり、体に不自然なもの・不要なものを徹底的に排除することです。

 まず、合成された化学調味料や保存料と、加工食品を避けること。それらの食品は、体に害を及ぼす悪玉菌の「エサ」だからです。悪玉菌は糖質も大好きなので、糖質が豊富な白米やパンなどの炭水化物も、できるだけ摂取を減らします。

 悪玉菌を抑えている間に、細胞の再生力を高める良質のタンパク質と脂肪、特に動物性脂肪を効果的に体に取り入れます。サーモンなどの脂分の多い魚、鶏肉、豚肉でもいいのですが、てっとり早くエネルギーを摂取できるのは牛肉です。生卵の黄身も栄養価が高く、私は毎朝ヨーグルトに混ぜて飲んでいます。魚は養殖でない天然物、肉と卵は放牧飼育(英語でpasturedまたはpasture raised)されたものが理想です。

 無添加のバターやラード、ヘビークリームで作った自家製ヨーグルトもお勧めです。ヨーグルトを作るときは生の牛乳(raw milk)を使ってほしいのですが、入手が難しければ、合法的な最低温度で加熱殺菌した商品がいいでしょう。生の牛乳は善玉菌の宝庫ですが、高温殺菌すると悪玉菌と一緒に善玉菌も死んでしまいます。

 うつ病の人は、基本的に栄養失調状態です。不調から抜け出すには栄養を補給し、スタミナをつけることが欠かせません。

 しかし、食事療法だけでは十分とは言えません。私は食事療法に加え、歩き方や立ち方、自分や人生に対する考え方を含む、心身の姿勢の改善に取り組む独自の療法「マキコ・メソッド」をクライアントに指導しています。免疫機能の回復を図るには、体だけでなく、心と魂(たましい)のバランスを整えることが大事だからです。

「自分の人生を生きる」とは?

 うつ病のクライアントと話すと、社会の一般的な価値観や常識ばかりを重視し、それから外れないように、または社会で優秀と認められる人間になるために、自分の価値観を犠牲にして生きてきた人が多いことに驚きます。そういう人がいったん魂のバランスを崩すと、それからの回復は困難です。

 自分を押し殺し、学歴やキャリアを優先した結果、生活が豊かになったのはいいけれど、どうも心が満たされないという人もいるでしょう。怒りや不満、悲しみといった感情を「悪いもの」と教えられ、抑えてきた人もいるかもしれません。自分を大事にし、自分の人生を生きることが、うつ病からの回復の前提です。クライアントとのセッションでは、感情を解き放つことで気持ちが晴れ、原因不明の体の痛みが軽減した例も珍しくありません。

うつ病の回復例を教えて下さい。

 現在40代半ばのある女性は、10年前に父親の死をきっかけに不眠になり、精神科でうつ病と診断されました。それまで弁護士として成功していましたが、人生に対する意欲をなくし、精神科で処方された薬を十何種類も服用していました。薬の副作用で体はむくみ、腎臓も摘出していました。

 この女性は仕事柄、感情を押し殺すことに慣れ、父親を亡くした悲しみを消化できていないようでした。そのため、最初は週1回通ってもらい、思い切り泣いて感情を吐き出すことに集中してもらいました。同時に、良質のタンパク質と脂肪を取る食事を具体的に指導し、心身の姿勢の改善と、自分と生き方を見つめ直すカウンセリングを続けました。女性は徐々にエネルギーと健康を取り戻し、3年かかりましたが、薬に頼らず落ち着いて生活できるレベルに回復しました。

 クライアントには、毎日の食事と気分や体調を記録してもらいます。そうすることで、次に心身に異常が起きた時、どうすればそれから抜け出せるかが見えてくるからです。誰でも落ち込むことはありますが、大事なことは、這い上がる力をつけること。マキコ・メソッドは、そのための一助です。

※次回は、石谷三佳先生にカイロプラクティックの減圧療法について伺います。 


 

落ち着いた環境でクライアントの話を聞き、心身の「ひずみ」を解消しバランスの乱れを整える(写真モデルは文中の患者例とは関係ありません)
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カストロ・岡 牧子さん
Makiko Oka-Castro

AANC公認栄養コンサルタント、GAPS(腸と心の症候群)向け食事療法公認プラクティショナーなど。GAPS食事療法、フードセラピー、ピラティス、ジャイロトニック、日本式鍼、催眠療法などの各種トレーニングと知識を組み合わせ、心身の姿勢と食生活見直しを柱とする独自の療法「マキコ・メソッド」を開発。「GAPS食事療法」(Dr. Natasha Campbell -McBride著)を翻訳、日本に紹介。Natural Healing Artists創業者兼代表。

Natural Healing Artists, Inc.

TEL
212-753-7806
MAIL
makikomethod@gmail.com
WEB
http://www.makikomethodnyc.com
MAP
32 Union Sq. East, #912 (bet. 15th & 16th Sts.)

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