2014/10/31発行 ジャピオン786号掲載記事

心と体のメンテナンス

冬の安全なエクササイズ(後)

冬の病気とけが対策 姿勢と動きに注意を

冬に起こりやすい病気やけがは?

誰にでも起こり得るのが凍傷です。長時間低温にさらされて体が冷えると、手足への血流が滞り、皮膚や皮下組織が損傷します。手足や指のしびれ、まひ、チクチクする痛みは、凍傷のサイン。すぐに暖かい場所に移動し、体を温めてください。

 冷え切った手足は、こすったり、湯につけたりしてはいけません。皮膚が剥がれる危険があるほか、感覚がまひした手足は、湯が熱くても分からないので、やけどする恐れがあるからです。代わりに温かい濡れタオルで手足を包み、十分に温めましょう。暖かい場所で1、2分経っても体が温もらないときは、医師の診察を受けてください。

 二つ目は低体温症です。低体温症とは、心臓や脳など、手足だけでなく内臓への血流が滞り、全身の体温が低下し、身体機能にさまざまな支障が生じた状態です。症状は脱水症と非常によく似ており、目まいや意識障害を起こし、会話や歩行が難しくなることもあります。脱水症と違う点は、全身に激しい震えを起こすことです。本人が異常に気付かないことも多く、重症になると命に関わることもあります。すぐに暖かい屋内に移動し、体を温めることが大切です。

 意外に思われるかもしれませんが、三つ目は過熱です。服を着込み過ぎて汗をかき、脱水症状を起こすのです。こまめに水分を補給し、通気性のある、体をあまり締め付けない素材の服を着ること、熱くなったら服を脱いで体温を調整することなどを心掛けてください。

 四つ目は、凍った路上ですべって転倒することによるけがです。

転倒対策として何ができますか?

冬場は凍った道や雪の上で転倒し、手首のすぐ上や肘、鎖骨をけがしたり、骨折したりする人がたくさんいます。転びそうになると、人間は反射的に手を出し、体を支えようとします。鎖骨のけがや骨折の大部分は、そのときの衝撃で起こります。

 一方、高齢者は若い人ほど反射神経がよくないため、とっさに手を出せず、また手を出しても体を支えきれないせいで、顔や頭、腰をけがするケースが多くみられます。

 転倒対策の基本は、適切な靴を履くことです。靴底が厚めで安定感があり、防水加工された靴をお薦めします。さまざまな価格帯で良い製品がいろいろあるので、履き比べてみるといいでしょう。

冬に首や肩が痛くなるのは、なぜですか?

冬になると、首と肩周りの痛みを訴えて来院する人が増えます。これは、寒い所で人間は、無意識に肩を上げ、前方に縮こまるような姿勢になるからです。冬の寒い朝、ベッドの中で丸くなって寝ていたという経験は、誰にでもあるでしょう。悪い姿勢を続けた結果、首や肩、関節に障害が生じたり、症状が悪化したりします。

 体を丸く縮めてしまうのは、寒さに対する人間の自然な防御反応です。それに逆らうのは難しいことですが、肩を上げない、肩を引いて胸を開く、背中を真っ直ぐ伸ばすことを常に自分に言い聞かせ、正しい姿勢を心掛けてください。縮こまった姿勢だと動きも鈍くなるため、けがもしやすくなります。

 首が寒ければ、スカーフやマフラーをうまく使いましょう。汗が皮膚に付いたまま冷えると寒くなるので、通気性のある素材のものがお勧めです。

ほかに日常生活で気を付けることは?

雪かきはいいエクササイズですが、間違った姿勢や動きで無理をすると、背中や腰を傷めてしまいます。足をしっかり地面に固定し、腰を入れ、腰を使って上半身を動かします(写真)。

 背中を丸めた姿勢で、腕や腹部、背中の筋肉だけを動かしている人を時々見掛けますが、それは危険です。正しい姿勢と動きで行えば、筋肉痛にはなっても、けがをすることはまずありません。また、運動のときと同じように、ジャンピングジャックやスクワットなど、雪かき前のウオーミングアップも、1分でいいのでするといいでしょう。

 基本的なことですが、病気やけがをしたら、十分に休むこと。特に風邪をひいたときは、他人にうつさない心遣いも大切です。

※来週からの2回は、家庭医の中釜知則先生にインフルエンザ予防接種について伺います。

雪かきは正しい姿勢と動きで。しっかり腰を入れた状態で、腰を使って上半身を動かす。背中を丸めた姿勢(円内)で、腕と腹部、背中の筋肉だけを使って雪をかくと、けがの原因になる。
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サンジェイ・ジョゼフさん Sanjay Joseph, PT

理学療法士(PT=PhysicalTherapist)。SFMA(SelectiveFunctionalMovement Assessment)を使った最先端の背骨/スポーツ医学リハビリプログラムに注力。症状改善や健康維持のため、患者が日常的に実践できる自己療法を重視した治療を行う。

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