2017/07/28発行 ジャピオン926号掲載記事

心と体のメンテナンス

米病院の日本人支援サービス(後編)

日本人のニーズに対応 予防と早期発見に注力

日本人からよくある相談内容とは?

 ホーリーネーム医療センターの日本人向け医療プログラムでは、緊急以外の医療に関する相談・問い合わせに、専用の日本語ダイヤルで対応しています。相談内容はさまざまですが、圧倒的に多いのが、手持ちの保険で当院外来を受診できるか、主治医を決めていないのでどうしたらいいか、などの保険に関する質問です。アメリカの医療保険制度は日本に比べて複雑なので、医療が必要になってから戸惑う人は少なくありません。

 言葉の問題に不安を抱える人も多く、希望者には、医師の診察や治療方針の説明時に医療通訳を手配(専用機械経由で通訳者と対話。手配・通訳とも無料)しています。どうしても日本人医師がいいという場合は、当院には診察に直接かかわる日本人医師がいないので、他院の医師を紹介することもあります。

 医療費への不安を訴える人も珍しくありません。その場合、支払いや公的支援の申請について、当院のソーシャルワーカーに相談することもできますし、日米ソーシャルサービス(JASSI)など、日本語で相談できる外部機関を紹介することもあります。

 日本人向け医療プログラムのボランティアスタッフは、医療分野の専門家ではありません。具体的な治療内容や費用など、すぐに答えられないこともありますが、相談者の中には、日本語で話ができただけで「不安が和らいだ」という人もいます。利用者は徐々に増えており、このプログラムで受けた相談件数は、今年1月のサービス開始から5月末までで約70件です。

日本人のニーズに対応したサービスとは?

 日本語の電話相談、通訳手配のほかにも、当院のアジア人医師の紹介と受診の予約代行、無料送迎シャトルサービスなどがあります。アジア人医師は、文化的に近いという理由で日本人患者に好まれています。シャトルサービスは、バーゲン郡内の患者の自宅と病院間の移動用です。利用は患者に限られ、事前予約が必要です。

 日本人スタッフが日本人患者を病院の総合受付で出迎え、病棟や検査室に案内したり、受診に必要な書類の記入をサポートしたりといったことも行います。

 入院患者には、日本人スタッフが病室へ挨拶に行き、日本人向けサービスを説明しています。入院時に日本食(味噌汁とノリ)を提供する準備も進めています。韓国料理のメニューはすでに充実しており、日本人に人気の韓国粥(かゆ)やワカメ汁を注文できます。

予防目的の活動には何がありますか?

 日本人を含め、アジア人は言葉や文化的障壁から受診が遅れがちなことに加え、家族のケアを優先し、自分の健康は後回しという人が多いようです。そういった状況を変えようと、乳がん、糖尿病、メンタルヘルス、B型肝炎、生活習慣病などの啓発キャンペーンを中心に、病気の予防と早期発見の大切さを訴えるアウトリーチ活動に力を入れています。

 ニュージャージー日本人会に協賛する形で5月に実施した糖尿病セミナーには、約40人の参加がありました。日本人には糖尿病予備軍が多いので、発症リスク、予防のための運動や食事療法などについて日本人医師が講演し、簡単な個別相談にも応じました。6月の乳がん啓発ウォーカソンには、日本人以外も含め700人超が参加し、100人にマンモグラフィー検査を無料で提供しました。

 ほかにも、日本人を対象に簡易健康診断を計画しています。日本人向け医療プログラムが提供する全てのサービスは無料です。


 

サービスは誰でも受けられますか?

 医療保険の加入有無、永住者、駐在員・学生、短期滞在者、居住地域などに関係なく、日本人向け医療プログラムのサービスは誰でも利用できます。特にこのプログラムの利用を推奨したいのは、無保険者や、加入している保険の給付内容が十分でない人、低所得者向けメディケイド/高齢者・障害者向けメディケアといった公的保険加入者など、医療を受ける上で不自由が生じる人たちです。

 このプログラムは、個人や企業の寄付で成り立っています。日本人が必要なサービス提供を目的に、徐々に活動を広げる計画です。
 
※来週からは、原田玲子さんにレイキヒーリングについてお聞きします。


 

2月に実施した糖尿病啓発セミナーには約40人が参加。日頃できる運動や食事などの予防ケアについて、日本人医師が講演した(写真提供:Holy Name Medical Center)
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ホーリーネーム医療センター・日本人向け医療プログラム
Japanese Medical Program, Holy Name Medical Center

2017年1月発足の日本人向け医療プログラムのスタッフ。(前列左から)森まどかさん、キョンヒー・チョイさん(アジア人ヘルスサービス責任者)、エスター・モラレスさん、(後列左から)吉岡まこさん、宮武美智子さん、森川茉莉子さん、山田貞姫さん。チョイさん以外は全員ボランティア。

Holy Name Medical Center Asian Health Services Japanese Medical Program

TEL
201-833-3310(日本人向け医療プログラム)
WEB
http://www.holyname.org/asianhealthservices
MAP
718 Teaneck Rd. Teaneck, NJ 07666

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