2017/07/07発行 ジャピオン923号掲載記事

心と体のメンテナンス

子供の発達障害(前編)

いろいろある発達障害 学齢期に症状が顕在化

発達障害について教えてください。

 生まれつき脳神経機能の発達に「偏り」があり、子供の頃から社会生活や学習面に困難を来す障害です。原因はまだ不明な部分が多いのですが、遺伝的要素との関係が昨今の研究により分かりつつあります。一方で、幼児期の脳神経の疾患や外傷、胎児期に受けた外的影響(母親のアルコール摂取、喫煙など)を除き、子供の育った環境や、育て方などとの関係は証明されていません。

 発達障害にはいくつか種類があり、よく知られているのが注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)です。これらは重複が多く、例えばASDとADHDの両方の特徴を持つ子供もいれば、ASDの子供がLDを伴うケースもあります。

発達障害の主な症状とは?

 まずADHDの場合、多動型、注意欠如型、それら二つの混合型の3種類に大別され、それぞれ症状が違います。

 多動型の主な症状は、じっとしていられない、他人の話を聞いていられない、順番を待てないなど。衝動性の高い行動が多く、集団の中にいると目立つので、幼稚園から小学校低学年までの比較的早い段階で診断されます。注意欠如型は、他人の話や物事に集中できない、整理整頓が難しく物の紛失や忘れ物が多いなど。多動型と比べて症状が分かりにくく、その多くが小学校の中高学年、または中学生になってから診断されます。

 ADHDは男児3、女児1の割合で男児に多く、男児には混合型と多動型、女児には注意欠如型が多いといわれています。有病率は男女合わせて5~11%で、児童30人のクラスに1~3人の割合です。

 症状が自分の子供に当てはまるという人もいるかもしれません。発達障害の診断の目安の一つは、症状によって集団生活や学習面で重篤な問題が起きていることです。落ち着きがないのは子供が子供たるゆえんですが、その程度が同学年の子供と比べてどうかがポイントです。

 次にASDですが、主な症状は、言語と非言語的サイン(表情、目線を合わせてうなずくなど)によるコミュニケーションに問題がある、他人の気持ちを理解するのが難しい、同一性にこだわりがある、などです。「同一性へのこだわり」というのは、登校時の道順や、起床後の洗顔、歯磨き、着替え、朝食の順番など、習慣の変更に過敏に反応し、時にはかんしゃくを起こしたりすることです。集団に入らず、一人遊びが多いのも特徴です。

 症状の軽重によって、幼児期に診断を受けるケースもあれば、学齢期を迎え、他の子供との行動の違いに親や教師が気付いて診断を受けるケースもあります。

 ASDの有病率は68人に1人といわれ、2クラスに約1人の割合です。男女比は4対1で男児に多くみられます。

 最後にLDは、読む、書く、計算するなど、特定分野(教科)の学習だけが極端に苦手で、学業成績や日常生活に困難を来します。勉強が難しくなる小学3年生頃から症状が顕著になります。

 ADHD、ASD、LDに共通していえるのは、二次的障害として、うつ病や不安障害などの気分障害を併発しやすいことです。これらの子供たちは、集団行動になじめず友達ができにくい、他人から理解されにくい、成績が悪い、また、ADHDの場合は落ち着きがなく叱られる機会が多いなど、幼児期から失敗経験が多いことと関係しています。

発達障害はどのように診断しますか?

 本人や家族、学校関係者から話を聞くのはもちろん、各種検査を行い、それらの結果を総合して診断します。

 必ずやる検査の一つに知能検査があります。これは、知能レベルを測定し、同時に知能の特徴を調べる心理検査です。知能の高低だけでなく、言語理解能力は非常に高いのに情報処理能力は低いなど、子供の得意・不得意を知ることができます。知能は高いのに成績が悪ければ、ADHDのせいで授業に集中できていないのかもしれないし、LDや他の疾患が原因かもしれません。子供の学び方の特徴を見つけることで、得意分野を伸ばし、不得意なことを周囲の工夫で補うことも可能になります。

※来週は、発達障害の治療と各種支援についてです。


 

発達障害は、子供本人や家族、学校関係者への聞き取りや、知能検査を含む各種検査の結果を総合して診断する。検査では、色マジックや画用紙、積み木、パズルなどの道具を使うこともある
HEALTH_923

表西恵先生
Megumi Omonishi, PhD

サイコロジスト。関西大学卒業後、セントラルアーカンソー州立大学大学院カウンセリング心理学科などを経て、ジョージア州立大学で同科博士号取得。テネシー大学ヘルスサイエンスセンターで研修修了後、ジョージア州などで臨床経験を積む。「アメリカ人は気軽に精神科医に行く」(ワニブックスPLUS新書)を2015年上梓。メンタルヘルス関連の企業向け出張セミナーも手掛ける。

Manhattan Wellness Medical Care

• 15 W. 44th St., 10th Fl.
TEL: 212-575-8910

• 3010 Westchester Ave., #401
Purchase, NY 10577
TEL: 914-305-8555

Manhattan Wellness Medical Care

TEL
212-575-8910
WEB
http://mwmcny.com
MAP
15 W. 44th St., 10th Fl.

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント