2017/06/09発行 ジャピオン919号掲載記事

心と体のメンテナンス

アレルギーの疑問あれこれ(後編)

対症療法と根治的治療 生活改善で免疫向上も

アレルギーの症状を抑える治療とは?

 治療法は、アレルギーの原因、症状、重症度などによって異なります。まずは医師の診察を受け、何にアレルギーを起こしているか、原因を突き止めることが大事です。

 花粉症、食物アレルギー、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎の場合、よく使われるのは飲み薬の抗ヒスタミン剤です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒(かゆ)み、涙目、喉の痒み、皮膚の痒みなどのアレルギー症状を緩和する効果があります。

 抗ヒスタミン剤は、処方せんなしで購入できる市販薬(OTC=OverThe Counterdrug)の種類が豊富で、飲むと眠くなるタイプ(第一世代)と、眠くならないタイプ(第二世代)に大別されます。第一世代の代表的な薬はベナドリル(Benadryl)、第二世代はジルテック(Zyrtec)、クラリチン(Claritin)、アレグラ(Allegra)です。薬によって効果に個人差があり、第二世代の薬で眠くなる人もいます。

 内服薬の他に、点眼剤、点鼻剤、注射剤、塗り薬が使われることもあります。主な薬の成分は抗ヒスタミン剤とステロイド剤ですが、気管支ぜんそく用に免疫の働きを調整する新薬など、最近は薬の選択肢も増えています。どの薬にも副作用はあるので、医師の指示、OTC薬の場合は添付文書に従って適切に使いましょう。

減感作(げんかんさ)療法とは?

 薬物療法がアレルギー症状の緩和に効果があるのに対し、減感作療法はアレルギー反応そのものを抑える治療法です。アレルゲン、つまりアレルギーの原因物質を少しずつ体内に取り込ませることにより、体をアレルゲンに慣れさせ、免疫の過剰な反応を抑制します。治療期間は3~5年と長いのですが、アレルギー症状を大幅に改善し、場合によっては、症状をほぼ完全になくせることもあります。

 代表的な減感作療法は、皮下注射型(SCIT=subcutaneous immunotherapy)と舌下型(SLIT=sublingual immunotherapy)の二つです。

 何十年も前から一般的に使われてきたのはSCITの方で、治療用に薄めたアレルゲンを注射投与します。通常、最初の1年間は1週間に1回の頻度で来院してもらい、注射投与を行います。その後、濃度を少しずつ上げながら注射を続け、徐々に月1回へと回数を減らします。花粉、ダニ、動物の毛やフケ、カビ、食物など、SCITは多種多様なアレルゲンに対する治療を行えます。

 もう一方のSLITは比較的新しい方法で、毎日1回、アレルゲンのエキスを成分とした錠剤を口に含ませ、舌下から体内に吸収させます。定期的な通院は必要ですが、自宅で投与できるので、SCITのように頻繁に通院せずに治療を続けることができます。

 ただし、米食品医薬品局(FDA)によってSLIT用に使用が認められた錠剤は、草花粉用、ブタクサ花粉用、イエダニ用の3種類しかありません。3種類以外の食物や動物の毛などに対する治療は、まだ認められていません。

日ごろからできるアレルギー対策は?

 アレルギー検査をすると、実は多くの人がたくさんの物質に弱いアレルギー反応を示します。しかし、それら全ての物質に症状が出ているわけではありません。

 普段は平気なのに、風邪を引いたり疲れたりすると症状が出るのは、免疫力の低下が原因です。免疫力の強化と維持のため、日ごろから健康的な食事や適度な運動を心掛けましょう。喫煙や過剰飲酒は、免疫の大敵です。

 人間の腸は、体の免疫力の7割をコントロールしているといわれます。腸内環境改善のため、プロバイオティクスの摂取もお勧めします。プロバイオティクスとは、体に良い作用をもたらす生きた微生物です。

 また、親がアレルギー体質の場合、子供もそれを引き継ぐ傾向があります。過保護になる必要はありませんが、親は子供の食事に留意し、プロバイオティクスを与えてもいいでしょう。赤ちゃんの場合は、事前に小児科医に相談してください。アレルゲンに触れない・触れる機会を減らすことも、アレルギー対策の基本です。

※来週は、カイロプラクタ―の仲野広倫先生に「意外な思い込み、間違った健康法」をテーマにお聞きします。


 

OTCの抗ヒスタミン剤は種類が豊富。効き目や副作用には個人差があるので、自分に合ったものを見つけて上手に使いたい
HEALTH

ユン・シーン先生
Eun Sheen, MD

アレルギー科・免疫科認定医師(Board Certified)。韓国・梨花女子大学医学部卒業後、ニュージャージー医科歯科大学アレルギー免疫学フェローシップ修了。米国アレルギー・ぜんそく・免疫学会所属。食物・動物・植物・化粧品・化学物質を含むアレルギー検査と治療が専門。鍼治療も手掛ける。

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