2017/06/02発行 ジャピオン918号掲載記事

心と体のメンテナンス

アレルギーの疑問あれこれ(前編)

異物に免疫が過剰反応 原因や症状はさまざま

アレルギーと免疫の関係は?

 私たちの体には、細菌やウイルスなどの病原体が入ってきたときに、それを異物と認識し、攻撃を仕掛けて排除しようとする「免疫」という仕組みが備わっています。体を守るために不可欠な免疫ですが、食べ物や花粉など、本来無害な物質に対しても過剰に攻撃を仕掛け、自分の体を傷つけてしまうことがあります。これが「アレルギー反応」です。

 アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」、または「抗原」といいます。食物、花粉のほかにも、ダニ、ほこり、かび、犬や猫の毛・フケ、化粧品・薬物など、日常生活には多種多様なアレルゲンがあふれており、どれにアレルギー反応を示すかは人によって異なります。

 アレルギーはⅠ~Ⅳ型まで四つのタイプがあり、その多くはアレルゲンが体内に入った直後から1~2時間以内に症状が出る「Ⅰ型」に分類されます。花粉症、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎はⅠ型です。気管支ぜんそくは、アレルギーが関与している場合と、関与していない場合が約半数ずつといわれます。

 症状や重症度は、原因、健康状態などによって異なります。主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒(かゆ)み、涙目、喉の痒み、鼻水が喉に流れる後鼻漏(こうびろう)、ぜんそくなど。体の一部、または全身にじんましんがでることもあります。重症になると、血圧が急降下して呼吸困難を起こすなど、アナフィラキシーと呼ばれる全身性の激しい反応を起こすこともあります。

 金属や化粧品、化学物質へのアレルギー反応はⅣ型に分類されます。アレルゲンに直接触れた部分が痒みを帯びて赤く腫れたり、発疹ができたりします。通常、アレルゲンにさらされて半日~3日ほどで反応が起こります。

「抗体」と「感作」とは何ですか?

 Ⅰ型アレルギーの場合、アレルゲンが体内に入ると、それを攻撃しようと「IgE抗体」と呼ばれるタンパク質が体内で作られます。IgE抗体は、鼻や目の粘膜にある「マスト細胞」の表面にくっついて、アレルゲンの再侵入に備えます。この状態を「感作(かんさ=sensitization)」といいます。

 感作の状態で再び体内に侵入したアレルゲンは、IgE抗体と結合します。その結果、マスト細胞からヒスタミンなどの化学物質が分泌され、アレルギーの症状が現れます。

 日本で花粉症だった人が、アメリカで暮らし始めて症状が治まっていたのに、3、4年目に突然再発することがあります。これは、日米で飛散する花粉の種類が違うことと、感作と関係しています。

 日本で花粉症といえば圧倒的にスギですが、アメリカではスギは少なく、オーク、カエデ、カバノキ、ブタクサなどが主な原因です。そのため、来米してしばらくは問題ないのですが、数年後、体がアメリカで飛散する花粉に敏感になる、つまり感作された状態で花粉にさらされると、症状が再発するのです。

アレルギーの原因を調べる方法は?

 まずは問診です。症状や、発症前の数日間にやったこと・行った場所・食べた物・新しく使い始めた物(化粧品や制汗剤など)・触った物などを詳しく聞きます。そして、原因にある程度あたりをつけて、血液検査、皮膚テスト、パッチテストのいずれか一つ、または複数を組み合わせて行います。

 皮膚テストとは、皮膚表面に専用針で小さな刺し傷を作り、アレルゲンのエキスを吸収させて皮膚の反応を観察する方法です(写真)。約20分後、患部が赤く腫れあがったら、そのアレルゲンにアレルギーがあると判断されます。

 血液検査では、アレルゲンごとのIgE抗体の量を測定します。血液を検査機関に送って調べるため、判定に約1週間かかりますが、長時間じっとしているのが難しい子供や、湿疹が広範囲で皮膚テストが難しい場合などに適しています。

 パッチテストは、Ⅳ型アレルギーの原因を見つけるために行います。アレルゲンを含ませたパッチを背中に張り、2~4日後に皮膚の反応を調べます。

 アレルギー対策の基本は、原因物質に接触しないこと。アレルギー検査は、そのために非常に重要です。
 
※来週は、アレルギーの治療や疑問についてです。


 

皮膚テストの様子。棒状アプリケーターの先端にアレルゲンのエキスをつけ、ハンコのように皮膚に押しつける。一度に何十種類ものアレルゲンの検査が可能。検査はほぼ無痛で、子供も安心して受けられる
HEALTH

ユン・シーン先生
Eun Sheen, MD

アレルギー科・免疫科認定医師(Board Certified)。韓国・梨花女子大学医学部卒業後、ニュージャージー医科歯科大学アレルギー免疫学フェローシップ修了。米国アレルギー・ぜんそく・免疫学会所属。食物・動物・植物・化粧品・化学物質を含むアレルギー検査と治療が専門。鍼治療も手掛ける。

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