2017/05/12発行 ジャピオン915号掲載記事

心と体のメンテナンス

腸内環境の改善(後編)

腸内環境が心身に影響 善玉菌増やして健康に

腸内環境が乱れる原因は?

 いろいろありますが、大きな原因の一つが不規則かつ偏った食生活です。腸内環境は、心身の健康維持に必要な「善玉菌」が8・5、体に有害な「悪玉菌」が1・5の割合で存在するのが理想です(前編参照)。ところが、食事を頻繁に抜いたり、糖分や添加物の多い食品を日常的に食べたりしていると、たちまち腸内環境が悪化し、善・悪玉菌のバランスが崩れます。痩身や健康増進をうたった極端なダイエット方法も、やり過ぎはよくありません。

 他にも、睡眠不足、運動不足、心身のストレスなど、日常生活のあらゆることが腸内環境に影響します。普段から食事に気を付け運動をしていても、過剰なストレスによって善玉菌は減ってしまいます。

 薬も、種類によっては問題です。特に抗生物質は、体に有害な細菌と一緒に善玉菌も殺してしまいます。どんな薬にせよ、服用中は普段以上に食事に気を付け、医師と相談の上、プロバイオティクスを摂取してもいいでしょう。

 プロバイオティクスとは、体に良い作用をもたらす生きた微生物です。代表的なものに、乳酸菌やビフィズス菌があります。最近は、プロバイオティクスが豊富な発酵乳飲料のケフィア(Kefir)やヨーグルト、サプリメントなど、さまざまな商品が開発されています。

腸内環境を改善する方法は?

 善玉菌を増やす一番の近道は、善玉菌を多く含む食品を中心に、栄養バランスの取れた食事をすることです。善玉菌は、発酵食品全般に豊富に含まれます。身近な食品を挙げると、納豆、塩麹(こうじ)、ぬか漬け・しば漬け・各種ピクルスなどの漬物、キムチ、ヨーグルト、ケフィアなどです。

 プロバイオティクスと一緒にプレバイオティクスを取ると、さらに効果があります。プレバイオティクスとは、プロバイオティクスの吸収と働きを助ける物質です。腸内で消化されにくいオリゴ糖や食物繊維などがその代表で、ブロッコリーやカリフラワーなどのアブラナ科の植物、豆類、イモ類、キノア・ライ麦・大麦などの雑穀類、ベリー類、バナナなどに豊富に含まれます。

 繰り返しますが、大切なのは栄養バランスです。発酵食品さえ食べていればいいのではなく、炭水化物、タンパク質、脂肪の3大栄養素、ビタミン、ミネラルなどを満遍なく摂取しましょう。

プロバイオティクスの取り方・選び方は?

 食品から摂取するのが理想です。ただし、疲れている、便秘・下痢が続いている、肌荒れがひどいなど、体調が優れないときや、何らかの病気と診断されたときは、食事に留意しながらサプリメントで補給するといいでしょう。病気で治療中の人は、事前に医師に相談する方が安全です。

 人によって、不足している/必要とする菌は異なります。そのため、ケフィアやヨーグルトなどの食品、あるいはサプリメントでプロバイオティクスを摂取するときは、できるだけ菌株(strain)の種類が多いものを選びましょう。

 菌によっては胃酸で死んでしまい、生きて腸まで届かないことがありますが、全ての菌が死ぬわけではありません。実際、プロバイオティクスの効果はさまざまな研究で報告されており、ビフィズス菌ヨーグルトを日常的に食べている人が健康なことは、その例の一つです。私が栄養指導した患者でも、体調が改善した例はたくさんあります。

 最近は、プロバイオティクスを胃酸から守る特殊加工を施したサプリメントも販売されていますが、効果には個人差があるようです。結局のところ、製品をいろいろ試し、効果がある・なしを自分の体に聞くのが一番です。ちなみに私は、体調によって、含有菌株が少しずつ違うサプリメントを飲み分けています。

 どのサプリメントがいいか分からないときは、栄養士かサプリメントアドバイザーに相談してください。

 腸内環境に長年問題がある人の場合、食生活を変えてもすぐには改善しないかもしれません。しかし、大切なことは継続です。やる気が出てきた、寝起きがよくなったなどの変化は、腸内環境が良くなってきた証拠。健康の土台は、腸内環境にあるといっても言い過ぎではありません。

※来週は、中川俊一先生に緩和医療についてお聞きします。


 

納豆には善玉菌が豊富に含まれる。白米に納豆、みそ汁、漬物の昔ながらの和食の組み合わせは、腸内改善に有効
HEALTH

宮下麻子さん
Asako Miyashita, MS, RDN

米国登録栄養士(RDN=Registered dietitian nutritionist)。日本のマクロビオティック料理学校、リマクッキングスクール師範科を修了後来米し、コロンビア大学教育大学院から栄養教育学修士号を取得。専門は糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病、甲状腺疾患、ホルモン疾患、摂食障害、サプリメントのアドバイスなど。自然派スキンケア製品開発のLaIRIDE(www.la-iri de.com)共同創業者。

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