2017/05/05発行 ジャピオン914号掲載記事

心と体のメンテナンス

腸内環境の改善(前編)

腸内環境が心身に影響 善玉菌増やして健康に

「腸内フローラ」とは何ですか?

 私たちの腸には、数百兆~千兆個ともいわれる細菌がおり、そのほとんどが大腸の内壁面に生息しています。その腸壁の様子を顕微鏡でのぞくと、色鮮やかな植物が群生する花畑(フローラ)のように見えることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。

腸内細菌の働きを教えて下さい。

 腸は「第2の脳」とも言われ、脳からの信号がなくても機能する唯一の臓器です。心身の健康維持に非常に重要な役割を果たしており、腸の働きが悪化すると、全身にさまざまな影響が現れます。腸内細菌は、この大切な腸の働き、ひいては心身の健康を支えています。

 腸内細菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見(ひよりみ)菌」の、大きく三つに分類されます。善玉菌とは、心身の健康維持や老化防止になくてはならない菌。代表的なものに、乳酸菌やビフィズス菌などがあります。反対に、悪玉菌は体に有害な菌です。ウェルシュ菌、ブドウ球菌、病原性大腸菌などがよく知られ、腸内で有害な物質を合成し、心身の不調や病気の原因になったり、老化を促進したりします。

 日和見菌とは、善玉菌、悪玉菌のどちらにも属さず、どちらか優勢な方の味方になって作用する菌のことです。何らかの理由で悪玉菌が増えると、日和見菌が悪玉菌に変わり、腸内で悪い働きをします。逆に善玉菌が優勢なときは、日和見菌は善玉菌の働きを助けます。

 誤解されやすいのですが、実は悪玉菌も体にとっては必要な菌です。大切なのはバランスで、理想的な比率は、(日和見菌を加えた状態で)善玉菌8・5、悪玉菌1・5といわれます。

腸内環境の改善が大切な理由とは?

 腸は、食べ物の消化と栄養素の吸収、病気や老化の原因となる有害物質の排泄に重要な臓器です。例えば、腸で合成され体に吸収される栄養素には、ビタミンB群とビタミンKがあります。B群は主に免疫や神経の機能促進に、Kは丈夫な骨を作るために欠かせません。腸内環境が乱れると、この一連のプロセスがうまく機能しないので、せっかく体に良い食事をしても、栄養を十分に吸収することができません。排泄も滞るので、有害物質を体に溜めてしまいます。

 他にも、腸内環境を整えることには次のような利点があります。

▽免疫力の向上と正常化=腸は、体の免疫力の7~8割をコントロールしているといわれる。体を病原菌やウイルスから守り、病気になりにくい体を作る。免疫の過剰反応を抑制し、アレルギー症状を軽減する。
▽過剰な炎症の抑制=関節炎、リウマチなどの症状を軽減する。
▽ホルモンバランスの改善=生理不順・生理痛の改善、月経前症候群(PMS)の緩和など、ホルモンバランスの乱れが原因の全身症状を改善する。
▽うつや不安症などの症状改善=幸福感や喜びをもたらすとされる化学物質のドーパミン、セロトニンの体内合成と、脳への送達を促す。腸から脳への信号伝達の改善、自律神経、脳の機能改善など。ただし、重度の精神疾患の場合は、腸内環境を整えながら、精神科医師や臨床心理士との連携が必要。

 肌や髪の毛がきれいになるなど、美容面の効果も期待できます。

腸内環境悪化のサインとは?

 慢性疲労、慢性頭痛、肌荒れ、下痢・便秘、やる気が出ない・集中力が続かない、寝つきが悪い・朝すっきり起きられないなど、病気とは言えないまでも、どうも体調が優れないというときは、腸内細菌のバランスが乱れている可能性があります。高コレステロール、高血糖、高血圧、または何らかの病気と診断されたりした時点で、大抵の場合、悪玉菌が異常に多いか、悪・善玉菌のバランスが逆転しています。

 便の状態は、腸内環境の目安になります。バナナのような形の茶色の便がスルッと出るときは、腸内バランスが良い証拠。反対に、下痢・便秘、うさぎの糞のようにコロコロと丸く硬い便が出る場合は、バランスが崩れています。参考までに、慢性的な黒い便・鉛筆のように細い便は、がんやポリープなどの病気が疑われるので注意して下さい。

※後編は、腸内環境悪化の原因と改善の方法についてお聞きします。


 

善玉菌を豊富に含み、腸内改善に効果があるとされる発酵乳飲料のケフィア(Kefir)。加糖された味付きのものは飲みやすいが、添加物が少ないプレーンがベスト
HEALTH

宮下麻子さん
Asako Miyashita, MS, RDN

米国登録栄養士(RDN=Registered dietitian nutritionist)。日本のマクロビオティック料理学校、リマクッキングスクール師範科を修了後来米し、コロンビア大学教育大学院から栄養教育学修士号を取得。専門は糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病、甲状腺疾患、ホルモン疾患、摂食障害、サプリメントのアドバイスなど。自然派スキンケア製品開発のLaIRIDE(www.la-iri de.com)共同創業者。

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