2017/04/28発行 ジャピオン913号掲載記事

心と体のメンテナンス

カイロと低出力レーザー治療(後編)

急性疼痛やけがに即効性 長年の痛みと不調も解消

低出力レーザー治療の利点とは?

 低出力レーザー治療とは、ごく弱いエネルギーのレーザー光を皮膚の上から照射する治療です。細胞の中の「ミトコンドリア」と呼ばれる一構造物の働きを活性化させることにより、痛みや炎症、腫れの緩和と、損傷した組織の回復を促します(前編参照)。ミトコンドリアは、私たちの生命活動に欠かせないエネルギーの「生産工場」です。

 この治療は、ぎっくり腰などの急性疼痛や、肉離れ、打撲、突き指など、スポーツのけがの症状暖和に特に適しています。患者に喜ばれる最大の利点は、即効性があることです。症状と重症度によって治療回数は変わりますが、通常、急性の場合で1日おきの治療を約6回続けます。カイロプラクティック治療を併用し、体本来の自己治癒力を高めることで、さらに高い効果を期待できます。

 外科手術でメスとして使われる高出力レーザーの場合と違い、低出力レーザーは発熱を伴わないことも特徴です。治療中の事故や副作用の心配が少なく、皮膚の上から照射するので感染症の危険もありません。

けがと痛みの治療例を教えて下さい。

 バスケットボールの練習中に右足首を捻挫した、高校男児の例をご紹介しましょう。直後にくるぶしの腫れと発熱が見られ、救急外来を受診しましたが、骨折はしていませんでした。親が私の患者だったことから相談を受け、けがの当日に治療を始めました。

 まず、患部に低出力レーザーを1分間照射し、同時に痛みを和らげるため、腰の脊髄神経に出力を上げたレーザーを30秒間照射し、脳に痛みを伝える神経の流れを阻害しました。また、自宅で患部を冷やすことを指導しました。翌日、通常72時間は変わらないとされる患部の腫れが半分に引き、痛みは本人評価で前日の10段階中8から4に軽減しました。その後、ほぼ1日おきの治療を3回続け、この男児は1週間後に練習に復帰しました。

 半年続いていた激痛が、1カ月の治療でほぼゼロになった例もあります。30代半ばの女性は、トライアスロンの練習のし過ぎで足底筋膜炎(足裏の筋膜が炎症を起こし断裂した状態)を患い、毎朝ベッドから出るときに踵(かかと)に針を刺したかのような激痛が走り、しばらくは歩けないほどでした。理学療法や痛みを抑えるステロイド注射などのさまざまな治療を試しましたが、あまり効果がありませんでした。

 当院で、足裏やアキレス腱、腰にレーザーを照射し、傷の治癒に必要な細胞の生産を促すため、胸骨と脛(すね)にも照射を行いました。これを週3回続け、自宅でストレッチとマッサージをするよう指導しました。2週間後、起床時の痛みが10段階中8から2に緩和。3週目からは治療を週2回に減らし、さらに2週間後、痛みがほぼ消え、女性はトライアスロンの練習を再開しました。

 また、普段動物の治療はしませんが、知人の獣医師の監視の下、患者の犬の軽度ヘルニアを治療したこともあります。週3回の治療を2週間続け、フラフラだった歩行が正常化し、長時間立っていられるようになりました。

ほかにはどんな症状に効きますか?

 腰痛、頭痛、リウマチ、五十肩、顎関節症、繊維筋痛症、慢性疲労症候群、アトピー性皮膚炎、脱毛症、糖尿病足病変など、低出力レーザー治療は幅広い疾患や症状の治療で効果を上げています。心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ、アルツハイマー病など、脳疾患の治療効果も、さまざまな研究で報告されています。

 当院の場合、長年いろいろな治療を試しても痛みが消えなかった人が、短期間で効果を実感できたという例が少なくありません。しかし、効果には個人差があり、誰でもこの治療を受けられるわけでもありません。特に、目、甲状腺、悪性腫瘍への直接照射や、妊婦の腹部や腰部への照射は禁止されています。

 すでに西洋医学の専門医の下で治療を受けている、あるいは治療中に病気が見つかった場合は、医師と協力して治療にあたることが重要です。治療選択肢は年々増えているので、長年の痛みもあきらめず、さまざまな分野の専門医に相談されてみてもいいでしょう。

※来週は、宮下麻子さんに腸内環境の改善についてお聞きします。


 

低出力レーザー治療機器「ソー(THOR)」を使った治療の様子。治療部位に30秒~1分間ずつレーザーを照射する。レーザーが目にあたらないようにゴーグルを装着。痛みはない(写真提供:THOR Photomedicine Ltd.)
HEALTH

安藤晴一郎先生
Seiichiro Ando, DC, DACNB

カイロプラクタ―(DC=Doctor of Chiro- practic)。パーカー・カイロプラクティック大学卒業。キャリック研究所・機能神経学課程、エイペックス・セミナー(機能性医学)修了。米国カイロプラクティック神経学会認定医(DACNB=Diplomate of the American Chiropractic Neurology Board)、低出力レーザー機器「THOR」認定医。カイロプラクティック、機能性医学的アプローチ・デトックス・栄養カウンセリング、機能神経学的アプローチ、理学療法を組み合わせた治療を提供。

Ando Chiropractic

TEL
201-496-6066
WEB
http://www.andochiro.com
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