2017/04/21発行 ジャピオン912号掲載記事

心と体のメンテナンス

カイロと低出力レーザー治療(前編)

レーザーで細胞機能増進 体の内側から元気になる

レーザーがけがや痛みの治療に効くのはなぜですか?

 まず、レーザー(LASER)という言葉は、「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(輻射の誘導放出による光増幅)」の頭文字を並べたものです。何やら難しそうですが、レーザーは太陽光や蛍光灯などと同じ光の一種です。

 太陽光や蛍光灯の光は、青や緑、赤色など、波長(光の波の長さや振れ幅の大きさなど)の違うさまざまな色の光の集合体です。それに対しレーザーは、同じ波長の、一色の光です。強いエネルギーを一カ所に集中して照射できるのが特徴で、昔からいろいろな治療に使われてきました。

 私が院長を務めるクリニックでは、低出力レーザー治療機器を今年1月に導入しました。ごく弱いエネルギーのレーザー光をあえて使用することにより、「ミトコンドリア」と呼ばれる細胞の中の一構造物を標的にする機械です。ミトコンドリアとは、簡単に言うと「体のエネルギー生産工場」です。

 私たちが食事から摂取する栄養は、いったん分解されてエネルギーとなり、細胞を作ったり、体温を正常に保ったりするために使われます。ところが、エネルギーを作るミトコンドリアの働きが低下していると、エネルギーが不足し、けがや風邪が治りにくいだけでなく、疲れやすく、皮膚はボロボロになります。この状態が続くと、体に重大な問題が生じ、命にかかわることにもなりかねません。

 低出力レーザー治療では、赤色および近赤外線レーザー光や発光ダイオード(LED)を皮膚の上から照射し、弱ったミトコンドリアの働きを活性化させます。ミトコンドリアのエネルギー生産量を増やすことにより、痛み、炎症、腫れの緩和や、損傷した組織の回復を促すわけです。

ミトコンドリアの機能低下と回復の仕組みとは?

 風邪などの病気や、疲労、睡眠・栄養不足、喫煙などによる身体的および精神的ストレスは、体にとって大敵です。ミトコンドリアの働きも、ストレスや虚血(貧血)状態が原因で、ある老廃物が蓄積することによって低下します。その過程で、肌荒れや老化、発がんに関与するとされる活性酸素の過剰生産が引き起こされ、炎症の原因になることも分かっています。

 低出力レーザー治療で、こうしたミトコンドリア内の老廃物を排除します。それにより、ミトコンドリアの働きが活性化。エネルギー生産力が回復し、活性酸素も除去されます。

低出力レーザー治療には、ほかにどんな効果がありますか?

 炎症のもとになるタンパク質の除去、ホメオスタシス(恒常性=体内環境を一定の状態に保つ力)に関与するカルシウムイオンの働きの促進、成長因子の増加、その他酵素の活性化などが挙げられます。カルシウムイオンや成長因子は、血液やリンパ液に乗って全身に運ばれるため、治療効果は全身におよびます。

 レーザーを胸骨や脛(すね)などの長骨にあてることにより、幹細胞の生産を促すことも可能です。幹細胞とは、骨や血管、心筋など、さまざまな組織に分化する細胞です。傷の治りにくい人に、患部の治療と並行して行うと効果的です。この治療は、再生医療分野でも応用されています。

 場合によっては、レーザーの出力を上げ、ミトコンドリアのエネルギー生産をあえて抑制することもあります。細胞の活動を止め、神経の流れを局所的に阻害することで、過敏になった神経が一時的に遮断され、鎮痛効果が得られます。

カイロプラクティック治療と併用する狙いは?

 カイロプラクティック治療は、背骨のゆがみを手技で矯正することにより、神経の流れを正常化し、体本来の自己治癒力と制御機能を最大限に引き出します。当院は低出力レーザー治療を併用することで、腰痛、頭痛、スポーツのけが(捻挫、肉離れ、打撲など)、リウマチ、五十肩、顎関節症、線維筋痛症、慢性疲労症候群など、幅広い疾患や症状の治療で高い効果を上げています(後編参照)。鍼の代わりにレーザーを使うツボ治療も可能です。

 低出力レーザー治療の効果は、数多くの臨床研究によって報告されています。

※来週は、低出力レーザー治療の適用や治療例について伺います。


 

低出力レーザー治療機器「ソー(THOR)」(手前)を使った治療の様子。赤色レーザーを皮膚の上から照射する。ソーの安全性と治療効果は、世界各国の規制当局から認められている(写真提供:THOR Photomedicine Ltd.)
HEALTH

安藤晴一郎先生
Seiichiro Ando, DC, DACNB

カイロプラクタ―(DC=Doctor of Chiro- practic)。パーカー・カイロプラクティック大学卒業。キャリック研究所・機能神経学課程、エイペックス・セミナー(機能性医学)修了。米国カイロプラクティック神経学会認定医(DACNB=Diplomate of the American Chiropractic Neurology Board)、低出力レーザー機器「THOR」認定医。カイロプラクティック、機能性医学的アプローチ・デトックス・栄養カウンセリング、機能神経学的アプローチ、理学療法を組み合わせた治療を提供。

Ando Chiropractic

TEL
201-496-6066
WEB
http://www.andochiro.com
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