2017/03/17発行 ジャピオン907号掲載記事

心と体のメンテナンス

足の病気の専門医(前編)

皮膚、神経、骨の問題も 足のことはまとめてケア

足病専門医について教えて下さい。

 足に関係する病気や症状の専門医で、英語でポダイアトリスト(Podiatrist)といいます。

 日本人にはなじみがないかもしれませんが、アメリカには足を専門に診る足病医が昔から存在します。例えば、歩くと足の裏が痛い場合、日本だと骨に異常があれば整形外科医に診てもらい、イボやウオノメが原因であれば、皮膚科医に相談するかもしれません。どの科で受診すればいいか、迷うこともあるでしょう。そのようなとき、足病専門医は原因が何であるかに関係なく、足の問題を一手に引き受け、必要に応じて他科の医師とも協力して治療にあたります。

 州によって多少の違いはありますが、基本的に膝下と足の異常はすべて、足病専門医の診療対象となります。治療法は症状や重症度によってさまざまで、処方せん薬やインソール(靴の中敷き)、各種サポーターを使うこともあれば、オフィスで簡単な外科処置を行うこともあります。しつこいウオノメやイボも、液体窒素で急速に凍らせたり、レーザーで焼いたりすることで完治が可能です。骨折手術や外反母趾手術、アキレス腱切断手術など、手術に力を入れている足病専門医もいます。

 足病科で扱う主な病気や症状は次の通りです。

▽皮膚の異常=湿疹、乾癬(かんせん=慢性の皮膚角化疾患)、水虫、ウオノメ、イボ、コブ、悪性腫瘍、褥瘡(じょくそう)。
▽爪の異常=巻き爪、爪水虫、二重爪、爪の下にできた悪性腫瘍。
▽足の変形=外反母趾、扁平足、指の変形、リウマチ。
▽神経系の異常=しびれ、ピリピリとした痛み、こむらがえり。
▽血管系の異常=静脈瘤、末梢動脈疾患、足の冷え、むくみ。
▽その他=ねんざ、骨折、凍傷、やけど、関節や足裏、足首の痛みなど。

 糖尿病患者の血流障害や神経障害に伴う症状も、足病専門医の診療対象です。主治医の下で血糖値管理の治療を続けながら、足病科で足の症状を治療し、悪化を予防します。

 最近は日本でも足病科開設の動きが盛んで、昨年夏には、下北沢病院という日本初の足の病気の専門病院が東京でオープンしました。

足病専門医になるための教育とは?

 4年制大学を卒業後、4年制の足病医科大学で専門教育を受けます。その後、病院で研修(レジデンシー)を修了し、さらに州の足病医免許を取ると足病専門医として開業することができます。足病医科大学に進学するためには、医科大学の場合と同じように、大学在学中に「MCAT(Medical College Admission Test)」と呼ばれる医科大学入学試験を受ける必要があります。

 余談ですが、医科大学生も卒業後はレジデンシーに入ります。足病専門医の場合の違いは、レジデンシーの期間中、足病に関係のある診療科の研修だけを集中的に受けることです。例えば、一般外科、整形外科、血管科、内科、皮膚科、神経科、放射線科、救急科などの知識や技術は、足の病気を治療するために必要です。しかし、産婦人科、小児科、精神科などの知識は直接関係ないため、研修対象からは外されます。

 2013年には、足病専門医全体のレベルを均一に高めるため、全米でレジデンシー期間が3年間に統一されました。2年目からは外科手術を徹底して学び、技術を身に付けます。

 ちなみに整形外科医はレジデンシー期間が5年と長く、背骨、肩、膝などの主要な関節の手術の経験が大変豊富です。中には追加研修を受けた足の専門医もいますが、足の訓練期間自体は足病専門医の方が長いのです。そのため、足病専門医と整形外科医は、症例によっては互いに技術や知識を持ち寄り、患者の治療にあたります。

信頼できる足病専門医の選び方は?

 口コミや評判も大切ですが、特に手術を受けるときは、医師が専門学会の認定を受けていること(Board Certified)や、病院と提携していることを合わせて調べるといいでしょう。どの診療科で手術を受ける場合も、これは同じです。足病専門医の場合、米国足病医学会と米国足病外科学会が筆記試験結果と症例実績を審査し、一定の基準に達した医師を認定しています。

※次回は、足病科の治療の特徴について伺います。


 

インソールには足にかかる衝撃を和らげる役割がある。目的に応じて患者ごとにカスタマイズしたり、既製品を使ったりする。写真上から男性の革靴用、ランニングシューズ用、女性のフラットシューズ用
Mika Hayashi, DPM

林美香先生
Mika Hayashi, DPM

足病医学博士(DPM=Doctor of Podiatric Medicine)。ニューヨーク大学関節疾患専門病院(NYU Hospital for Joint Diseases)提携医師。米国足病医学会(ABPM)公認足病専門医師。足の骨折、ねんざ、腱鞘炎、関節炎、かかとの痛み、水虫、イボ、むくみ、しびれなど、足の病気や悩み、けがの治療と手術が専門。日本の医学学会で講演も多い。

MIKA HAYASHI, DPM, PC
林美香足病科クリニック

TEL
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WEB
http://www.mikahayashi.com
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