2017/03/03発行 ジャピオン905号掲載記事

心と体のメンテナンス

思春期のうつと催眠療法(前編)

思春期の自己イメージ 性ホルモンの影響も大

ティーンエイジャーのうつの特徴は?

 私は催眠療法士として、下は7歳くらいから上は80代まで幅広い年齢層の治療にあたっていますが、中でも13~19歳のティーンエイジャーは問題が多いと言えます。生活や行動が荒れ、学校や家庭で問題を起こす、周囲とのコミュニケーションがうまく取れないなど、治療を受ける理由はさまざまですが、根底には不安定な心の状態、つまり、うつ症状があることがほとんどです。

 うつに陥る原因はいろいろですが、まず13~19歳は思春期を迎える年齢であり、性ホルモンの分泌が爆発的に増えることが挙げられます。ホルモンバランスの乱れが精神面の安定にも影響し、感情コントロールが難しくなっている可能性があります。

 更年期の女性が、のぼせ・ほてり、頭痛などの身体症状や、イライラ、集中力低下、うつなどの精神面の変調を訴えるのは、性ホルモンの激減が原因なのは、よく知られるところです。それと同じように、ティーンエイジャーにもホルモンバランスの乱れが起きているのです。心が安定を失っても、不思議ではありません。

心理面の変化もありますか?

 あります。児童心理学的にみると、子供は親がいなければ生きていけない存在で、親はすべてにおいて完璧であると信じて育ちます。しかし、ティーンエイジャーにもなると知識が増えて、親の社会的地位を理解し、親が自分の思っていたような「完璧な存在」ではないことに気付きます。

 すると、親は何もしていないのに、子供によっては親に「裏切られた」「うそをつかれた」と感じます。そうして子供と親との間に「距離」ができ、子供は世の中のこと全てが嫌になったり、うつに陥ったりすることがあると考えられています。

 同時に思春期は、異性を意識し始め、場合によっては性的指向に混乱する時期でもあります。このように、ティーンエイジャーはただでさえ心理学的に難しい年齢ですが、それに輪をかけてホルモンの作用も受けているわけです。

 アメリカで暮らす子供の場合、問題はさらに複雑かもしれません。来米当初は英語が分からなくても当然ですが、それを周囲から責められたり、からかわれたりすると、自分はダメな人間だと思い込んでしまうことがあるからです。自尊心が低下し、自分を見失う危険があります。

今のティーンの親世代のうつの特徴は?

 中年から中年後期の親世代も、心理学的に難しい年齢です。ティーンエイジャーが助けを必要とする時期に、実は親も不安定だと、適切に対処することができません。

 仕事をしている人は、先がそろそろ見えてきて、このままでいいのか悩んだり、若いころの理想とのズレに落ち込んだりするかもしれません。伴侶とこれからも一緒に暮らしていけるのか、夫婦関係に悩むこともあるでしょう。女性の場合、更年期症状を抱えながら、これらの問題に立ち向かうことになるかもしれません。

自己イメージを改善するとは?

 ティーンエイジャーのうつ症状や、その子の親世代の悩み、人間関係の問題などの多くは、自分に対するイメージの低さに起因することが多々あります。自分で自分の存在や頑張りを認めていれば、幸福感や充足感を感じ、きっと良いことが起きるに違いないと、日々の生活を前向きに送ることができます。しかし、頑張っても悪いことばかりだ、運が悪いなどと嘆いていると、気分は沈み、負のエネルギーを引き寄せてしまいます。子供も親世代も、こういった自己イメージは、親の愛情をどれだけ感じて育ったかによって作られます。

 大抵の親は子供を大事に思っていますが、それが子供に伝わっていなければ意味はありません。子供をありのまま受け入れ、問題を起こしても変わらず慈しみ、その気持ちを子供に伝えること、そして、それを子供が真に理解して初めて、子供は良い自己イメージを持つことができます。それには、まず親が自分に良いイメージを持っていなければなりません。

 自己イメージの低下は、子供のころのささいな出来事が原因であることがほとんどです。催眠療法では、その原因を見つけて解消することが、うつ治療の基本となります。

※来週は、催眠療法の進め方について伺います。

http://mitsu-ny.com
http://ameblo.jp/mitsuny


 

催眠療法のセッションは、クライアントがソファに横になり、心身ともにリラックスした状態で行う
2017-03-02 13.13.18

エミッグ美津さん
Mitsu Emig, MSW, CHT

国際メディカル・デンタル・ヒプノセラピー協会認定催眠療法士(CHT)。ミシガン大学で社会福祉学修士号(MSW)取得後、臨床ソーシャルワーカー、サイコセラピストとして臨床経験を積む。うつ、パニック障害、各種依存症などの精神症状や、ストレスが原因の身体症状の治療、潜在能力を引き出すライフコーチング、体重管理、禁煙などが専門。「催眠療法でハッピーに」をテーマにラジオ出演し、書籍を近く上梓予定。

Mitsu Hypnosis NY, LLC

TEL
917-488-6175
WEB
http://mitsu-ny.com
MAP
36 W. 25th St., 10th Fl. (bet. 6th Ave. & Broadway)

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント