2017/02/10発行 ジャピオン902号掲載記事

心と体のメンテナンス

子供の睡眠問題と改善策(後編)

添い寝と環境変化の問題 育児者全員が解決に協力

添い寝に関して、どんな相談が?

 添い寝の習慣は、特に日本人家庭に多いようです。子供と親が良質の睡眠を十分にとれていればいいのですが、母親が睡眠不足から心身の調子を崩すなど、何らかの不安や問題がある場合は改善が必要です。一般的な相談例とコンサルテーションの内容をご紹介しましょう。
 生後9カ月の男児の母親は、毎晩授乳後に子供を親と同じベッドで寝かせるのですが、子供が夜中に何度も起きるので、そのたびに添い乳(母親が子供と一緒に横になって授乳すること)をしていました。母親は慢性的な睡眠不足になり、子供がベビーベッドで一人、夜通し寝るようになることを希望していました。

 まず、子供の身体的要因、社会的要因などの「ファウンデーション(土台・基盤)」(前編参照)を確認しました。その結果、起床、食事、昼寝、遊びなどの1日のスケジュールが確立されていなかったので、月齢に合った理想的なスケジュールを提案しました。
 また、子供が泣くたびに母親が授乳してあやしていたので、背中をトントンたたく、「シーシー」と声をかけるなど、授乳以外のあやし方を指導し、食事の時間以外の授乳をやめてもらいました。同時に、親の寝室にベビーベッドを置き、昼間は子供がベビーベッドの中にいる状態で遊ぶなどして、子供を徐々に慣らしていきました。

 これらを試して数日後、子供がまだ夜中に起きていたので、親の希望で「スリープコーチング(日本語で言う『ねんねトレーニング』や『ねんねコーチング』)」を始めました。まず、夜はベビーベッドの隣に椅子を置いて母親が座り、子供が寝るまで見守ります。そして、日がたつにつれて椅子を置く場所をベッドから徐々に遠ざけました。

 子供は最初、「ママと寝たい」と泣いたのですが、抱っこや授乳はせず、他の方法であやしてもらいました。コーチングを始めて10日後、子供はベビーベッドに入ると一人で横になり、朝までぐっすり寝るようになりました。

 子供の睡眠コンサルタントは、子供の性格、家庭の事情、育児方針などを考慮した上で、適した改善方法を提案します。そのため、例えば別の9カ月の子供に同じ方法を試しても、効果があるとは限らず、逆に状態を悪化させる危険もあります。子供の習慣の安易な変更には注意し、特に夜中の授乳をやめるタイミングについては、小児科医に確認が必要になります。

引っ越しに伴う問題と解決策は?

 引っ越しをした途端に子供の夜泣きがひどくなった、おねしょをするようになったなどの経験をされた方もいらっしゃるでしょう。それらは、環境の変化に原因があるかもしれません。

 1歳までの乳児は、習慣や日課の変化に影響を受けやすいので、なるべく変化を避けるといいでしょう。例えばベッドシーツも、引っ越しのついでに新しくするのではなく、使い慣れたものの方が子供は安心できます。

 1歳以降の幼児になると、ストレスや不安を最小限に抑える精神的サポートが大事になってきます。一般的な助言ですが、引っ越しについて家族で事前に話す、荷造りを一緒にする、引っ越し当日にこれまでの家の部屋を回って「バイバイする」、新居では、まず子供の寝室を整える、などが有効です。引っ越し直後は普段の生活スケジュールをできるだけ守り、家族旅行や大きなイベントは避けるのが賢明です。

子供の睡眠問題で悩んでいる人にアドバイスを。

 一番伝えたいのは、一人で問題を抱えず、周囲に相談してほしいということです。解決策は必ずあるし、悩みを吐き出すだけで楽になることもあるからです。

 乳幼児期の子供にとって、睡眠の量、質、リズムは、脳や体の発育と発達はもちろん、学習意欲や集中力、健康な体作りなどに大きく関係します。育児者にとっても、適切な睡眠は心に余裕ができ、楽しい子育ての一助になるでしょう。子供の適切な睡眠量は、左上の表をご参考ください。

 子育てには、家族やベビーシッター、デイケアなど、育児者全員の協力が必要です。「これが正しい」という方法もありません。困ったら、まずは助けを求めることから始めましょう。
 
※来週は、園下将大先生にがん治療についてお聞きします。


 

子供によっては睡眠がもっと必要な場合や、少なくても大丈夫な場合がある。1日24時間でどれくらい寝ているかが大切(愛波さん提供資料を基に作成)
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愛波文さん
Aya Aiba

妊婦と子供の睡眠コンサルタント(International Maternity and Parenting Institute=IMPI国際認定資格)。子供の睡眠で悩む育児者(親など)を対象に、スカイプを使い日本語でコンサルティングサービスを提供。日本人家庭の事情に合わせた助言や改善策に定評がある。IMPIと提携し、日本語で妊婦と子供の睡眠コンサルタント資格取得講座(オンライン)を開催(3月開講コースの申し込みは2月中)。2児の母親。

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