2017/02/03発行 ジャピオン901号掲載記事
子供の睡眠問題と改善策(前編)
寝つきの悪さや夜泣き 原因究明し適切に対処
親や育児者にとって、子供の睡眠に関する悩みとは?
日本人の特徴として、母親の心のケアが必要なことも少なくありません。特に海外で子育てをしていると、睡眠について相談できる場が限られるほか、自分で勉強したくても、日本語の睡眠の書籍がそもそもあまりありません。そんな中、一人で問題を抱え、頑張り過ぎてしまう傾向が見られます。
睡眠コンサルタントは、睡眠に関する悩みや問題を解決する睡眠の専門家です。子供について言えば、睡眠の科学から育児法、「スリープコーチング(日本語で言う『ねんねトレーニング』や『ねんねコーチング』)」の方法、アドラー心理学に至るまで、あらゆる知識を身に付けています。睡眠コンサルタントという職業はまだ新しいですが、ここ5年ほどでニーズは急増しています。
問題をどのように解決するのですか?
①身体的要因=子供の栄養や健康状態、睡眠の状態、1日のスケジュール、アクティビティーなど。
②社会的要因=子供の保育園や幼稚園での出来事、家族構成、兄弟や親との関係、育児者に対する外部サポートの有無など。
③成長要因=子供の障害の有無、出生時の経験、月齢に見合った成長をしているか、(親からの)分離不安の有無など。
④睡眠状況・睡眠環境=日光を浴びた量、ホワイトノイズの有無、寝室の環境、乳幼児突然死症候群のリスクの有無など。ホワイトノイズとは、テレビの砂嵐音や、空気清浄機や換気扇などから出るザーッという一定音。胎内で聞いていた母親の血流の音に似ており、子供は安心できる。
⑤親と子供の幸福度=心が満たされていると感じているか。
以上の五つを検討し、原因が分かったら改善策を提案します。例えば、「1歳児が朝5時に完全に起きるので、どうにかしたい」という場合。子供が月齢/年齢に適した睡眠量をとれていればいいのですが、それでも5時は早すぎます。必要以上に早起きする理由と、改善策の例の一部を紹介します。
▽部屋に外光が入る=遮光カーテンを使用し、しっかり閉じる。
▽外の車の音や人の声がうるさい=ホワイトノイズを利用し、雑音をかき消す/気にならなくする。
▽暑すぎる/寒すぎる=部屋の温度や寝間着を調節する。
▽早起きが習慣化している=起床時に日光を十分浴びさせ、就寝前1時間は部屋を暗くするなど、体内時計を徐々に調整する。
▽昼寝の時間が早い/遅い/長い=適宜調整する。
改善策を4、5日試しても効果がなければ、子供に一人で寝られるようになってほしいと育児者が希望する場合のみ、スリープコーチングを行います。「コーチング=子供を泣かせるのは仕方ない」と考える方は多いのですが、泣かせない方法もあります。
子供の「眠い合図」とは?
大人と違い、子供は疲れ過ぎると異常に興奮します。そうなると寝つきが悪くなり、夜泣きや、朝必要以上に早く起きてしまうことの原因にもなります。大切なのは、疲れ過ぎる前に寝かしつけること。子供の眠い合図がよく分からない方は、左上の表「子供の月齢別活動時間(目安)」を参考にしてください。
※次回は、添い寝・添い乳と、引っ越しに伴う睡眠問題について伺います。


愛波文さんAya Aiba
妊婦と子供の睡眠コンサルタント(International Maternity and Parenting Institute=IMPI国際認定資格)。子供の睡眠で悩む育児者(親など)を対象に、スカイプを使い日本語でコンサルティングサービスを提供。日本人家庭の事情に合わせた助言や改善策に定評がある。IMPIと提携し、日本語で妊婦と子供の睡眠コンサルタント資格取得講座(オンライン)を開催(3月開講コースの申し込みは2月中)。2児の母親。
Sleeping Smart