2017/01/27発行 ジャピオン900号掲載記事

心と体のメンテナンス

知って役立つ市販薬あれこれ(後編)

日常的に使う市販薬 情報収集し賢く活用

蕁麻疹(じんましん)に効く薬は?

 かゆみを伴う赤い皮疹が特徴の蕁麻疹は、その多くがアレルギー反応や、汗、摩擦などの刺激によって起こります。医師の処方せんがなくても買える市販薬(OTC薬=over-the-counter drugs)は、抗ヒスタミン剤の内服薬と、ステロイド剤の塗り薬の主に2種類です(表)。

 抗ヒスタミン剤は、かゆみを引き起こすヒスタミンという物質の働きを抑える薬です。蕁麻疹だけでなく、花粉症などのアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など、さまざまな疾患や症状に対して使われます。主な副作用は、眠気、口内の乾きなど。中でも眠気は厄介ですが、比較的新しい第二世代製品は、眠くならない/なりにくいのが特徴です。ただし、同じ薬でも人によって効果が異なり、副作用にも個人差があります。第二世代製品でも眠くなる人はいるので、特に車を運転する人、機械を扱う人などは、使用に際し十分な注意が必要です。

 即効性があるのは第一世代製品の方ですが、緑内障患者と前立腺肥大症患者は、薬によっては症状悪化の恐れがあるため、使用が禁止されています。

 ちなみに抗ヒスタミン剤は、寝つきが悪い人の睡眠導入剤としても市販されています。睡眠薬と認知症リスクの関連性を指摘する研究もありますが、それは主にベンゾジアゼピン系という処方薬についてです。

 ステロイド剤は、過剰な免疫反応を抑える薬です。作用が強いので、OTC薬は塗り薬のみです。使用開始から数日たっても症状が改善しなければ、他の原因を疑い医師に相談してください。細菌やウイルス感染が原因の場合、薬によって免疫を抑えると、症状を悪化させてしまいます。

筋肉痛に効く湿布薬や塗り薬とは?

 いろいろな商品名で売られていますが、それらの多くは同じメントールという薬(有効成分)です。スーッとした冷却感を得られるのが特徴で、炎症を抑え、痛みを緩和する効果もあります。他にもカンファー、リドカインなど、メントールより鎮痛効果が強い薬もあります(表)。

 強い痛みには、解熱鎮痛効果と抗炎症効果のある非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服が有効です(表)。ただし、これらは胃腸障害を起こす心配があるので、空腹時の服用を避け、長期間使用にも注意が必要です。

 湿布薬や塗り薬にも副作用はありますが、主に患部のかぶれなので、薬をふき取れば悪化を防げます。体への影響、特に胃腸への副作用が心配な人は、まず湿布薬か塗り薬を試すといいかもしれません。

 前回もお話ししましたが、薬は説明をよく読んでから使いましょう。効能・効果(uses)、用法・用量(directions)、注意事項・副作用(warning)、禁忌(do notuse)、事前に医師に相談が必要な場合(aska doctor before use if you have)などは、特に重要な項目です。

日本で常用していたブランド薬と同じ成分の薬を探すには?

 まず、常用薬の有効成分を調べましょう。手元に説明書があればそれを見てもいいし、インターネットで調べることもできます。例えば日本の医薬品医療機器総合機構は、日本の薬の情報検索サービスを提供しています(表下)。ブランド名や成分で薬を検索し、説明書を閲覧できます。有効成分が分かったら、常用薬と同じ効能・効果で、含有成分も同じアメリカのOTC薬を探します。

 注意したいのは、アメリカの薬は、日本の薬よりも用量が極端に多い例がまれにあることです。その場合、用量を適宜減らすのはいいのですが、錠剤を安易に割るのは危険です。それによって、例えば24時間効果が続くよう設計された錠剤から成分が一気に放出され、副作用リスクが上がる可能性があるからです。

 医療費の高いアメリカでは、日本のように気軽に診察を受けるのは難しいかもしれません。それだけに薬は適切に使いたいのですが、英語の説明書は分かりにくいという人もいるでしょう。薬についてもっと知りたいときや、服用後に体に異変が生じ、それが副作用かどうかを調べたいときなど、ご紹介した日本語情報サービスを情報収集手段の一つとして知っておくと、困ったときも慌てず対処できるかもしれません。
 
※来週は、愛波文(あいば・あや)さんに子供の睡眠について伺います。


 

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樋口聖先生
Sei Higuchi, PhD

薬学博士、薬剤師(日本の免許)。城西大学大学院で薬学研究科修士課程修了後、福岡大学大学院で薬学研究科博士課程を修了。京都大学医学部博士研究員を経て、現在コロンビア大学博士研究員として糖尿病の研究に従事。医療関係者と一般を対象に開催する「米国日本人医師会(JMSA)NYライフ・サイエンス・フォーラム」(4月8日開催予定)の運営委員。

Columbia University Medical Center
Naomi Berrie Diabetes Center Russ Berrie Medical Science Pavilion

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