2017/01/20発行 ジャピオン899号掲載記事

心と体のメンテナンス

知って役立つ市販薬あれこれ(前編)

薬の有効成分に注目 添付文書を読む癖を

市販薬を使うときの注意点は?

 市販薬はOTC薬(over-the-counter drugs)と呼ばれ、医師の処方せんがなくても最寄りのファーマシーで買うことができます。処方薬と違い手軽に入手できますが、使い方を誤ると症状が改善しないばかりか、重い副作用が出る危険があります。症状に合った薬を、適切に使うことが大事です。

 どの薬も、使用前に医薬品ラベルや添付文書、箱に書かれた説明をよく読みましょう。全て読むのが理想ですが、英語ではそれも難しいという人も、せめて効能・効果(uses)、用法・用量(directions)、使用時の注意事項・副作用(warning)、禁忌(do not use)、事前に医師に相談が必要な場合(ask a doctor before use if you have)は、最低でもおさえておきましょう。

 禁忌とは、その薬を使用してはいけない・投与してはいけない患者の状態です。例えば、慢性疾患を患っている人、他の薬を常用中の人などは、薬によっては併用すると症状が悪化したり、深刻な副作用が現れたりする危険があります。妊娠中・授乳中の場合、胎児や乳児への影響が心配な薬もあります。どうしても薬が必要なときは、自己判断で使用せず、必ず主治医に相談してください。

 薬を漫然と使用するのも問題です。使用量が増えれば増えるほど、副作用も出やすくなるからです。薬を使用中に体に異変を感じた、症状が悪化した、ある程度の期間使用しても症状が改善しないなどの場合は、使用を中止し、医師に相談しましょう。症状が続く場合、他の病気が原因の可能性もあります。

市販の胃薬について教えて下さい。

 胃もたれ、胃痛、胸やけなどの胃の症状は、ストレスや暴飲暴食によって胃酸が過剰に分泌され、胃粘膜が傷ついて起きている場合が多く見受けられます。そこで、胃酸の働きや分泌を抑える薬が症状の緩和に有効です。

 OTC薬は、薬が効く仕組み(作用機序)によって、胃酸を中和する薬と、胃酸の産生を抑える薬の主に2種類があります(表参照)。

 効き目がマイルドなのは胃酸中和剤の方ですが、腎臓病患者は使用できないことがあります。一方の胃酸抑制剤は、H2ブロッカーとプロトンポンプ阻害薬(PPI)の2種類に分類され、前者よりも後者の方が作用は強いとされています。いずれも注意点は、セント・ジョンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)を含むサプリメントと併用すると、効果が弱くなる場合があることです。

 胃薬の一般的な副作用は、頭痛、悪心・嘔吐など。胃酸分泌を抑える結果、逆に胃もたれや下痢を起こすこともあります。

便秘薬と下痢止め薬には何がありますか?

 便秘薬は、水分を吸収して便を軟らかくする水酸化マグネシウム、シリアム(オオバコ)、ドキュセートナトリウム、大腸を直接刺激して排便を促すセンノシドなどがあります(表参照)。

 シリアムとセンノシドは、植物由来成分です。センノシドはダイエット用サプリメントに含まれていることがあるので、サプリメント服用中の人は成分を確認し、過剰摂取しないよう注意してください。ドキュセートナトリウムは、日本ではまだ商品化されていませんが、アメリカでよく使われる成分です。

 下痢には、腸の運動を抑えるロペラミドという薬が有効です(表参照)。ただし、ウイルスや細菌に感染し、それらを体外に排出しようとして体が下痢を起こしている場合、下痢止め薬の服用は有害物質を腸に留めることになります。薬を1日飲んで効果がなければ感染を疑い、速やかに医師の診察を受けてください。

薬を選ぶときのポイントは?

 最も大切なのは、薬の有効成分です。有効成分が何かによって、副作用や用法・用量、禁忌などが異なるからです。

 さらに、作用機序も併せて知っておくことは、薬を賢く選び、使用することにつながります。例えば、「タガメット」という商品名の胃薬を服用していた人が、あまり効果がないという理由で、代わりに「ペプシド」を試したとします。しかし、両剤ともH2ブロッカーなので、効き目は同じかもしれないのです。
 
※次回は蕁麻疹(じんましん)と筋肉痛の薬や、一般的な薬の選び方などについてお聞きします。


 

同じ有効成分の薬でも、CVS、Walgreensなどのファーマシー・ブランドもあり、それらはブランド薬より安価。医薬品の説明は、ラベル、添付文書、箱に明記されている
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樋口聖先生
Sei Higuchi, PhD

薬学博士、薬剤師(日本の免許)。城西大学大学院で薬学研究科修士課程修了後、福岡大学大学院で薬学研究科博士課程を修了。京都大学医学部博士研究員を経て、現在コロンビア大学博士研究員として糖尿病の研究に従事。医療関係者と一般を対象に開催する「米国日本人医師会(JMSA)NYライフ・サイエンス・フォーラム」(4月8日開催予定)の運営委員。

Columbia University Medical Center
Naomi Berrie Diabetes Center Russ Berrie Medical Science Pavilion

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