2016/12/09発行 ジャピオン894号掲載記事

心と体のメンテナンス

歯列矯正の最新技術(後編)

歯列矯正期間を最大半分に 治療の痛みや不快感も軽減

歯列矯正について教えてください。

 一言で歯列矯正といっても、矯正装置の選択肢や方法はいろいろあります。歯を動かす範囲や、装置をつけたときの見た目、治療費などを総合的に考慮した上で、患者ごとに適した方法を選びます。

 最も一般的なのは、ブラケットと呼ばれる金属装置を歯の表面に接着し、それにワイヤーを通すやり方です。治療例が豊富で、安心かつ確実な方法だといえます。

 ただし、口を大きく開けるとブラケットとワイヤーが見えるので、周囲の視線を気にし、治療を躊躇(ちゅうちょ)する人もいれば、成人の場合、仕事柄目を引く装置は着けられないという人もいます。そういうときは、費用は高めですが、透明なセラミック製のブラケットを使い、目立ちにくくすることもできます。

 ブラケットを歯の裏側に取り付け、表から見えないようにする方法もありますが、症例によっては、歯を効果的に動かすことができません。

 比較的新しいインビザラインという方法は、ブラケットもワイヤーも使いません。アライナーと呼ばれる透明で取り外し可能なマウスピースを、食事と歯を磨くとき以外は、1日20時間以上装着します。アライナー装着が見た目にほとんど分からず、審美性の高い治療法です。

歯列矯正で歯を動かす仕組みとは?

 ブラケットとワイヤー矯正、インビザラインいずれの場合も、動かしたい歯に一定の方向から弱い力を加えます。それによって、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)の吸収と形成を促し、歯を少しずつ動かします。

 歯を右に動かしたいときは、矯正器具で右向きに力を加えます。すると、歯が動く方向、この場合は歯の右側で、骨を溶かす細胞が活性化され、歯槽骨の吸収が始まります。反対に歯の左側では、骨を作る細胞が働き始め、新しく骨が形成されます。これを繰り返すことにより、骨が吸収され、その後にできたすき間へと歯を徐々に移動させ、理想の歯列に近づけます。

 ブラケットとワイヤー矯正の場合、月1回通院してもらい、ブラケットに通すワイヤーを調整します。

 同じようにインビザラインでは、月1回の通院時に、少しずつ形の違うアライナーを2個、または上下歯列用に2セット持ち帰ってもらいます。2週間ごとに新しいアライナーに変えることにより、歯にかかる圧力を調整します。

歯を速く動かす治療とは?

 ご説明したように、歯を動かすときは、古い骨が新しい骨に置き換わる、骨代謝の仕組みを利用します。骨代謝を促せば、それだけ歯の移動速度が速くなり、治療期間を短縮することができます。そこで当院は、矯正治療中の希望者に「アクセラデント・オーラ(AcceleDent Aura)」という、自宅で使える治療機器を紹介しています。

 アクセラデント・オーラは、米食品医薬品局(FDA)が認可した医療機器です。ブラケットとワイヤー矯正、インビザラインによる治療と併用することで、矯正期間の30~50%短縮が可能です。個人差はありますが、例えば通常2年かかる治療を1・5年で、3年かかる治療は2年で終えることができます。

 アクセラデント・オーラは、コードレスのハンドピースの先端に、マウスピースがついています。使い方は簡単で、就寝前の毎日15~20分、ブラケットとワイヤーまたはアライナーを装着したままマウスピースを口の中に入れ、軽くかみます。マウスピースから歯と歯茎に振動が伝わり、骨の吸収と形成にかかわる細胞を刺激し、骨代謝を促します。使用中に痛みはなく、むしろ、歯の移動に伴う痛みや不快感が軽減したという調査結果が報告されています。機器の購入価格は約1000ドルで、歯科医師の処方せんが必要です。

 骨代謝を促す治療は他にもありますが、麻酔も使わないアクセラデント・オーラは侵襲性が低く、注射針や痛みが怖いという人でも安心して受けられます。

 アクセラデント・オーラによる治療は、「1年後の結婚式までに歯をきれいにしたい」「仕事の都合で2年後に日本に帰るので、それまでに治療を終えたい」など、治療期間が限定された人たちに、特に喜ばれています。

※来週からは鍼灸師のリン・ゼン先生に、更年期障害の症状改善についてお聞きします。


 

OrthoAccelTechnologies社開発のアクセラデント・オーラ。就寝前に毎日15~20分、マウスピース部分を口に入れ、歯と歯茎に振動を与える。歯列矯正期間を最大50%短縮できるという(写真提供: OrthoAccel Technologies)
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フランク・ルー先生
Frank Lu, DDS, MS

米国矯正歯科学会認定歯科医師。コロンビア大学歯科・口腔外科学部卒業後、同大学で矯正歯科ポスドク研修修了。子供から大人のインビザラインを含む歯列矯正が専門。米国消費者調査評議会選出の「America’s Top Dentist」(2010年)。米海軍所属歯科医師として日本滞在経験がある。
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